施工管理の転職ノウハウ

森ビルの就職難易度は?採用倍率・年収・離職率から紐解く人気企業の実態

森ビルは六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズに代表される大規模都市開発プロジェクトを手掛ける総合デベロッパーです。

そのブランド力と知名度から就職先としても高い人気を誇り、新卒採用では毎年数千人規模の応募が殺到します。
一方で採用人数はごくわずかであるため、「森ビルに就職するのは難しい」という声も少なくありません。

本コラムでは、建設業界でキャリアを積みたい読者に向けて、人気企業・森ビルへの理解を深め、転職・就職活動の参考となる情報をお届けします。

森ビルの企業概要と業界内での地位【森ビルはどんな会社?】

森ビルは1959年創業の大手不動産デベロッパーで、東京都心部の都市再開発に強みを持つ企業です。六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズ、麻布台ヒルズなど数々のランドマーク的な複合施設を開発・運営し、日本の都市開発業界をリードしてきました。
本社は東京・港区に位置し、オフィスビル・商業施設・住宅・ホテルなど幅広い事業を展開しています。上場はしていませんが、総合デベロッパー8社の一角に数えられる存在感を持ち、その独自路線と都市づくりへのこだわりから業界内でも特筆される存在です。

参照元:森ビル(株)会社概要

画像の説明

上場せず独自路線を貫く森ビルの特徴

森ビルがユニークなのは非上場である点です。
創業家である森一族の下で経営されており、短期的な株主利益に左右されない長期視点のまちづくりが可能となっています。その結果、「ヒルズ」シリーズに代表される大胆な都市開発を次々と実現してきました。

また、文化・芸術・コミュニティにも注力しており、美術館の運営やタウンマネジメント(地域活動の支援)など独自の企業文化を築いています。こうした取り組みが企業のブランド価値を高め、就職先としても多くの学生・社会人から憧れを集める要因となっています。

森ビルの就職難易度

森ビルは就職人気ランキング常連の企業であり、その就職難易度は極めて高いとされています。
知名度の高さや事業の魅力から応募者が非常に多い一方、新卒採用人数は毎年30~40名程度に限られるためです。その結果、採用倍率は数十倍から年によっては100倍を超えるとも推定されています。
ここでは森ビルの人気の高さと採用倍率の実態についてデータを確認します。

参照元:森ビル(株)募集要項

就活生から圧倒的な人気: ランキング上位の常連企業

就職情報各社の調査によれば、森ビルは文系・理系問わず就活生の人気企業ランキングで常に上位20位以内に入る常連企業です。
特に都市開発に関心の高い学生から支持が厚く、マイナビの調査では東京大学・京都大学の就職人気ランキングで森ビルが2位にランクインしたとの報告もあります。
このように高学歴層を含め幅広い学生にとって憧れの企業であることが、応募者数の多さにつながっています。
また「よく名前を聞く有名企業」かつ「六本木ヒルズの会社」として知名度が高いため、不動産業界志望でなくとも応募してみたいと考える学生も少なくありません。こうした人気の高さが、結果的に就職難易度を押し上げる要因となっています。

参照元:マイナビ,UT-Board

採用人数わずか×応募数数千=超高倍率の選考

森ビルの新卒採用人数は例年30~40名程度と発表されています。
近年の実績では、2022年入社31名、2023年35名、2024年29名と大きな増減はなく、ほぼ一定の採用枠です。一方で、プレエントリー(エントリー登録)する学生は毎年数千人規模に上ります。

参照元:マイナビ,タレントスクエア,就活会議

森ビルの平均年収と給与水準:平均年収は約977万円、昇給カーブも安定

森ビルが公表している有価証券報告書によれば、2025年3月期における平均年収は977万円(平均年齢43.6歳)となっています。近年は増加傾向にあり、2023年度実績で955万円だった平均年収が2年間で20万円以上上昇しています。

新卒初任給は月額31万円程度(2025年入社)とされ、賞与を含めた若手の年収も比較的高めです。30代前半で年収700万円台、40代で900万円台に到達するなど着実に右肩上がりの昇給カーブが描ける環境です。

このように森ビルは不動産業界でも有数の高年収企業であり、収入面での魅力が就職・転職志望者の関心を集めています。

参照元:森ビル(株)有価証券報告書,トレオンメディア,OpenWork

他デベロッパーとの比較: 業界内では中堅クラスの水準

平均年収977万円という数字は一般企業と比べれば極めて高水準ですが、
同じ総合デベロッパー各社の中で見ると中位クラスの水準です。
例えば三菱地所の平均年収は約1,348万円、三井不動産は約1,756万円と森ビルを大きく上回っています。
一方、住友不動産は749万円と森ビルより低く、東急不動産ホールディングスは1,278万円と森ビルとの中間程度です。

