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消防設備試験とは?甲種・乙種の概要や難易度、合格率を解説

建設物には必ず消防設備が設置されており、安全に使用できるよう、消防設備士と呼ばれる人が定期的な点検・整備を行っています。

消防設備士には甲種・乙種と2つの資格があり、それぞれで担当する業務が異なります。

今回は消防設備士になるために必要な消防設備試験の概要と、甲種・乙種の違いを紹介します。

オフィスビルや大型商業施設、学校などの設備関係の職種に就きたい方は、ぜひ参考にしてください。

消防設備士とは


消防設備士とは、建設物や施設に設置された消防設備の点検・メンテナンス作業が可能な職種のことで、国家資格のひとつです。

甲種・乙種の2つに大別されており、それぞれの概要は下表の通りです。

甲種資格 消防設備の点検・メンテナンスのほか、設置・交換が可能になるなど、乙種に比べて業務幅が広い
乙種資格 点検・メンテナンスのみ

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、年収は314〜400万円とされており、同省による1年間の全国平均年収は約382万円だったことから、一般的な年収水準と考えられます。

参考:厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査
参考:厚生労働省|賃金の推移

試験は筆記試験と実技試験の2つ

消防設備士になるには、国家資格を受験し、合格する必要があります。

国家試験は筆記と実技の2つあり、甲種と乙種によって出題範囲が異なります。

甲種資格 特類~5類まで
乙種資格 第1~7類まで
甲種 乙種 種類 対象となる消防用設備
特類
  • 特殊消防用設備等
第1類
  • 屋内消火栓設備
  • 屋外消火栓設備
  • スプリンクラー設備
  • 水噴霧消火設備
第2類
  • 泡消火設備
第3類
  • 不活性ガス消火設備
  • ハロゲン化物消火設備
  • 粉末消火設備
第4類
  • 自動火災報知設備
  • ガス漏れ火災警報設備
  • 消防機関へ通報する火災報知設備
第5類
  • 金属製避難はしご
  • 救助袋
  • 緩降機
第6類
  • 消火器
第7類
  • 漏電火災警報器

なお、乙種のみの場合は特類の、甲種のみの場合は第6・7類の点検およびメンテナンス等の作業が認められていません。

消防設備士として業務幅を広げたい場合は、甲種・乙種それぞれの資格取得を目指すのが望ましいでしょう。

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消防設備試験の難易度・合格率


国家資格のひとつでもある消防設備士ですが、難易度や合格率はどのようなものなのでしょうか。

過去5年間の合格率は下表の通りです。

甲種の合格率(%)
年度 特類 第1類 第2類 第3類 第4類 第5類
令和1年 21.3 26.3 36.2 38.3 33.6 34.1
令和2年 27.0 31.2 33.2 39.8 37.2 38.2
令和3年 30.3 28.3 36.1 37.9 37.1 37.8
令和4年 29.0 23.7 28.4 30.5 34.4 35.1
令和5年 28.9 22.3 30.3 25.9 32.3 34.6
乙種の合格率(%)
年度 第1類 第2類 第3類 第4類 第5類 第6類 第7類
令和1年 26.3 37.3 27.5 33.0 35.9 38.3 57.4
令和2年 33.8 37.5 34.1 35.4 42.9 42.7 57.0
令和3年 35.5 37.0 33.4 35.0 38.5 39.9 57.0
令和4年 28.4 34.3 28.9 32.8 36.6 38.8 59.5
令和5年 28.2 25.8 22.1 34.4 33.7 38.1 60.3

参考:一般財団法人消防試験研究センター|試験実施状況(平成31年4月~令和2年3月)
参考:一般財団法人消防試験研究センター|試験実施状況(令和3年4月~令和4年3月)
参考:一般財団法人消防試験研究センター|試験実施状況(令和5年4月~令和6年3月)

