建設業界の資格

空調設備におすすめの資格ランキング|難易度や勉強法を解説

空調設備の業務に携わりたい方の中には、転職に有利になるよう資格取得を目指そうと考える方も多いのではないでしょうか。

空調設備とひと口に言っても、業務内容は多岐にわたるため、どの業務に就きたいのかを明確にした上で資格取得を目指すのがおすすめです。

そこで今回は、空調設備の業務におすすめの資格を10種、ランキング形式で紹介します。

これからどのような業務に就こうかまだ未定の方、空調設備にまつわる資格について把握しておきたいといった方はぜひ参考にしてください。

空調設備におすすめの資格ランキング


まずは空調設備におすすめの資格ランキングを現場で求められやすく需要が高い順に紹介します。

一覧で名称と概要を紹介するので、どのような資格があり、どう業務に活かせるものなのかを把握しておきましょう。

名称 概要
1位
電気工事施工管理技士
  • 建設業法第27条に基づく国家資格
  • 1級では主任技術者および監理技術者に、2級では主任技術者として認められる
2位
管工事施工管理技士
  • 建設業法第27条に基づく国家資格
  • 配管工事の施工計画を企てたり、工期・安全・品質といったあらゆる管理に携わることができる
3位
電気主任技術者
  • 電気事業法第44条に基づく国家資格
  • 工場、ビル、発電所、変電所等に設置された電気設備の保守・管理業務に携わることができる
4位
電気工事士
  • 電気工事士法第3条等に基づく国家資格
  • 電気工事の欠陥による災害等の発生防止を目的に制定
  • 第二種と第一種に分かれており、第一種の方が業務範囲が広い
5位
冷凍機械責任者
  • 高圧ガス保安法に基づく国家資格
  • 高圧ガス製造保安責任者と呼ばれる資格区分の1つに該当
  • 冷凍設備等における高圧ガスの製造施設の保安業務に携わることができる
6位
エネルギー管理士
  • 省エネ法に基づく国家資格
  • 国家資格のひとつではあるが受験資格はなく、誰でも受験可能
  • 社会的環境に応じたエネルギーの合理化を目指すため、エネルギーを消費する設備の維持や使用方法の改善、監視業務に携わることができる
  • 通称「エネ管」
7位
建築物環境衛生管理技術者
  • 建築物の維持を目的に監督業務に携わることが可能な国家資格
  • 特定建築物では専任が義務付けられており、一定の需要がある
  • 通称「ビル管理士」
8位
ボイラー技士
  • 労働安全衛生法に基づく国家資格
  • ボイラー工事をはじめ、整備・点検といった保守業務に携わることが可能
  • 2級、1級、特級、ボイラー取扱技能講習の4種ある
9位
冷媒フロン類取扱技術者
  • 冷凍空調業界団体が管轄する民間資格
  • 冷媒(フロンガス)を含む業務用エアコンの点検、冷媒の充填、回収業務に携わることができる
10位
認定電気工事従事者
  • 住宅や工場等の電気設備において、感電・火災等のリスク防止を目的に制定された資格
  • 試験はなく、講習を受けることで取得できる
  • 第二種電気工事士では不可能な業務に携わることができる

1位|電気工事施工管理技士

電気工事施工管理技士は7種存在する施工管理技士国家資格の1つで、建築物の建設や増築に求められる電気工事における施工計画の立案・作成、工事工程・安全・品質等の管理を行うことができます。

資格は1級と2級に分かれており、違いは以下の通りです。

  • 1級:大型ビルや商業施設といった総額4,500万円以上の大規模な案件で下請に依頼するような建設現場での活躍が可能
  • 2級:総額4,500万円以下の中小規模の建設現場で活躍が可能