以下の表は主要デベロッパーの平均年収を比較したものです。

企業名 平均年収(最新期) 平均年齢
森ビル 977万円 43.6歳
三菱地所 1,348万円 40.6歳
三井不動産 1,756万円 42.4歳
住友不動産 749万円 42.6歳
東急不動産HD 1,278万円 42.8歳

ご覧のように、森ビルの平均年収は業界トップクラスの三井不動産・三菱地所ほどではないものの、年収1,000万円近い水準を実現しており十分高待遇です。
都市再開発という専門性の高いフィールドで働ける点や、安定した経営基盤による手厚い賞与(年間4~6か月分程度とも推定)も含めると、
森ビルで得られる報酬面の満足度は非常に高いと言えるでしょう。

参照元:

有価証券報告書/森ビル(株),三菱地所(株),三井不動産(株),住友不動産(株),東急不動産HD(株)

トレオンメディア

森ビルの待遇・福利厚生 :都市住居補助や社宅などユニークな住宅サポート

森ビルは社員自身が都心に居住し仕事と生活を近接させるライフスタイルを推奨しています。
そのため、本社のある六本木ヒルズから半径5km圈内に賃貸居住する社員には「都心居住補助」が支給されます。勤務地近くに住むことで通勤時間を減らし快適に暮らせるよう支援しています。
また、港区を中心に独身寮・社宅も用意されており、遠方出身の新入社員など一定条件を満たす場合には低廉な家賃で入居可能です。
さらに森ビルでは災害対策の一環として、主要開発拠点(六本木・虎ノ門・アークヒルズ・麻布台ヒルズの周辺3.5km圏内)に居住する社員から「防災要員」を募り、登録者には都心居住補助に加えて月5万円の防災要員手当を支給しています。
震災時の初動対応や地域貢献を担う代わりに手厚い住宅支援を行うユニークな制度であり、社員にとっては大きなメリットとなっています。

参照元:森ビル(株)福利厚生

育児・健康支援から社内交流まで手厚い福利厚生

森ビルでは仕事と家庭の両立支援や社員の健康維持のための制度も充実しています。
出産関連では産前産後休暇(期間中は給与支給)や育児休業制度が整っており、育休は子供が2歳になる前日まで取得可能です。
男性社員についても配偶者の出産時に取得できる特別休暇があり、有給の積立制度を活用して育児参加しやすい環境を作っています。
介護についても同様に休業・短時間勤務など柔軟な働き方が認められ、ライフイベントに応じて働き続けられる体制です。

社員の健康面では、社内に医務室(保健室)を設置し常時相談やケアを受けられるようにしているほか、外部のプロ相談員によるEAPカウンセリングも導入し、社員とその家族まで含めメンタルヘルスを支援しています。
リフレッシュのためのマッサージ室まで社内に開設されているのは珍しく、
働く人のコンディション維持に会社として力を入れていることが伺えます。

また社内クラブ活動も盛んで、野球・テニス・ヨガなど11種類のクラブが社員有志により運営され、部署を越えた交流機会になっています。
社員同士の親睦を図る「森ビル親睦会」という互助組織もあり、イベント開催や各種割引サービスを提供するなどコミュニティ形成にも余念がありません。
さらに退職金や企業年金など基本的な制度も完備されており、総合的に見て森ビルの福利厚生は大手企業の中でもトップクラスとの声もあります。
これら手厚い待遇が離職率の低さにもつながっていると考えられます。

参照元:森ビル(株)福利厚生

森ビルの離職率と働きやすさ:自己都合離職率わずか2%台:高定着率に秘密

森ビルの社員の自己都合離職率(=社員の自主的な退職率)は年間2%前後と驚くべき低さです。
例えば2024年度は2.30%、その前の2023年度は2.14%であり、2010年代後半~2020年代前半を通じて1~2%台で推移しています。
この数値は一般的な大企業の離職率(5~10%程度)と比べても格段に低く、森ビルでは一度入社した社員が長く勤続する傾向が強いことがわかります。
離職率が低い背景には、前述した高い給与水準や充実した福利厚生による社員満足度の高さはもちろん、手掛けるプロジェクトの社会的意義やスケールの大きさにやりがいを感じて働き続ける人が多いことも考えられます。

