建設業界の資格

無線従事者におすすめの資格とは?概要や難易度を解説

無線設備を取り扱う業務に従事する場合には、無線従事者になるための国家資格を取得する必要があります。

これは日本の法律で資格を取得していない人が無線設備を操作することを認めていないためです。

そこで今回は、無線設備を取り扱う業種へ転職を希望する方へ、無線従事者に該当する資格を紹介します。

どのような業務に求められるのかを押さえ、志望する企業に適した資格を取得しましょう。

参考:無線従事者Q&A Q1. 無線従事者制度って何?

無線従事者資格に該当する資格


無線従事者資格には、総合系を含む5つの種類に区別されます。

  • 総合系
  • 海上系
  • 航空系
  • 陸上系
  • アマチュア系

ここでは各ジャンルに該当する資格と対象となる設備の概要を一覧で紹介します。

資格のジャンル 資格の名称 対象となる設備の概要
総合系 第1級総合線通信士 国際航海に従事する商船の船舶局、船舶と通信を行う際に開設する海岸局等の無線設備が使用できる資格
第2級総合線通信士 近海区域を航行する商船の船舶局、比較的大きな規模の漁船の船舶局や漁業用海岸局などの無線設備が使用できる資格
第3級総合線通信士 遠洋で操業する漁船の船舶局、漁業用海岸局で使用する無線設備が使用できる資格
海上系 第1級海上無線通信士 船上保守可能なGMDSS対応の船舶局、GMDSS対応の大規模な海岸局等で使用する無線設備が使用できる資格
第2級海上無線通信士 範囲が制限された船上保守ができるGMDSS対応の船舶局mGMDSS対応の中規模な海岸局で使用する無線設備が使用できる資格
第3級海上無線通信士 船上保守を行わないGMDSS対応の船舶局、GMDSS対応の小規模な海岸無線局の無線設備が使用できる資格
第4級海上無線通信士 無線電話を使用する漁船の船舶局や漁業用海岸局等の無線設備が使用できる資格
第1級海上特殊無線士 船上保守をしないGMDSS対応の漁船船舶局、商船が装備した国際VHF無線電話等の無線設備が使用できる資格
第2級海上特殊無線士 漁船および沿海を渡航する内航船舶の船舶局、VHFによる小規模海岸局等の無線設備が使用できる資格
第3級海上特殊無線士 沿岸海域で操業する際の小型漁船やプレジャーボートの船舶局の無線電話等の無線設備が使用できる資格
レーダー級海上特殊無線士 商船等が装備した大型レーダー、レーダーのみを搭載した船舶等の無線設備が使用できる資格
航空系 航空無線通信士 航空運送事業用航空機に開設された航空機局、この航空機と通信する航空局等に設置された無線設備が使用できる資格
航空特殊無線技士 航空運送事業用以外の航空機に開設された航空機局、この航空機と通信する航空局等の無線設備が使用できる資格
陸上系 第1級陸上無線技術士 テレビ、ラジオを含む放送局、固定局、無線標識局等の無線設備が使用できる資格
第2級陸上無線技術士 小中規模放送局、航空用無線航行局等の無線設備が使用できる資格
第1級陸上特殊無線技士 多重無線設備を用いた固定局等の無線設備が使用できる資格
第2級陸上特殊無線技士 陸上移動系の無線局、ハブ局を含むVSAT等の無線設備が使用できる資格
第3級陸上特殊無線技士 タクシー無線の基地局等の無線設備が使用できる資格
国内電信級陸上特殊無線技士 国内通信を行う固定局等の無線設備の無線電信による通信操作が可能な資格
アマチュア系 第1級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の無線設備が使用できる資格
第2級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の空中線電力200W以下の無線設備が使用できる資格
第3級アマチュア無線技士 アマチュア無線局kの空中線電力50W以下の無線設備で18MHz以上または8MHz以下の周波数の電波を使用する設備を取り扱うことができる資格
第4級アマチュア無線技士

アマチュア無線局の無線設備で次の項目に該当するもの(ただしモールス符号による通信操作は含まない)が使用できる資格

  1. 空中線電力10W以下の無線設備で21MHzから30MHZまで、または8MHz以下の周波数を用いるもの
  2. 空中線電力20W以下の無線設備で30MHzを超える周波数の電波を用いるもの

