目次
と悩んでいる方向けの記事です。
この記事では、1級建築施工管理技士補ができること、1級と2級の違いや試験概要、1級建築施工管理技士補の取り方などを解説します。
この記事を読むことで、1級建築施工管理技士補の概要や1級建築施工管理技士補でどうキャリアアップできるのかわかりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
新資格 1級建築施工管理技士補とは
1級建築施工管理技士補とは、1級の建築施工管理技術検定の一次検定に合格した人に付与される国家資格です。
建設企業の人材不足を背景に2021年4月に新設されました。
施工管理技士補は監理技術者の補佐が主な役割であり、監理技術者にはなれませんが、実務として監理技術者業務のアシスタント業務を行うことになるため、スキルアップにつながります。
また、企業は1級建築施工管理技士補の保有者を現場に配置することで、監理技術者を他の現場と兼務させることが可能となるため、建築施工管理技士補は建設企業からのニーズが高い資格です。
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1級建築施工管理技士補が新設された理由
1級建築施工管理技士補が新設された理由には以下の2点があります。
- 監理技術者の不足
- 監理技術者の配置義務の緩和
いずれも背景は建設業界の人材不足であり、1級建築施工管理技士補の新設には人材不足の解消に期待される効果があります。
ここでは、1級建築施工管理技士補が新設された理由について解説します。
監理技術者の不足
1級建築施工管理技士補が新設された理由の1つ目は、監理技術者の不足です。
国土交通省の調査では、平成14年から令和4年までの20年間で60歳までの監理技術者資格者保有者数は20.6%も減少しています。
監理技術者の高齢化が進んでいることで、監理技術者が不足をしている状況です。
1級建築施工管理技士補は、監理技術者になれる1級建築施工管理技士が取得しやすくなる資格のため、現役世代の監理技術者の人材確保への効果が期待されています。
監理技術者の配置義務の緩和
1級建築施工管理技士補が新設された理由の2つ目は、監理技術者の配置義務の緩和です。
建設業では、一定の規模以上の工事を受注する建設業者(※)は監理技術者を”専任”で配置することが義務付けられていました。
監理技術者が不足する中で、一人一現場とする”専任”は建設業界にとって重荷となります。
そのため、1級建築施工管理技士補を現場に配置することで、監理技術者がほかの現場を兼務できるように緩和されました。
(※:発注者から直接⼯事を請け負い(元請)、かつ4,500万円(建築⼀式⼯事の場合は7,000万円)以上を下請契約して施⼯する特定建設業者)
1級建築施工管理技士補の新設で変わったこと
1級建築施工管理技士補が新設されたことで、若手でも1級建築施工管理技士へキャリアアップしやすくなりました。
具体的に1級建築施工管理技士補の新設で変わったことは、以下の3点です。
- 施工管理技術検定の「一次検定」合格で資格取得
- 一次検定合格でいつでも二次検定の受験が可能に
- 2級の施工管理技士補合格で1級の一次検定が受験可能に
これまで施工管理技術検定の一次検定(旧学科試験)の合格だけでは、国家資格は取得ができませんでした。しかし、1級建築施工管理技士補が新設されたことで、一次検定の合格で国家資格の取得が可能となっています。
また、これまで一次検定合格後の二次検定(旧実地試験)の受験資格は一次検定に合格した2年後までしか猶予がありませんでした。しかし、1級建築施工管理技士補の新設により、二次検定の受験可能期間は無期限に延長され、いつでも二次検定を受験できるように制度が改定されています。
さらに変更があったのは、これまで実務経験が必要であった1級建築施工管理技士の一次検定は、2級建築施工管理技士補の資格を取得することで受験が可能になった点です。
これらの制度改定により、学歴・実務経験の少ない若手でも1級建築施工管理技士へのキャリアアップがしやすい環境に変わっています。
1級建築施工管理技士補の業務内容
1級建築施工管理技士補の業務内容は監理技術者のサポートを行うことです。
本制度では、現場に配置されている監理技術者が、他の現場を兼務することを前提としているため、監理技術者のアシスタントとして業務を行うこととなります。
具体的には、
- 施工計画の立案
- 安全管理
- 工程管理
- 品質管理
- 原価管理
- 現場運営
- 拾い・発注
- 協力業者への指導ほか
などが該当します。
施工管理技士補の企業側のメリット
施工管理技士補の新設は企業側へ非常に大きなメリットをもたらしています。
代表的な施工管理技士補の企業側のメリットは以下の3点です。
- 監理技術者不足による受注減の防止
- 経営事項審査の評価が有利になる
- 下請け企業が工事の受注がしやすくなる
それぞれ解説します。
監理技術者不足による受注減の防止
施工管理技士補により企業は受注減少を防止できるようになりました。
なぜなら、従来の制度では”専任”で監理技術者を現場に配置できず、受注できない工事もありましたが、施工管理技士補により監理技術者の現場兼任が可能となったため、監理技術者数の倍の工事を受注できるようになったからです。
そのため、企業にとって施工管理技士補の新設は大きなメリットとなっています。
経営事項審査の評価が有利になる
経営事項審査とは、公共事業の入札に参加しようとする建設業者に対して、発注が適切か判断するための審査です。審査内容は主に、経営に関する客観的事項について審査を行います。
この「経営に関する客観的事項」には、企業が雇用する技術職員数も含まれており、1級建築施工管理技士補もカウントされるため、1級建築施工管理技士補の雇用は審査項目の技術力で加点されます。
そのため、1級建築施工管理技士補を採用することは、監理技術者を採用するより安いコストで経営事項審査の評価が有利になるメリットがあります。
下請け企業が工事の受注がしやすくなる
施工管理技士補の新設は、下請け企業の工事受注のしやすさにも寄与しています。
