建設業界の基礎知識

産業廃棄物におけるマニフェスト|概要や書き方、保管方法とは

産業廃棄物の処理を別業者に委託する場合、マニフェスト(産業廃棄物管理表)と呼ばれる書類を使う必要があります。

今回はマニフェストの概要と必要とする理由、交付の流れを紹介します。

建設業界に携わる人はマニフェストの概要・交付方法を把握し、正しい方法で廃棄物処理を行いましょう。

産業廃棄物におけるマニフェストとは


工事等で廃棄されたものを適切に処理しているかを把握・確認するために使用する書類のことをマニフェストと呼びます。

高度成長期からバブル期の間、日本はモノの製造・消費が飛躍的に増加しました。

しかしその裏で廃棄物の量も増加し、不法投棄が横行するなど社会問題となりました。

この一連の動きを考慮し、日本は1990年に産業廃棄物の流れを確認し適切な処理が行えるよう「産業廃棄物管理表制度(マニフェスト)」を任意運用。

3年後に義務化し、現在の建設・土木業者にとって必須項目となっています。

必要とする理由

マニフェストを必要とする理由は、廃棄物を排出した業者に対する責任の明確化と不法投棄等の防止です。

マニフェストの誕生によって産業廃棄物を排出した業者の廃棄物処理の流れを事細かに把握でき、産業廃棄物処理におけるトラブルを未然に防ぐことが可能になりました。

紙タイプと電子タイプの違い

マニフェストには紙タイプと電子タイプの2つが存在します。

電子タイプ、いわゆる電子マニフェストは、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが運営するサービスです。

それぞれ記載方法は同じですが、取り扱い方法に違いがあります。

紙タイプ 電子タイプ
  • 5年間の保管義務がある
  • 年に1度、都道府県等にマニフェスト交付等状況報告書を提出する必要がある
  • 業者によっては利用不可
  • 自社保管する義務はない
    (情報処理センターで5年間保管)
  • マニフェスト交付等状況報告書の提出は情報処理センターが代行
  • 業者によっては電子タイプに対応している必要がある

また、それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。

紙タイプのメリット・デメリット 電子タイプのメリット・デメリット
メリット

  • すぐに作成可能
  • 排出回数が少ないほど手間がかからない

デメリット

  • 記載ミスや漏れが起きやすい
  • 紛失・破損・汚れなどのリスクがある
  • 5年分の保管が必須
  • 毎年報告書を提出しなければならない
メリット

  • マニフェストがシステム上で管理可能
  • いつでも閲覧できリアルタイムで状況の把握が可能
  • 事務処理の効率化につながる

デメリット

  • 導入コストが掛かる
  • 排出業者や収集・運搬業者などがシステムを利用する必要がある
  • 大手求人サイトで全国トップクラスに輝いたアドバイザーが在籍
  • 年収1000万円以上になった方も
  • 年収350万円以上の大幅UP事例もあり
  • 業界特化で「分かっている」提案。企業知識が段違い
  • 休日や夜間でも専属アドバイザーが対応

マニフェストを交付する流れ


ここからはマニフェストを交付する流れを紹介します。

マニフェストはAからE票の7枚つづりになっています。

  1. A票
  2. B1票
  3. B2票
  4. C1票
  5. C2票
  6. D票
  7. E票

それぞれの書き方と流れを見ていきましょう。

運搬を終了したとき

廃棄物の運搬が終了したあと、収集・運搬業者は運搬した廃棄物とあわせて残りのマニフェストを処分を依頼した業者に渡します。

処分の依頼を受けた業者は所定欄に署名後、B1およびB2票を収集・運搬した業者に返却してください。

その後、収集・運搬した業者はB1票を控えとして保管し、B2票を廃棄物を排出した業者へ送付したのち運搬が終了したことを報告しましょう。

処分が終了したとき

産業廃棄物の処分が終わったら、廃棄物の処分を受けた業者はC1票を保存し、収集・運搬した業者に対してC2票を、廃棄物を排出した業者に対してD票およびE票を送付します。

この処分が中間的な処理だった場合には、廃棄物を処分した業者はE票の送付は行わず、最終処分が確認された時点で最終処分が実施された場所と日付を記入の上、廃棄物を排出した業者へと返送しましょう。

確認方法と保管方法


廃棄物を排出した業者は、収集・運搬した業者から返送されたB2票、処分を依頼した業者から返送されたD票・E票を手持ちのA票の内容と照合し、誤りや問題がないかを確認します。

A票は交付してから5年、収集・運搬した業者は処分を依頼した業者から返送されたB2票・D票・E票は受け取った日から5年間の保管が義務づけられているので、確認しやすい方法で保管しましょう。

マニフェストの概要と記載方法


マニフェストにはA票からE票までが一つになっており、それぞれ保管する業者や記入する業者が異なります。

A票からE票の概要と主な記載方法については、建設六団体副産物対策協議会の「建設系廃棄物マニフェストのしくみ」内の「建設系廃棄物マニフェスト」をご確認ください。

参考:建設六団体副産物対策協議会|建設系廃棄物マニフェスト のしくみ

\ 誰かに聞いてほしい悩みはありませんか/

無料でアドバイザーがお聞きします

マニフェスト運用における注意点


ここからはマニフェストの運用における注意点を紹介します。

マニフェストには返却期限が設けられている

廃棄物を排出した業者から交付を受けたマニフェストは、収集・運搬した業者や処分を依頼した業者による運搬・処分が終わった後、控えを残して廃棄物を排出した業者の手元に返送しなければなりません。

収集・運搬した業者または処分を依頼した業者からのB2票・D票の返却期限は90日以内、処分を依頼した業しかからのE票の返却期限は180日以内と定められているので、期限内での返却を依頼しましょう。

定められた義務に違反した場合は罰則の恐れがある

マニフェストに関する規定に排出に携わった業者が従わなかったことが明らかになった場合は産業廃棄物処理法違反とみなされ、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に科せられます。

一例としては以下のような場合です。

  • マニフェストを発行せずに廃棄物処理を委託した場合
  • マニフェストに虚偽の内容を記入した場合
  • マニフェストの保管を行っていない場合

マニフェストは廃棄物処理の流れを把握するための書類であり、不法投棄などを防ぐ目的から法律で細かく定められています。

これらの内容に抵触しないよう、正しい方法による廃棄物処理を目指しましょう。

マニフェストについて理解を深めよう

マニフェストは廃棄物処理の流れを把握するための書類です。

マニフェストを守らずに廃棄物を処理してしまうと、廃棄物処理法違反とみなされ、懲役または罰金が科せられる可能性があります。

複雑化した書類ではありますが、廃棄物処理に関わる業者はすべて、各票の概要や記入事項、どの業者がどの程度保管しなければならないのかを把握する姿勢が求められています。

マニフェストの交付・記入が必要な作業に従事する人は、本記事を業務にお役立てください。

有料職業紹介(許可番号:13-ユ-316606)の厚生労働大臣許可を受けている株式会社ゼネラルリンクキャリアが運営しています。

ゼネラルリンクに相談を

-建設業界の基礎知識

© 2024 施工王 Powered by AFFINGER5