参考:総務省|無線従事者資格の学校等の認定状況

無線従事者資格を取得する方法

無線従事者の資格は以下4つの方法で取得可能です。

  • 国家試験を受験する
  • 養成課程を受講する
  • 認定講習課程を受講する
  • 教育機関で無線通信にまつわる科目を修了して卒業する

無線従事者はすべて国家資格です。

そのため資格によっては合格率がひと桁台のものも存在し、難易度が極めて高いです。

希望する資格の難易度が高い場合は国家試験以外の方法を選択するのもおすすめです。

ただし養成課程・認定講習課程で取得できる資格は限定されているので、取得に際しては下表を参考にしながら検討を進めてください。

方法 概要 対象資格
養成課程の受講 日本無線協会で養成課程を受講する
  • 第3級海上無線通信士
  • 第4級海上無線通信士
  • 航空無線通信士
  • 第1級海上特殊無線技士
  • 第2級海上特殊無線技士
  • 第3級海上特殊無線技士
  • 航空特殊無線技士
  • 第1級陸上特殊無線技士
  • 第2級陸上特殊無線技士
  • 第3級陸上特殊無線技士
認定講習課程の受講
  • 第1級総合無線通信士
  • 第2級総合無線通信士
  • 第1級海上無線通信士
  • 第2級海上無線通信士
  • 第3級海上無線通信士
  • 第4級海上無線通信士
  • 第1級陸上無線技術士
  • 第2級陸上無線技術士

※資格は取得可能だがそれぞれで実務経験が求められるので注意

教育機関による科目修了・卒業

無線通信にまつわる科目を修了し、以下教育機関を卒業すること

  • 大学
  • 短期大学
  • 高等専門学校
  • 高等学校または中等教育学校
指定なし

どの資格も受験資格を問わないので、資格取得を目指す方や転職に有利になるよう資格を取りたいといった方にもおすすめです。

無線従事者国家試験手数料については総務省ホームページを、試験の合格基準については日本無線協会ホームページをご確認ください。

参考:公益財団法人日本無線協会|資格をとるには
参考:公益財団法人日本無線協会|養成課程で取得できる資格
参考:公益財団法人日本無線協会|受験案内

➀総合系

総合系 第1級総合線通信士 国際航海に従事する商船の船舶局、船舶と通信を行う際に開設する海岸局等の無線設備が使用できる資格
第2級総合線通信士 近海区域を航行する商船の船舶局、比較的大きな規模の漁船の船舶局や漁業用海岸局などの無線設備が使用できる資格
第3級総合線通信士 遠洋で操業する漁船の船舶局、漁業用海岸局で使用する無線設備が使用できる資格