どちらも金額的には大きな現場であるため、「将来は建設現場で監督という立場で活躍したい」といった方におすすめです。

電気工事施工管理技士にはどの級も第1次検定と第2次検定があり、各等級の合格率は下記の通りです。

  • 1級:第1次検定/38~56%台、第2次検定/53~73%
  • 2級:第1次検定/53~65%台、第2次検定/43~66%

国家資格のひとつであるため、難易度は高いです。
働きながら取得を目指すには、試験対策を入念に行う姿勢が求められると言えるでしょう。

1級、2級の試験概要や受験料等は建設業振興基金ホームページよりご確認ください。

2位|管工事施工管理技士

管工事施工管理技士は国土交通省が管轄する施工管理技士国家資格の1つで、配管工事に伴う施工企画の立案や工期・安全・品質等の管理に携わることができます。

この資格を有することで、空調設備をはじめ、配管工事、ガス管配管設備、上下水道配管設備等のプロとして活躍できます。

管工事施工管理技士は1級と2級に分かれており、国土交通大臣が認定した機関で開催される試験に合格することで取得可能です。

それぞれの等級には第1次検定と第2次検定があり、それぞれの合格率は下記の通りです。

  • 1級:第1次検定/30%前後、第2次検定/70%前後
  • 2級:第1次検定/50%前後、第2次検定/70%前後

1級を目指す上では第一次検定の試験対策を入念に行うことが不可欠と言えるでしょう。

管工事施工管理技士の受験資格や受験地については建設管理センターホームページをご確認ください。

参考:建築管理センター|令和6年度 1・2級管工事施工管理技士[資格詳細]

3位|電気主任技術者

電気主任技術者は、難易度が低めの第3種から、取り扱える電気工作物の範囲がやや広い第2種、すべての事業用電気工作物を取り扱うことが可能な第1種の3つに分かれています。

第1種電気主任技術者 すべての事業用電気工作物を取り扱うことができる
第2種電気主任技術者 電圧が17万V未満の事業用電気工作物を取り扱うことができる
第3種電気主任技術者 電圧が5万V未満の事業用電気工作物を取り扱うことができる
ただし出力5千kW以上の発電所は不可

第1種と第2種では1次試験と2次試験があり、第3種では1次試験のみクリアすることで資格を取得できます。

電気主任技術者のそれぞれの合格率は以下の通りです。

  • 第1種:1次試験/30%前後、2次試験/8~20%
  • 第2種:1次試験/24~35%、2次試験/17~24%
  • 第3種:10~15%前後

第3種は電気主任技術者の登竜門的立ち位置であるものの、基本的なことをきちんと身につけるためか2次試験のみにもかかわらず合格率は10%台と難易度は高め。

第1種は2次試験が8%と一桁だった年度もあることから、どの種を受ける場合も入念な試験対策が求められると言えるでしょう。

電気工事主任技術者試験の詳細については電気技術者試験センターホームページよりご確認ください。

参考:ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター|電気主任技術者って何だろう?

4位|電気工事士

電気工事士は住宅やビルなどに設置された電気設備における災害防止等を目的とした資格です。

資格は第1種と第2種に分かれ、以下のような違いがあります。

第1種電気工事士 住宅や小規模店舗などを含む一般用電気工作物等の電気工事が可能
第2種電気工事士 住宅や小規模店舗などを含む一般用電気工作物等の電気工事に加え、小規模工場、ビルなどを含む最大電力500kW未満の需要設備の電気工事が可能

受験資格に制限等はなく、どなたでも受験が可能です。
試験はどちらも学科試験と技能試験があり、それぞれの合格率は以下の通りです。

  • 第1種:学科試験/40%前後、技能試験/60%前後
  • 第2種:学科試験/60%前後、技能試験/70%前後

国家資格であるもののどちらも比較的高い合格率です。
試験詳細について知りたい方は、経済産業省ホームページをご確認ください。

参考:METI/経済産業省|電気工事士

5位|冷凍機械責任者

冷凍機械責任者は冷凍設備に必要な高圧ガスを製造するための施設の保安業務に就くことが可能な国家資格です。

第1種、第2種、第3種と分かれており、それぞれで業務範囲が下表のように異なります。

第1種 製造施設全般の保安業務が可能
第2種 1日の冷凍能力が300t以下の製造施設の保安業務が可能
第3種 1日の冷凍能力が100t以下の製造施設の保安業務が可能

冷凍機械が設置された事業所は、冷凍保安責任者として冷凍機械責任者を選任後、都道府県知事へ届け出なければなりません。

届けを出すには各事業所で冷凍機械責任者資格を有する人を雇用することが必要なため、一定の需要が見込まれる資格です。

令和5年度の各種の全科目受験による合格率は以下の通りです。

  • 第1種:35.9%
  • 第2種:33.2%
  • 第3種:39.9%

いずれも30%台ということから、きちんと試験対策を講じることが合格の近道と言えます。

試験フローや試験詳細については高圧ガス保安協会ホームページをご確認ください。

参考:読売理工医療福祉専門学校|冷凍機械責任者
参考:高圧ガス保安協会|令和5年度高圧ガス製造保安責任者試験結果(大臣試験)
参考:高圧ガス保安協会|令和5年度高圧ガス製造保安責任者試験結果(知事試験)

6位|エネルギー管理士

エネルギー管理士は、エネルギー使用の合理化を踏まえ、エネルギーを消費する設備の維持やエネルギー使用方法の改善・監視、経済産業省が定める業務管理が可能になる資格です。

