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ワーカビリティーとは?影響を与える7つの要因や関連用語を解説

建築・土木業界に携わる人の中には、「ワーカビリティー」という言葉を見聞きしたことがある人も多いのではないでしょうか。

今回はワーカビリティーの概要と、影響を与える要因、関連用語を解説します。

ワーカビリティーとは


ワーカビリティーとは、コンクリートの扱いやすさのことで、扱いやすさを判定するための基準は建築物の種類や施工箇所、施工方法で変わります。

一般的に、「良い」「悪い」「作業に適する」といった相対的な評価をすることが多いです。

コンシステンシーとの相違点

ワーカビリティーとコンシステンシーはいずれもコンクリートを使う業務で聞く言葉であることから、意味を混同する人が多いでしょう。

コンシステンシーはフレッシュコンクリートの特性のことで、水の量で決まる流動性を指します。

ワーカビリティーはコンクリートの打ち込みやすさや作業性の程度など広い意味を持ち併せているため、コンシステンシーはワーカビリティーの要素の一つになります。

コンシステンシー、つまりコンクリートの流動性の程度がよければ必然的にワーカビリティーも良くなります。

そのことから、流動性や材料分離のしにくさ、締め固めのしやすさなどあらゆる要素の一つにコンシステンシーがあります。

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ワーカビリティーに影響を与える7種の要因


ワーカビリティーに影響を与えるものには以下7つあると言われています。

ここではそれぞれの意味を紹介します。

ちなみに近年では「高性能AE減水剤」と呼ばれる薬品を使用して、ワーカビリティーの影響を防ぐことが多いです。

➀単位水量

コンクリートに含有される水分量のことを単位水量と呼び、単位体積に含まれる水の量に基づいて算出します。

含水量が多いコンクリートの場合、柔らかく流動性が高くなる一方、骨材の沈下が起こりやすく分離リスクや不均一性が増大することが判断できます。

➁セメントの粉末度

セメント粉末の粒子の細かさを示す要素もワーカビリティーに影響を与える要因の一つと言われています。

セメントの粉末度はセメント1gに対する全表面積を指し、粉末度が低いことは1gあたりの表面積が多いことと等しく、結果的に「細かい」と判断できます。

セメントの粒子粉末が細かければ同じ質量のセメントでも水に接するトータルの表面積が広がり、水と練り混ぜたときに強度を得やすくなります。

③セメントの量

セメントの量も要因の一つです。

セメント量を増やすほどコンクリートの粘度が高まり強度も高くなり、材料分離が起きにくく形状変化が緩やかになります。

しかし、量が多いと流動性が減少しパサパサと扱いにくいコンクリートに仕上がり、少なすぎるとゆるいコンクリートに仕上がり、材料分離が起きやすくなります。

④セメントの状態

セメントの状態もワーカビリティーに影響しやすい要素の一つです。

大気中には水分が含まれているので、セメントの保管期間が長くなるほど経年劣化します。

劣化したセメントは品質や作業のしにくさを招くため、セメントの状態もワーカビリティーを左右すると言われています。

⑤練り混ぜた際の状態

セメントを練り混ぜた状態もワーカビリティーに影響を与える要因です。

セメントを十分かつ適切に練り混ぜた場合、均一性が高まり、「良い」と判断できます。

一方、練り混ぜが不均一で不均等なコンクリートだと、「悪い」と判断されます。

過度な練り混ぜは骨材を砕くことにつながるほか、必要以上に空気量を減らす恐れがあります。

そのため、練り混ぜ時の状態を注意深く観察することが大切です。

⑥骨材

骨材は砂利や砂など、コンクリートへ水とともに練り混ぜられる資材を指します。

骨材の割合・量・品質もコンクリートの性質に影響を与える要因です。

セメント量や水分量に対して骨材の割合が多いと、粘度が低下して流動性が高くなってしまいます。

流動性が高まると材料分離が起きやすくなるため、ワーカビリティーは低下します。

⑦混和材料

コンクリートを練り混ぜる際に使用する資材の一つに混和材料があります。

混和材料には減水剤やフライアッシュなどを含んでいます。

そのため、上手に活用することでコンクリートの水分量を抑えながら強度を高め、ワーカビリティーを確保できると言われています。

ワーカビリティーにまつわる単語


ワーカビリティーと関連する用語には、ほかにもプラスティシティーやスランプ値があります。

それぞれの概要は下表のとおりです。

名称 概要
プラスティシティー
  • フレッシュコンクリートの性質
  • 簡単に型枠に詰めることができ、型枠を取り除くとゆっくり形を変えるものの、崩れたり材料分離が見られないこと
スランプ値
  • コンクリートの硬さを示す値
  • 小さくても大きくても問題があることから、最大値が設けられている

コンクリートの流動性については、スランプ試験で判断するのが一般的です。

そのため、ワーカビリティーの判断にはスランプ試験で得たスランプ値が大きな基準となります。

スランプ値の高いコンクリートは型枠に流し込んだときにきれいに広がる特徴があり、施工性に優れると判断できる一方で、品質は低いと判断されます。

スランプ値の変化によってワーカビリティーも左右されるため、コンクリートの品質を保つためには、適切なスランプ値で施工することが大切と言えるでしょう。

ワーカビリティーについて理解を深め、業務に役立てよう

コンクリートは自由度が高い性質から、現代の建築業界において必要不可欠な資材の一つです。

もしコンクリートの強度だけを求めてしまうと、品質や施工性が減少し、長持ちしないコンクリート、または取り扱いにくいコンクリートができあがってしまいます。

そのようなときのためにワーカビリティーがあり、適材適所のコンクリート生成が可能になります。

建築・土木業界に携わる人は、本記事を通じて、コンクリートの基礎に理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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