総合線通信士、いわゆる「総合系」は海上、陸上の無線局の無線設備操作が可能になる資格で、第1から第3級に分かれています。

いずれの資格も受験資格はなく、どなたでも試験を受けることが可能です。

試験の出題形式はマークシートでの選択形式に併せて実技試験があります。

なお総合無線通信士試験は無線従事者試験の中でも難易度の高い資格とされています。

JQOS.jpの調査によると、令和2年から4年までの3年間の合格率は、いずれも1〜5%と一桁台と極めて難易度が高いことが分かります。

そのため総合系を目指す人の多くは免除制度を経由して取得する人が多いようです。
無線従事者の免除制度については日本無線協会ホームページをご確認ください。

公益財団法人日本無線協会|一定の無線従事者の資格を有する者に対する試験の一部免除

参考:公益財団法人 日本無線協会|総合無線従事者
参考:JQOS.jp|総合無線通信士【試験日】合格率や難易度

➁海上系

海上系 第1級海上無線通信士 船上保守可能なGMDSS対応の船舶局、GMDSS対応の大規模な海岸局等で使用する無線設備が使用できる資格
第2級海上無線通信士 範囲が制限された船上保守ができるGMDSS対応の船舶局mGMDSS対応の中規模な海岸局で使用する無線設備が使用できる資格
第3級海上無線通信士 船上保守を行わないGMDSS対応の船舶局、GMDSS対応の小規模な海岸無線局の無線設備が使用できる資格
第4級海上無線通信士 無線電話を使用する漁船の船舶局や漁業用海岸局等の無線設備が使用できる資格
第1級海上特殊無線士 船上保守をしないGMDSS対応の漁船船舶局、商船が装備した国際VHF無線電話等の無線設備が使用できる資格
第2級海上特殊無線士 漁船および沿海を渡航する内航船舶の船舶局、VHFによる小規模海岸局等の無線設備が使用できる資格
第3級海上特殊無線士 沿岸海域で操業する際の小型漁船やプレジャーボートの船舶局の無線電話等の無線設備が使用できる資格
レーダー級海上特殊無線士 商船等が装備した大型レーダー、レーダーのみを搭載した船舶等の無線設備が使用できる資格

海上無線通信士、いわゆる「海上系」の資格を取得すると海上関係の無線局に設置された無線設備の操作が可能になります。

第1〜第4級までの海上無線通信士に加え第1〜第3級までの特殊無線技士、レーダー級海上特殊無線技士が存在します。

JQOS.jpの調査によると、令和2年から令和4年までの各級の合格率は66〜100%と難易度の低さがうかがえます。

参考:公益財団法人 日本無線協会|海上無線従事者
参考:公益財団法人 日本無線協会|レーダー級海上特殊無線技士の詳細
参考:JQOS.jp|海上特殊無線技士【試験日】合格率や難易度

③航空系

航空系 航空無線通信士 航空運送事業用航空機に開設された航空機局、この航空機と通信する航空局等に設置された無線設備が使用できる資格
航空特殊無線技士 航空運送事業用以外の航空機に開設された航空機局、この航空機と通信する航空局等の無線設備が使用できる資格

航空無線従事者、いわゆる「航空系」は航空機に設置された無線通信操作が可能になる資格です。

航空無線通信士と航空特殊無線技士に分かれており、それぞれで取り扱える設備に違いがあります。

JQOS.jpの調査によると、令和元年から4年までの合格率は航空無線通信士で39〜44%を、航空特殊無線技士で76〜80%と狙いやすい資格であることが分かります。

航空系の業務を希望する方は、この機会にチャレンジしてみると良いでしょう。

参考:JQOS.jp|航空無線通信士【試験日】合格率や難易度
参考:JQOS.jp|航空特殊無線技士【試験日】合格率や難易度

④陸上系

陸上系 第1級陸上無線技術士 テレビ、ラジオを含む放送局、固定局、無線標識局等の無線設備が使用できる資格
第2級陸上無線技術士 小中規模放送局、航空用無線航行局等の無線設備が使用できる資格
第1級陸上特殊無線技士 多重無線設備を用いた固定局等の無線設備が使用できる資格
第2級陸上特殊無線技士 陸上移動系の無線局、ハブ局を含むVSAT等の無線設備が使用できる資格
第3級陸上特殊無線技士 タクシー無線の基地局等の無線設備が使用できる資格
国内電信級陸上特殊無線技士 国内通信を行う固定局等の無線設備の無線電信による通信操作が可能な資格

陸上無線従事者、いわゆる「陸上系」は陸上の無線局の無線設備の技術的な操作が可能になる資格です。

2つの陸上無線技士をはじめ、3つの特殊無線技士、国内電信級陸上特殊無線技士の計6種に分かれています。

上表のようにそれぞれで操作可能範囲が異なるため、転職先に適した資格か確認することをおすすめします。

参考:公益財団法人日本無線協会|陸上無線従事者
参考:JQOS.jp|陸上無線技術士【試験日】合格率や難易度

⑤アマチュア系

アマチュア系 第1級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の無線設備が使用できる資格
第2級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の空中線電力200W以下の無線設備が使用できる資格
第3級アマチュア無線技士 アマチュア無線局kの空中線電力50W以下の無線設備で18MHz以上または8MHz以下の周波数の電波を使用する設備を取り扱うことができる資格
第4級アマチュア無線技士