甲種・乙種いずれも種類によって合格率に大きな差があるものの、国家資格の中では比較的狙いやすい資格です。

甲種・乙種のそれぞれで対応可能な業務に違いがあるので、業務幅を広げたい方は甲種・乙種それぞれに挑んでみると良いでしょう。

消防設備試験|受験資格や試験期日


消防設備試験を受けるにあたって受験資格はあるのでしょうか。

乙種に限っては誰でも受験することが可能です。
一方、甲種は特類と特類以外の受験で条件が下表のように異なります。

名称 受験料(円) 概要
乙種 6,600
  • 誰でも受験可能
甲種 4,400
  • 特類
    • 甲種第1類から第3類までのいずれか1つ、甲種第4類および甲種第5類の3種類以上の免状を受けている
  • 特類以外
    • 受験する類以外の甲種消防設備士免状を受けている

参考:一般財団法人消防試験研究センター|消防設備士試験受験資格
参考:一般財団法人消防試験研究センター|消防設備士試験 甲種について

また試験期間も地域によって異なります。
消防設備士試験を受験する方は、一般財団法人消防試験研究センターホームページをご確認ください。

消防設備士試験の内容


消防設備士は甲種・乙種の2つありますが、それぞれで試験内容にも違いがあります。

それぞれの科目は以下のとおりです。

  • 甲種:工事設備対象設備等の構造・機能・工事・設備、火災及び防火、消防関係法令、基礎的知識、消防用設備等の構造・機能・工事・整備
  • 乙種:消防関係法令、基礎的知識、構造・機能・整備

なお、甲種の特殊を受験する場合、基礎的知識および消防用設備等の構造・機能・工事・整備はありません。

筆記と実技の各試験時間に関しては以下になります。

名称 筆記試験 実技試験
甲種 2時間30分または3時間 7時間
乙種 1時間15分または1時間30分 5時間

いずれも免状の有無によって異なるので、詳細を知りたい方は消防試験研究センターホームページをご確認ください。

参考:一般財団法人消防試験研究センター|消防設備士試験 試験科目及び問題数

資格取得後は講習受講が義務づけられている点に注意

消防設備士の試験に合格した後は、定期的に講習の受講が義務づけられています。

消防用設備や特殊消防用設備等の工事・整備における新たな知識・技能習得に必要なため、資格取得後は講習の参加があることを念頭に置きましょう。

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消防設備士取得によるメリット


ここでは消防設備士取得によるメリットを紹介します。

スキルアップ・キャリアアップにつながる

消防設備士を有することで、スキルアップやキャリアアップにつながるメリットがあります。

建設物にはその規模や用途、収容人数に応じた消防設備の設置が法律によって義務づけられています。

これらをいつでも安全に使用できるよう整備しておくためには、消防設備士の資格が不可欠です。

資格の保有によって消防設備の安全確保が行えるので、職場の信頼度向上が見込めるほか、資格取得による資格手当の支給、昇格にも期待できます。

将来的な需要に期待が持てる

さまざまな建設物や施設に設置が義務づけられている消防設備。

建物がある以上、消防設備の保全・整備が欠かせないことから、将来的にも安定した需要が期待できるのも大きなメリットです。

特にこれからの日本は超高齢化社会を迎え、高齢者施設や病院などの需要が増え、その分だけ、消防設備の設置・点検も増えます。

そのことから、人々が利用する建物が存在する限り、需要が衰えないのも大きなメリットです。

社会貢献

人々が利用する建設物や施設に設置する消防設備は、常に安全に利用できるよう、万全な整備が欠かせません。

安全に使用できるよう整備をする行動は、間接的に社会貢献につながると考えられます。

間接的ではありますが、人々の暮らしに貢献したいといった方にはおすすめの職種と言えるでしょう。

消防設備士の資格取得を目指そう

建設物や施設などに設置されている消防設備は、消防設備士によって点検・整備・交換等が行われています。

消防設備士が存在していないと安全に消防設備を使用できないことから、間接的に人々の暮らしを守る社会貢献的な魅力がある仕事と言えます。

消防設備士の難易度は類によって差があるものの、国家資格の中では目指しやすい資格です。

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