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1級建築士試験の難易度と偏差値!合格率10%を突破する戦略を紹介

1級建築士試験の難易度はどれくらいなんだろう
どれくらい勉強したら合格できるのかな

1級建築士を目指す方にとって、試験の難易度や必要な勉強時間は気になるところでしょう。

本記事では、1級建築士試験の難易度や受かるために必要な勉強時間、勉強計画の立て方や試験攻略のコツなどを解説します。

記事を参考に効率的に試験勉強を進めれば、1級建築士に合格するのも夢ではありません。

ぜひ最後まで目を通し、受験をするかの参考にしてくださいね。

1級建築士試験の難易度は高い

1級建築士試験は難しいといわれていますが、どの程度の難しさなのでしょうか。
ここではなぜ難しいといわれるかや実際の合格率を明らかにし、合格までにかかる時間を解説します。

そもそも受験資格を得るのが大変

1級建築士試験は難しいといわれていますが、資格試験を受ける前に資格試験の条件を満たすのも大変です。

令和2年から実務経験が受験資格の要件から外れたとはいえ、大学や専門学校で建築に関する科目を40単位以上履修しないといけません。

学校に通わない道もありますが、2級建築士や建築設備士の資格を取得しなければならず、これらの資格も難易度は高めです。
以下に受験資格の要件を表にまとめているため、参考にしてください。

受験資格要件

  • 大学・短期大学・高等専門学校・専修学校等において指定科目を修めて卒業したもの
  • 2級建築士
  • 建築設備士
  • その他国土交通大臣が特に認めるもの(外国大学を卒業した者等)

1級建築士試験は平均合格率10%の難関試験

国土交通省の発表では、令和5年の1級建築士試験の受験者は2万8,118人で合格者は3,401人、合格率は9.9%でした。
つまり、10人に1人しか受からない難易度の高い試験といえます。

試験結果を詳しく見ると、学科の合格率は16.2%で設計製図は33.2%でした。

学科を通らないと設計製図を受験できないため、まずは学科を攻略する必要があるでしょう。

参考:国土交通省「令和5年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を決定」

1級建築士の合格に必要な偏差値は55程度に相当

1級建築士に合格するには、だいたい偏差値55前後が必要です。
というのも、1級建築士の合格者が多い大学TOP10が偏差値55前後になっています。
(※)建築や建設の学科(学部)の偏差値

大学名 合格者数 偏差値(※)
日本大学 143 52.5
東京理科大学 117 55.0~57.5
芝浦工業大学 99 55.0~60.0
早稲田大学 75 65
近畿大学 65 47.5
明治大学 62 60
工学院大学 61 55.0~60.0
名城大学 56 50.0~55.0
千葉大学 51 60
神戸大学 50 60.0~62.5

参考:建築技術教育普及センター「カ.学校別合格者数一覧(10人以上)単位:人」

試験合格までに数年かかるのが普通

1級建築士の試験に1回で合格する人は少なく、3〜4回の受験で合格した人が多いといわれています。
学科試験に受かれば設計製図で不合格になった場合でも、次回以降の試験は4年間で、2回まで学科試験が免除されます。

つまり、試験に落ちたとしても学科に受かっていれば、次回の試験は設計製図に時間をかけられるのです。

設計製図の合格率だけを見ると33.2%となっているため、合格の可能性はかなり上がるでしょう。

試験に受からなかった場合でも、あきらめずに再挑戦するのが大切です。
まずは、学科試験のクリアに集中しましょう。

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1級建築士試験は計画的な勉強が必要

1級建築士は難易度が高いため、合格するためには計画して勉強する必要があります。

勉強計画を立てるためには、どのくらいの勉強時間が必要かを考えてスケジュールを組むのが効率的な方法です。

本章では、合格に必要な勉強時間を踏まえた計画の立て方を解説します。

合格のための必要な勉強時間は700時間以上

1級建築士に合格するためには、700時間から1,500時間が必要といわれています。
700時間としても、1日2時間では1年近くかかる計算です。

1級建築士を1から始める初学者だと、勉強時間は1,500時間とみた方がいいでしょう。
しかし、社会人が1,500時間を作るのは現実的ではありません。
そのため、2〜3年に分けるなど、無理のないスケジュールを考えましょう