アマチュア無線局の無線設備で次の項目に該当するもの(ただしモールス符号による通信操作は含まない)が使用できる資格

  1. 空中線電力10W以下の無線設備で21MHzから30MHZまで、または8MHz以下の周波数を用いるもの
  2. 空中線電力20W以下の無線設備で30MHzを超える周波数の電波を用いるもの

アマチュア無線技士、いわゆる「アマチュア系」の資格では、アマチュア無線局の無線設備が使用できます。

他資格同様、資格の種類によって捜査範囲が異なり、業種に適した資格を目指す必要があります。

JQOS.jpの調査によると、令和2年から4年までの合格率は以下の通りです。

  • 第1級:28~31%
  • 第2級:49~53%
  • 第3級:80%台
  • 第4級:76~80%

第1級以外は50%以上であることから狙いやすい資格と考えられます。

参考:JQOS.jp|アマチュア無線技士(第一級、第二級)【試験日】合格率や難易度
参考:JQOS.jp|アマチュア無線技士(第三級、第四級)【試験日】合格率や難易度

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無線系資格を取得するメリット


ここからは無線系資格を取得するメリットを紹介します。
無線を取り扱う業務では必須となる資格です。

資格取得によって無線を取り扱う業務に携われる以外にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

➀細部まで知識を身につけられる

無線を取り扱う業務に就くためには必須とされる無線系資格。

いずれも国家資格であることから難しい勉強が伴いますが、その反面、無線通信にまつわる知識を細部にわたって身につけることができるのはメリットと言えます。

IoTやAIといった知識も、時代の進化とともに不可欠な知識になるでしょう。

そのことから、将来を見据えたスキルアップにもつながるのは無線系資格を学ぶ最大のメリットと言えます。

➁他資格の受験科目が免除される

無線系資格は無線通信にまつわる技術や知識を一定レベルまで保有していることを証明する資格でもあります。

そのことから、いずれかの資格を有することで一部科目あるいは受験科目の免除を受けることができます。

一例としては、第1級総合無線通信士の資格保有によって電気通信主任技術者試験の電気通信システムの科目が免除されるなどです。

技術や知識を身につけられるだけでなく、他資格でも取得によって有利にはたらくケースがあるので、無線系資格の取得は大きな武器になると言えるでしょう。

③就職・転職が有利になる

無線系資格の取得によって就職や転職が有利になることも。

例えば電気通信事業を主体とした企業の場合、無線系資格を有することで歓迎される場合があります。

企業によっては福利厚生に資格取得制度を導入しているケースもあり、入社後に資格取得を目指すことも可能です。

ただし入社後は業務を覚えることと試験勉強を両立することになります。

無線系資格の取得を検討する際は、時間があるのであれば転職活動期間中に取得し、転職後の即戦力になるよう備えておくことをおすすめします。

無線従事者資格を取得する|おすすめの勉強法


無線従事者資格の取得を目指して勉強する場合、下表の方法をおすすめします。

参考書に目を通す
  • 参考書には押さえるべき知識が盛り込まれている
  • 参考書の内容を全部覚えようとするのではなく、どのようなことが記載されているのか目を通すだけに留める
過去問を解く
  • 比較的直近の過去問を解いて出題範囲、傾向を覚える
  • 日本無線協会では過去問を公開し、ダウンロードできるようにしているので、積極的にたたき込む
  • 自己採点をして点数が上がっていることが確認できるよう、10回ずつを目処に挑戦していく
計算問題を徹底して解く
  • 計算問題は得点を稼げる問題でもある
  • 数字が得意な人はケアレスミスをしないよう、過去問で全問正解できるよう練習する
  • 計算が苦手かつ試験まで時間がない人は、計算問題を「得点源」と捉え、試験傾向を覚えることを優先する

なお、勉強に取り組む中で国家試験にハードルの高さを感じた方は養成課程または指定科目の修了かつ卒業する方法を視野に入れると良いでしょう。

参考:公益財団法人日本無線協会|養成課程で取得できる資格

無線を使用する職種に就きたいなら資格取得を目指そう!

無線通信の操作には国家資格の無線系資格の取得が不可欠です。

取得にあたっては国家試験のほかに養成課程の修了や教育機関による科目修了・卒業といった方法があるので、自分の性格や転職スケジュールを考慮して目指してみてください。

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