目次
建造物の施工や管理を手掛ける建設業界は、人々にとって欠かせない社会インフラの一つです。
しかし「きつい」「汚い」「危険」と、いわゆる建設業界の3Kと呼ばれるイメージを持つ人も多く、総合的にブラックな業界と思われることも少なくありません。
今回は建設業界がブラックと思われがちな理由とあわせて、現状、ホワイト企業で働くポイントを紹介します。
建設業界の現状
実際のところ、建設業界はブラックなのでしょうか。
結論から述べると、ブラックかどうかは企業によると考えられます。
例えば建設業界の3Kの一つである「きつい」ですが、これは残業時間が多いことや労働時間に対して給料が見合っていないなど、労働そのものや対価が見合わないというような、いくつかの理由が関係しています。
建設業界の給料が見合っていないかどうかは厚生労働省のデータで判断することができます。
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の賃金平均は約380万円ですが、その一方で建設業の平均給与を見ると、ひと月あたり約35万円、これを12ヶ月で計算すると約420万円です。
企業によっては賞与などが受け取れるので、日本の平均給与に比べて建設業界の給料は多いことがわかります。
また、「汚い」や「危険」といった部分についても、近年では人工知能システムを内蔵したロボットやドローンなどに代替させるケースが増えています。
2015年には国土交通省と日本経団連が建設業の深刻な人材不足を受け、中長期的な担い手を確保するために「給与」「休暇」「希望」の「新3K」を提唱。
「給与」 | 「休暇」 | 「希望」 |
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2019年には働き方改革が施行され、建設業界のブラックな現状は改善をみせています。
建設業界がブラックといったイメージは、これからさらに大きな変化をみせると予想されています。
参考:厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
参考:時事通信社|圧力容器下につらら状物体 1号機内部の写真公開―東電福島第1原発
参考:国土交通省|新3Kを実現するための直轄工事における取組
建設業界の将来性
ポストコロナ社会によって新築物件を購入する人が減少傾向を辿り、建設業界の将来性は不安視されていましたが、実は現在ではすでにある建物をリフォームして住む人が増加。
マンションやオフィスビル、一般住宅はすでに多く建てられていることから、建設業界はまだまだ安定した業界であり、将来性は高いと言われています。
さらに、出産・育児・介護といったライフスタイルに変化があっても安心して働けるよう、充実した福利厚生を導入する企業も増え、建設業界は性別を問わず多くの人に注目されている業界と考えられています。
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建設業界がブラックと言われる理由
建設業界がブラックと言われる理由は大きく分けて7つあります。
労働時間が長い
企業によっては労働時間が長くなる場合があります。
多くの建設会社では残業が常態化しており、この部分にブラックと感じてしまう人が多いようです。
このような現状を受けて、2019年に国は働き方改革を施行し、2024年4月1日からは建設業での時間外労働の上限規制をスタートさせました。
建設業には実質5年間の適用猶予がありましたが、働き方改革施行年の2019年から徐々に残業時間が改善されはじめています。
参考:厚生労働省|毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査) 結果の概要
建設業の長時間労働が改善に向かっているのは、事務作業の外注化やITツールの導入といった労働者一人あたりの業務を減らしたことが関係しています。
働き方改革の浸透によって建設業界における勤務時間のブラックなイメージは、将来的に大きく変化すると予測されています。
危険な現場が多い
建設業界にブラックなイメージがあるのは、危険な現場が多いのも理由の一つです。
建設現場によっては高層ビルや大型商業施設の建築も多く、常に危険と隣り合わせであることも。
足場からの転落など、現場での死亡事故もありえることから、建設業界には危険なイメージが強く、ブラックと捉えられることも多いです。
しかし、工事現場は全て「安全第一」を目標に、現場監督が現場を細かくチェックして危険箇所の確認や労働者へ共有・改善等を行い、大きな事故を生まないための対策が毎日行われています。
人手不足
国土交通省の資料にも建設業界が「深刻な人手不足」であると明記されていますが、この点を改善するため、国では専門的・技術的分野における外国人の受け入れに関する制度の見直しなど、抜本的な解決に向けて取り組んでいます。
また、建設会社へ業務のDX化を推進したり、若手の人材確保にも力を入れています。
これらを受けて同省の別の資料では、現状では100人必要だった人手に対して1〜3人程度の不足に留まり、人手不足によって工事ができないという状況にはないと明記されています。
参考:国土交通省|建設業を巡る最近の状況
参考:国土交通省|社会資本整備を支える建設業の状況は?