建築士についてある程度知識を持っている方でも、自分自身の状況を把握してどれくらいの勉強時間が必要かを見極める必要があります。
その上で1日に必要な勉強時間を割り出し、現実的なスケジュールを立ててください。

目標の勉強時間を設定

勉強を開始する前に、まずは目標時間を設定しましょう。
必要な勉強時間は700時間から1500時間といわれているため、1年で合格するのを目標とした場合、1,000時間は欲しいところです。

試験は毎年7月下旬ですので、9月から勉強を始めるとすると、1日3時間勉強すれば1,000時間も現実味があるでしょう。
忙しい人でも2時間は確保する必要があります。

平日に2時間勉強して土日祝日に6時間勉強ができれば、900時間を超えてきます。
どうしても時間が取れない方は、数年かけて取得することも考えてください。

全体のスケジュールを立てる

1日どれくらいの勉強時間が必要かを確認したら、次に年間を通した計画を立てましょう。
まずは、1〜3か月の中期目標を設定(問題集を3冊終わらせる等)してください。
その上で計画を週単位に落とし込みます。

資格の勉強に取り組む際、週単位でどれだけ勉強するかを決めた方が効率的です。
1〜3か月の中期目標だけだと、計画は先延ばしになりがちです。
また、週単位の計画でも、1週間を5日間の勉強日と見なして計画を組みましょう。

5日間の計画なら残り2日は予備日として活用でき、計画が遅れてもその週内で調整が可能です。
また「1週間で問題集を〇ページ進める、過去問を△問解く」といった具体的な目標を設定すれば、モチベーションを維持しやすくなるためおすすめです。

1級建築試験の攻略ガイド

1級建築士試験は、学科試験と設計製図試験の2つの試験があります。
範囲も広く問題数も多いため、時間のない社会人には効率的な勉強が求められます。
本章を参考に効率よく勉強して、一歩でも試験合格に近づきましょう。

集中的に学科を勉強

最初に学科試験の合格を目指して、集中的に勉強を進めましょう。
1級建築士の試験は通常、学科試験が7月に、設計製図試験が10月に実施されます。
設計製図試験を受験するためには、学科試験に合格しなければならないのです。

学科試験は範囲が広く問題数も多いため、十分な学習期間を確保して対策を行いましょう。
試験問題は四肢択一式で「正しいものを選ぶ」「最も不適切なものを選ぶ」といった形式で出題されます。

四肢択一式は、過去問題や問題集を何度も解けば答えのパターンがわかるため、繰り返し過去問や問題集を解きましょう。

通信講座も活用

1級建築士は独学で合格することも可能ですが、通信講座を活用すればより効率的に学習を進められます。
とくに設計製図試験の勉強は、独学よりも経験者にアドバイスをもらうことが合格への近道でしょう。

設計製図試験は参考資料が少ないため、独学では勉強しにくい面があります。
また、第三者からの添削を受けられないため、当たっているのか間違っているのかもわかりません。

その点、通信講座では製図の想定問題なども用意されているため、より実践的に学びを進められるのです。

隙間時間を大切に

机に座って勉強するだけが、試験勉強ではありません。
工夫次第で、移動時間や待ち時間も勉強時間になります。
社会人の資格試験勉強は、いかにして時間を作るかにかかっています。
小さい子どものいる家庭ならなおさらでしょう。

いつでも勉強できるように、持ち歩くカバンの中には問題集を入れておきましょう。
また、スマホアプリでも勉強できるので、積極的に利用してください。
さらに、問題集をスマホに録音して家事の最中や駅まで歩いている間、食事時間なども勉強時間にあてましょう。