主な仕事場は、原油換算で年間3,000Klを超える大規模エネルギーを使用する「第1種エネルギー管理指定工場」です。

エネルギー管理士は第1種エネルギー管理指定工場に該当する施設に1〜4人配置することが義務づけられており、サブコン業界やプラント施設の多い日本では一定の需要が見込まれる資格と言われています。

試験は受験者共通課目である基礎試験に加えて専門区分の「熱分野」「電気分野」のいずれかを選択・受験します。

専門区分試験は3つの課目から出題されることから、基礎試験対策に加え、3つの課目の試験対策が必要になります。

令和5年の合格率は31.8%で、難易度の高い試験であることが分かります。
試験の詳細については省エネルギーセンターホームページをご確認ください。

参考:ECCJ 省エネルギーセンター|エネルギー管理者の職務
参考:ECCJ 省エネルギーセンター| エネルギー管理士試験 合格者発表

7位|建築物環境衛生管理技術者

建築物環境衛生管理技術者は、建築物の維持と衛生の管理に携わることが可能な資格です。

監督という立場での業務になることからマネジメント経験のある方に向いています。

3,000平方メートル以上の床面積を持つ特定建築物には同資格を持つ人を選任することが義務づけられており、一定の需要が見込まれる資格でもあります。

厚生労働省による令和5年の合格率は21.9%と難易度の高さがうかがえます。

国家資格の一つであり、試験の配点が1問につき1点という特徴から、受験に際してはスクールや通信教育等での試験対策が合格の近道と言えるでしょう。

受験資格や試験科目については日本建築衛生管理教育センターホームページよりご確認ください。

参考:厚生労働省|「第53回建築物環境衛生管理技術者試験」の合格発表

8位|ボイラー技士

ボイラー技士はボイラーの取り扱い業務に就く上で必要となる資格で、特級・1級・2級で取り扱い可能なボイラー規模が異なります。

特級 大規模な工場や高層ビル等の運営・管理に携わることができる
1級 中規模のビル、工場、ビルなどに設置されたボイラー管理に携わることができる
2級 一般住宅等に設置された給湯設備や冷暖房器具のボイラー管理に携わることができる

2級ボイラー技士免許取得に受験資格はありませんが、1級では2級ボイラー技師免許が、特級では1級ボイラー技師免許が必要です。

また実務経験の年数も1級・特級で異なるので、受験に際しては受験資格を満たしているか確認するよう注意しましょう。

安全衛生技術試験協会の令和5年の合格率は以下の通りです。

  • 特級:21.8%
  • 1級:49.6%
  • 2級:54.7%

上級に上がるほど難易度が高くなるものの、2級、1級は比較的狙いやすい資格と考えられます。

各資格の詳細については安全衛生技術試験協会ホームページをご確認ください。

参考:一般社団法人日本ボイラ協会|ボイラー技士等関係免許
参考:公益財団法人安全衛生技術試験協会|試験実施統計

9位|冷媒フロン類取扱技術者

冷媒フロン類取扱技術者は冷媒漏洩問題による地球温暖化防止を目的に施工された「フロン排出抑制法」に基づき、業務用冷凍空調機への冷媒の充填・整備等を行うために制定された民間資格です。

同資格は第1種と第2種に区分され、それぞれに講習と修了考査が設けられています。
第1種、第2種の概要と修了考査の出題範囲は下表の通りです。

第1種
  • フロン類の使用の合理化および管理の適正化について十分な知見がある者に認定交付される
  • 講習後の修了考査では以下項目が問われる
    • 漏えい点検:機器の構造および運転方法について十分な知見を有する者
    • フロン類の充てん:フロン類の充てん方法について十分な知見を有する者
    • フロン類の回収:フロン類の回収方法について十分な知見を有する者
第2種
  • フロン排出抑制法に対して十分な知見がある者に認定交付される
  • 講習後の修了考査では以下項目が問われる
    • 漏えい点検:機器の構造および運転方法について十分な知見を有する者
    • フロン類の充てん:フロン類の充てん方法について十分な知見を有する者
    • フロン類の回収:フロン類の回収方法について十分な知見を有する者