納期がタイトな割に業務量が多い
建設業界の工事は基本的に竣工まで細かなスケジュールが決められており、スケジュール通りに進める必要があります。
そのため、天候や感染症による労働者の欠員といったあらゆるトラブルによっては、工期がタイトになり、業務量が増えてしまうことも少なくありません。
人間関係
昔からの社風や風潮によって人間関係に悩む場合もあるようです。
特に施工管理のような現場と上司の板挟みになりやすい職種だと、多方面からのプレッシャーによって辛く感じてしまうことも。
また、企業の特徴によっては休みを言い出しにくい環境もあり、その部分に対してブラックなイメージを持つ人も一定数いるようです。
建設業界のメリット
ここでは建設業界のメリットを紹介します。
先述した「建設業界の現状」と併せて、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
未経験でも働ける
建設業界は未経験者を歓迎する会社が多い傾向にあります。
未経験を歓迎する理由は人手不足の解消と若手人材の育成です。
国土交通省の資料によると、建設業界では55歳以上の人が労働者の約3割を占めているとされ、高齢化社会によって55歳以上の労働者の引退によって人手不足がより深刻化すると考えられています。
この部分を補填するため、建設業界は未経験者の採用にも力を入れているのです。
また、高齢化社会が進めば重要なポジションに就いている人の引退も予想されます。
そのことから、未経験で入社しても経験と知識をきちんと身につけることで、将来的には管理職として活躍できる可能性も高いと言えるでしょう。
手に職が付く
建設業界では工期の短い現場を受けることもありますが、高層マンションや一般住宅、大型商業施設など、竣工までに一定期間を設けることがほとんどです。
大小かかわらず施工プロジェクトの遂行には、スケジュール管理能力や労働者の安全管理、資材の発注・在庫管理といったさまざまな能力が必要不可欠です。
建設業界で働くと、あらゆるスキルが身につくので、将来的に幅広い分野で活躍できる強みを獲得できると考えられます。
需要が高い
建設業界は人々の暮らしに欠かせないインフラの一つです。
新築物件の購入を検討する人は減少傾向にあるものの、最近ではすでにある物件をリフォームし、そこに住む人が増えているため、建物を必要とする人々がいる限り、需要は安定していると考えられます。
建設業界で求められる能力
ここでは建設業界で求められる能力を紹介します。
危機管理能力
建設業界では大小かかわらずさまざまな建築物に携わります。
どのような現場でも、予測不可能なトラブルが起き、問題を早期解決させながら竣工を目指す必要があります。
そのようなことから、建設業界で働くためには危機管理能力の高い人が求められます。
天候の急変や資材不足、作業員が急に欠員しても、どのように対処すべきかを早期に判断できる能力があると、どのようなトラブルでも最小限に抑え、円滑な業務進捗を確保できます。
スケジュール管理能力
建設業界においてはスケジュール管理能力も必要不可欠です。
スケジュール管理能力があれば、建築物に見合ったスケジュールを立てられるので、円滑な業務進捗を確保しながら竣工に導くことができます。
これまで、自分で計画したことを自分なりに工夫し、ゴールまでたどり着くことができた経験がある人や、計画的に物事を進めることを得意とする人にとっては向いている業界です。
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建設業界のホワイト企業で働くポイント
近年の建設業界は、国や国土交通省などの取り組みを受けて、以前に比べて働きやすい環境に改善され始めています。
ブラックなイメージも薄れつつありますが、それでもまだ、「きつい」「汚い」「危険」の3Kが根強い企業も少なくありません。
ここでは建設業界のホワイト企業で働くポイントを紹介するので、建設業界への就職・転職を検討する人はぜひ参考にしてください。
大企業に応募する
建設業界の中でもできるだけホワイトな会社で働きたいなら大企業への応募を視野に入れましょう。
その理由は福利厚生や待遇面が整っているからです。
また会社によっては教育体制が充実しており、資格取得によるサポート制度を受けることも可能です。
教育体制の充実度によっては会社の制度のもとで着実にスキルアップしながらキャリア形成を積み上げることもでき、将来の自分を見据えた活動が実現できます。
派遣社員として働く
正社員は待遇が良いケースが多い一方で、責任が重かったり業務量が膨大であることも少なくありません。
自分の時間も確保したい人、できる限り柔軟な働き方をしたいといった人にとっては、派遣社員としての働き方もおすすめです。
様々な現場を経験できることから、転職を視野に入れた企業情報を収集するのにも適しています。
ただし、重要な仕事は社員中心になる場合が多いため、スキルアップには向かない可能性があるので注意が必要です。
納期にゆとりのある現場かチェックする
ホワイト企業で働きたいのなら、各現場の納期にゆとりがあるかにも注目しましょう。
プロジェクトの納期にゆとりがあるということは、その分だけ残業や休日出勤が少なく、ワークライフバランスを保てる可能性があります。
焦って仕事に取り組むとミスが増えたり品質が低下する可能性があります。
そのような理由から、納期にゆとりのある現場を中心とする企業であるかを見極めることもホワイト企業で働くポイントになると考えられるでしょう。
福利厚生を確認する
家庭を持つ人であれば福利厚生の充実度も確認しましょう。
時短勤務制度のある企業であれば、出産や育児、親の介護といったライフスタイルの変化を気にせず働き続けることができます。
福利厚生と同時に社員としての待遇も確認しておくと、経験や資格取得によってキャリアアップが可能な企業かも判断できるでしょう。
転職エージェントを利用する
できるだけホワイトな会社で働きたいなら転職エージェントの利用も検討しましょう。
転職エージェントの多くは豊富な企業情報を有している特徴から、どの企業がブラックかを把握し、希望者によってはブラック企業を避けた求人案内を行います。
さまざまな企業情報から求職者の特徴や希望に合わせて求人を案内することが中心のため、「自分と会社のマッチ度が高い求人を見たい」といった人にもおすすめです。
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建設業界の現状は改善されつつある!
建設業界がブラックと言われる背景には、労働時間の長さや休日出勤があること、労働時間に対して給料が見合っていないなど、さまざまな理由が関係しています。
しかし公的機関の資料を見ると、国土交通省や国の働きかけにより、いずれも徐々に改善しはじめ、ブラックという価値観が変化していることがわかったかと思います。
建設業界のブラックな部分は今後も一層改善が進み、「給与」「休暇」「希望」のいわゆる「新3K」がさらに浸透する見通しと考えられています。
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