隙間時間の活用だけでなく、時間を無駄にしていないかも今一度確認してください。
とくに、テレビやインターネットを見る習慣がある方は要注意です。
飲み会が好きな方や晩酌をしている方なら、合格までは控える努力も必要でしょう。

睡眠時間は削らない

時間がなくても、睡眠時間を短くしてはいけません。
睡眠時間を削ると、勉強のパフォーマンスが落ちてしまいます。
睡眠不足が続くとメンタルヘルスにも悪影響をおよぼし、仕事の生産性も落ちていくでしょう。

睡眠は、ストレスの軽減や感情のコントロールにも影響します。
1級建築士を目指している期間は、仕事と勉強でストレスがたまりやすい状況でしょう。
その上睡眠不足だとメンタルヘルス的に良い状況ではなく、人間関係にも影響する可能性もあります。

勉強量を増やすのは大切ですが、それ以上に質の向上を重視してください。

1級建築士試験攻略にはモチベーションの維持が重要

試験勉強で一番重要なのは、毎日コツコツと継続して勉強をすることです。
しかし、毎日勉強をするのは、誰しも苦痛を伴うことでしょう。
本章では、勉強を継続して行うコツを解説します。
苦痛な勉強を習慣にするために、本記事を参考にしてください。

なぜ1級建築士を目指すかはっきりさせる

試験へのモチベーションを維持するために、1級建築士を目指す目的について明確にしましょう。
試験を受ける目的は、資格を取ること自体ではないはずです。
1級建築士の資格を取って何がしたいのか、何を達成したいのか具体的にしてください。

また、目的をよりはっきりさせるために、疑似的に体験するのも効果があります。
たとえば、歴史に残るような建造物を設計したい野望があるのなら、実際に歴史的建築物に触れるのもいいでしょう。
キャリアアップしてお金を稼ぎたいなら、高級車の試乗といった稼いだらやってみたいことを体験するのもおすすめです。
何のために資格を取るのか考え、具体的にイメージすると高いモチベーションになるのです。

1分でもいいので毎日続ける

試験勉強を開始したら、毎日少しでも勉強する習慣を付けるのが大切です。
勉強を継続するためには、モチベーションはたしかに大切でしょう。

しかし、モチベーションは、残念ながらいずれ消えてなくなるものです。
そのため、モチベーションが高いうちに、勉強を習慣にできるかがカギなのです。
習慣を付けるために、まずは1日1分だけでも机に向かいましょう。

はじめはどんなに疲れてもできるくらい、目標を小さくするのがコツです。
1分が長いと感じるなら、椅子におしりを付けるだけから始めても構いません。
とはいえ、1分だけのつもりで座っても、意外に1分以上勉強を続けてしまうものです。

勉強意欲が高まればそのまま勉強してもいいですし、気が乗らなければ勉強しなくてもいいでしょう。
まずは毎日、1分でいいので勉強する習慣を付けるのが、試験合格への近道です。

模擬試験を受ける

1級建築士試験合格に向けて、模擬試験を積極的に活用しましょう。
模擬試験はメリットが多く、コスト以外にデメリットは見当たりません。
メリットとして、おもに以下のものがあげられます。

  • 試験に慣れる
  • 自分の実力を把握できる

試験本番は、多くのライバルがいる環境で行われます。
本番の雰囲気に慣れるためにも、模擬試験を受けましょう。

また、模擬試験を受ければ、自分の得意な科目と不得意の科目がわかるため、学習目標を調整しやすくなるでしょう。

自分自身の現在位置を正確に把握すれば、自分に何が足りないかがわかります。
足りないところを補うために勉強計画を修正すれば、さらに合格へ近づくはずです。

ときには休息も必要

長い試験勉強を乗り切るためには、適度に休息を取り入れるのが効果的です。
趣味や好きな活動に時間を使い、適度にリフレッシュするのも必要です。

パートナーや家族とのひととき、友達と過ごす時間や趣味に集中する時間など、リラックスできる方法はさまざまでしょう。
自分にとって最も楽しいと感じる時間を、しっかりと確保することが大切です。