第1種、第2種それぞれの講習については日本冷凍空調工業会ホームページをご確認ください。

参考:一般社団法人日本冷凍空調設備工業連合会|冷媒フロン類取扱技術者制度
参考:一般社団法人日本冷凍空調工業会|冷媒フロン類取扱技術者講習会について

10位|認定電気工事従事者

認定電気工事従事者は、住宅や工場での電気設備工事において発生しうる感電・火災等のリスクを防止する目的で制定された資格です。

この資格を有することで、第2種電気工事士では不可能な電圧600V以下で使用する最大電力500kW未満の需要設備を含む自家用電気工作物の工事に従事できます。

認定電気工事従事者は国家資格ではないため、国家試験がありません。

認定基準をクリアしていればどなたでも講習を受けることで取得可能です。

  • 大手求人サイトで全国トップクラスに輝いたアドバイザーが在籍
  • 年収1000万円以上になった方も
  • 年収350万円以上の大幅UP事例もあり
  • 業界特化で「分かっている」提案。企業知識が段違い
  • 休日や夜間でも専属アドバイザーが対応

資格取得を目指すために|おすすめの勉強法


ここでは空調設備にまつわる資格取得を目指す際におすすめしたい勉強法を紹介します。

➀スクールに通学する

空調設備にまつわる資格の多くは国家資格です。

そのため、空調設備工事に従事しながら独学で国家資格に挑む場合、多くの時間と労力が伴います。

そのことからできるだけ早く資格を取得したいといった方はスクールに通学し、試験対策を踏まえた勉強に取り組むのがおすすめです。

スクールにはまとまった費用がかかるほか、スクール毎で費用が異なります。

費用の比較と併せて自分に合った通学スタイルがあるかなどもチェックし、試験合格を目指しましょう。

➁独学

試験勉強にあまり費用をかけたくない方は独学も方法のひとつです。

試験までのスケジュール管理や徹底した自己管理が必要になるため、これらを得意とする方には向いている方法です。

しかし独学ではテキストや過去問題集など用意するものがある程度限られているため、試験対策としてはやや不足と感じる部分も。

最近では動画配信サービスなどでも試験対策にまつわる動画を視聴できるので、いくつかのツールを上手に活用することで試験突破につながるでしょう。

③通信講座を利用する

自分の性格上、独学やスクールへの通学は不向きといった方は通信講座を利用する方法も検討しましょう。

スクールほどは費用がかからないので、試験対策を踏まえた勉強を自分なりに取り組みたいといった方におすすめです。

通信講座によってはサポート体制が充実しており、メールやチャットを使って分からない部分を質問することも可能。

また、スマートフォンやタブレットを使用して過去問を解くことができるアプリを配信する通信講座もあるので、好きな時間に無理なく試験勉強に取り組みたい方は検討してみると良いでしょう。

④隙間時間を活用する

通勤・通学の時間や入浴時など、空いた時間を見て勉強する方法も効果的です。

隙間時間では簡単な過去問を解くのがおすすめです。

テキストを開かなければ分からない問題だと、分からないことを調べるための時間やアクションが必要になります。

しかし、〇や×で回答できる問題であれば出題課目の傾向を覚えることができるので無駄なく取り組むことができます。

資格によっては過去問を解くことができるアプリが展開されているので、興味のある方は調べてみると良いでしょう。

⑤アウトプットをする

覚えた知識はアウトプットによってきちんと身につけることができます。

例えば、自分が目指す資格の知識が自分の暮らしにどのようにかかわっているのかを考える方法です。

電気工事施工管理技士であれば、自分が住む家は2級の業務範囲であり、近くに隣接する大型商業施設の施工は1級でなければ請け負うことができないなどです。

この方法を使い、覚えた知識を家族や友人などに話すことで、テキストに記載された基礎知識を理解した上で身につけることができます。

空調設備に求められる資格の多くは、人々の暮らしにまつわるインフラにかかわっていることが多いです。

そのことから自分が覚えた知識は自分の暮らしにどのようにかかわっているのかを軸にアウトプットしていくと、テキストや過去問の内容を無理に覚えることなく知識を身につけられるでしょう。

⑥誰かと一緒に目指す

自分だけの力では試験突破は難しいと思うときは、同じ資格を目指す同志を探すのもおすすめです。

スクールへ通学していればクラスメイトの多くが同志のため、同じ視座で試験勉強に取り組むことができます。

独学や通信教育の場合はSNSなどを使って同じ資格を目指す人を探すことで、毎日どのように取り組んでいるのかが分かり、試験突破の励みになるでしょう。

志望する企業に沿った資格を目指そう!

空調設備にまつわる資格をランキング形式で紹介しました。

本記事で紹介した以外にもさまざまな資格があるので、資格取得を目指す際は志望する企業が求める人材・資格を確認した上で取り組みましょう。

空調設備にまつわる資格を取得した後、自分の技術・知識に見合った企業で働きたいものです。

そのようなときは、建設・不動産業界に特化した転職エージェント「ゼネラルリンクキャリア」を活用しながら自分に合った企業を見つけましょう。

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