参照元:森ビル(株)人事関連データ

月平均残業20時間台、働き方改革も推進

森ビルは勤務環境の透明性にも努めており、月間平均残業時間を公式に公開しています。
その推移を見ると、2017年度は月29.2時間だったのが、直近の2024年度では月24.9時間と改善傾向にあります。月25時間前後ということは1日あたり1時間強の残業であり、建設・不動産業界としては比較的穏当な水準です。
「働き方改革」の流れも受けて、ノー残業デーの実施や業務効率化が進められた結果と考えられます。
実際、森ビルの残業時間は不動産業界の平均的な水準かやや少なめとの分析もあります。加えて、有給休暇の取得率も2024年度で72.8%と高く、仕事と休暇のバランスを取りやすい職場と言えます。
もちろん開発プロジェクトの佳境など繁忙期はあるものの、平時は家庭やプライベートの時間も確保しやすい職場として、働きやすさの面でも高く評価されています。

参照元:森ビル(株)労働慣行,タレントスクエア

森ビルの新卒採用: 求める人材像と選考のポイント

森ビルは新卒採用で学歴フィルターは設けていないとされていますが、実際には東京大学や早稲田大学など難関大学出身者が多く内定しているのも事実です。
それだけハイレベルな学生がこぞって応募するため、学歴以上に個人の資質や熱意が重視される傾向にあります。
公式には「自ら考え行動し、失敗してもまた立ち上がれる人」を求める人材像として掲げており、都市開発に対する情熱や挑戦心を持った人を積極的に採用しています。
選考フローは書類選考(エントリーシート) → Webテスト→グループディスカッション→面接(複数回)という流れで、特に一次面接の通過率が約10%と非常に低く、ここが最大の関門です。
学生時代の経験を問う質問が多く、他の候補者と差別化できるユニークなエピソードを持っていると強みになります。
難関企業ゆえに準備も大変ですが、長期インターンで実務経験を積んだり、OB訪問で業界研究を深めたりすることで、熱意と適性をアピールすることが重要です。
森ビル側も「未来に向かって行動できるチャレンジ精神」を評価するため、失敗を恐れず挑戦してきたエピソードを積極的に伝えましょう。

参照元:森ビル(株)募集要項,マイナビ,タレントスクエア,ワンキャリア,就活の教科書,就活会議

中途採用: 積極化するキャリア採用のチャンス

近年、森ビルはキャリア採用(中途採用)にも力を入れていることが注目されています。
実際、2024年度の中途採用比率は53.9%と公開されており、新卒一括採用だけでなく多様な経験者を迎え入れて組織力強化を図っているようです。

キーとなるのは、都市再開発や不動産開発に関連する専門スキルや経験をどれだけ積んでいるかです。デベロッパーやゼネコン、コンサルなど関連業界での実務経験に加え、英語力やプロジェクトマネジメント力があるとなお強みになるでしょう。また、森ビルの中途採用は通年でポジションごとに行われることが多いため、定期的に募集情報をチェックし、自身の経歴にマッチする求人があればタイミングを逃さず応募することが大切です。

書類選考・面接では、新卒同様に「なぜ森ビルなのか」「入社後に実現したいこと」を熱意と具体性を持って語ることが求められます。社風としては穏やかでチームワークを重んじる傾向にあるため、これまでの実績をアピールする際も協調性や周囲への影響力に触れると良いでしょう。総じてハードルは高いものの、入社できれば得られるキャリアのリターンも大きい会社です。
専門の転職エージェントを活用するなど戦略的に動き、チャンスを掴んでください。

参照元:森ビル(株)キャリア採用,タレントスクエア

\年収アップ、土日休みの市場にない非公開求人/

>> 質問に回答してあなたに合った求人を確認

まとめ

本記事では、森ビルの就職難易度を採用倍率や待遇面のデータから詳細に見てきました。

森ビルに限らず、業界をリードする企業ほど高い壁がありますが、それを乗り越えた先には大きなやりがいとリターンが待っています。
難関ぶりに尻込みするのではなく、本記事で紹介したようなデータや対策を参考にしながら、ぜひ前向きに挑戦してみてください。
施工王では、建設業界に特化した転職支援会社として、皆さんのキャリア形成をサポートしています。
森ビルをはじめとするデベロッパー志望の方も、最新の業界情報や選考対策を駆使して夢のキャリアを実現させましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

有料職業紹介(許可番号:13-ユ-316606)の厚生労働大臣許可を受けている株式会社ゼネラルリンクキャリアが運営しています。

ゼネラルリンクに相談を

-施工管理の転職ノウハウ

© 2025 施工王 Powered by AFFINGER5