そのため、勉強に行き詰まったと感じたら積極的に休憩を挟みましょう。
また、計画を立て「〇日勉強すれば、次の日は趣味に没頭する」といった具体的な目標を設定するのも、学習への動機づけになります。

ただし、休息日にもできるだけテキストを一度開いてください。
長時間の勉強は必要ありませんが、たとえ10分や15分だけでも学習することで、学習リズムを保てます。

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2級建築士と同時受験もできる

特定の教育機関で指定科目を修了している場合、1級建築士と2級建築士の試験を同じ年に受験するのは可能です。

1級建築士と2級建築士の試験日は、これまで学科試験でも設計製図試験でも同日に設定されたことはなく、受験スケジュールがかち合うことはないでしょう。

それでも、2つの試験を同時に合格するのは非常に困難です。
両試験の学科内容や設計製図の問題は異なり、1級建築士試験では公共施設が、2級建築士試験では住宅が主に取り上げられるため、問題の傾向が大きく変わるのです。

2級建築士の設計製図試験日から1級建築士の設計製図試験日までの間は約1か月しかなく、両方の試験に対して十分な準備を行うのは難しいでしょう。
無理に2つの試験を受けるのではなく、どちらか一方に集中した方が無難です。

またこちらの記事では、一級建築士の次に取得したい資格を網羅的にご紹介しています。気になる方はぜひチェックしてみてください。

1級建築士になるには実務経験も必要

1級建築士の試験に合格しても、2年以上の実務経験を積まなければ、1級建築士として登録できません。
建築士法の改正により、2020年以降の試験では実務経験がなくても建築士の試験は受けられるようになりました。

しかし、1級建築士の登録には実務経験が必要です。
実務経験は試験後でも、試験の前後の通算でも構いません。

1級建築士の仕事と気になる年収を解説

1級建築士になれば、どのようなことができるのでしょうか。
ここでは、建築士に合格した後にどのような場面で活躍できるか、気になる年収についても解説します。
ぜひ最後まで目を通して1級建築士になった自分をイメージし、試験勉強のモチベーションに変えてください。

1級建築士ができること

1級建築士は建築物に関する制限がなく、あらゆる建物の設計や工事監理が許されています。
建物の用途・延べ面積・高さ・階数に関する制約がないため、どのような建築物も扱えるのです。

また、1級建築士の資格を取れば、社内での評価が上がり昇進につながる可能性も高まります
さらに、市場価値が各段に上がり社会的信用も高いため、転職する際もかなり有利になるでしょう。

そして「建築基準適合性判定資格者」や「構造1級建築士」などへのステップアップも可能になり、将来独立への道も開けます。

1級建築士の年収

平均的な建築士の年収は、すべての産業の平均給与より高い傾向にあります。
令和4年の「民間給与実態統計調査」によると、建築技術者の平均年収は529万円でした。
一方、民間の平均給与は年間約458万円なので、かなり高額であるのがわかります。

建築士の中でも1級建築士は、二級建築士や木造建築士に比べて収入が高いといわれているため、賃金構造基本統計調査での平均年収よりさらに高額になることが予想されます

参考:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」

高い難易度を乗り越えて1級建築士を目指そう

1級建築士試験の難易度は高く、令和5年の合格率は9.9%でした。
難易度が高いため、必要な勉強時間は700時間〜1500時間ともいわれています。
そのため、計画的な勉強計画と、効率的な勉強方法が必須です。

1級建築士は社会的な信用が高く、資格を取得すれば出世の可能性も高くなるでしょう。
また、転職市場でも価値が高いため、転職も選択肢に入れている方はぜひ取っておきたい資格です。

難易度が高く大変な努力を必要とする資格ですが、資格取得のメリットは労力以上のものがあります。
ぜひ、1級建築士にチャレンジして、あなたの夢を実現させてください。

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