それは、施工管理技士補の配置により、一次下請け企業が工事に参加する条件が緩和される場合があるからです。
例えば、一次下請け企業に主任技術者が配置されていれば、二次下請け企業が独自に主任技術者を配置する必要がなくなります。(1級の施工管理技士補は主任技術者になることができます。)
これまで各下請け企業に主任技術者の配置が必要でしたが、施工管理技士補の新設により、下請け企業は工事に参加しやすくなりました。
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1級建築施工管理技士補を取得するメリット
1級建築施工管理技士補を取得することのメリットは主に以下の3つです。
- キャリアアップのチャンスが増える
- 年収アップのチャンスが増える
- 転職・就職のチャンスが増える
上記3つのメリットがある理由は、企業が1級建築施工管理技士補を採用することに大きなメリットがあるため、1級建築施工管理技士補のニーズが高まっているからです。
それぞれのチャンスについて以下で解説します。
キャリアアップのチャンス
1級建築施工管理技士補を取得することで得られるメリットの1つ目は、キャリアアップのチャンスの増加です。
施工管理技士補は企業にとって貴重な人材で、企業も施工管理技士補の価値を認めています。
なぜなら、施工管理技士補は、資格未保有者と比較して施工管理技士にステップアップしやすい人材で、将来的に二次検定に合格して監理技術者になる可能性が高いためです。
また、施工管理技士補として監理技術者の補佐業務を経験することで、自身のスキルアップにもつながります。
そのため、1級建築施工管理技士補を取得することはキャリアアップのチャンスを得ることにつながります。
年収アップのチャンス
1級建築施工管理技士補を取得することで得られるメリットの2つ目は、年収アップのチャンスの増加です。
先にも説明した通り、企業は施工管理技士補の価値を認めています。
そのため、資格未保有者との評価には差があり、年収の設定にも差がでます。
現時点では、給与として施工管理技士補の資格手当が出る企業は多くないかもしれません。
しかし、無資格で転職した場合と資格保有で転職した場合には、年収アップのチャンスは資格保有していた場合の方が高くなります。
転職・就職のチャンス
1級建築施工管理技士補を取得することで得られるメリットの2つ目は、転職・就職のチャンスの増加です。
1級建築施工管理技士補を取得することで転職・就職がしやすくなります。
求人サイトの応募要件を確認すると、「1級建築施工管理技士補」を記載している企業は数多くあります。
また、企業は条件の良い求人は非公開として、転職エージェントからの紹介された人材のみ選考することも多いです。どのような求人があるのか一度見てみることをおすすめします。
試験情報
1. 試験日、試験地、試験実施機関、申込受付期間など(一次検定)
試験日
一次検定:令和6年7月21日(日)
試験地
札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄(※近郊都市含む)
試験実施期間
申込み受付期間
令和6年2月22日(金)~3月8日(金)
受験料
¥10,800
1-2. 試験日、試験地、試験実施機関、申込受付期間など(二次検定)
試験日
二次検定:令和6年10月20日(日)
試験地
札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄(※近郊都市含む)
試験実施期間
申込み受付期間
令和6年2月22日(金)~3月8日(金)
受験料
¥10,800
1-3. 合格発表日
一次検定 令和6年8月23日(金)
二次検定 令和7年1月10日(金)
2. 試験科目
一次検定
一次検定は四肢択一形式と五肢二択式によるマークシート方式です。全44問中36問を回答します。
検定科目 検定基準 解答形式 建築学等 1. 建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な建築学、土木工学、電気工学、電気通信工学及び機械工学に関する一般的な知識を有すること。
2 .建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な設計図書に関する一般的な知識を有すること。四肢一択
(マークシート)施工管理法 1.監理技術者補佐として、建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な施工計画の作成方法及び工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する知識を有すること。 2 .監理技術者補佐として、建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な応用能力を有すること。 五肢二択
(マークシート)法規 建設工事の施工の管理を適確に行うために必要な法令に関する一般的な知識を有すること。
四肢一択
(マークシート)
二次検定
二次検定は1級建築施工管理技士の試験になります。二次検定は記述式の試験です。大問6問の中に小問が複数含まれ、28問中24問を解答する記述形式と択一形式による試験です。
検定科目 検定基準 解答形式 施工管理法 1. 監理技術者として、建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な知識を有すること。 五肢一択
(マークシート)2.監理技術者として、建築材料の強度等を正確に把握し、及び工事の目的物に所要の強度、外観等を得るたるために必要な措置を適切に行うことができる応用能力を有すること。
3.監理技術者として、設計図書に基づいて、工事現場における施工計画を適切に作成し、及び施工図を適正に作成することができる応用能力を有すること。記述
3. 合格ライン
第一次検定
60問中36問以上正解(五肢二択:6問中4問以上正解。ただし令和3年は6問中3問以上と調整)
第二次検定
60%以上の得点
4. 合格率
一次検定
年度 受検者 合格者 合格率 令和5年 24,078 10,017 41.6% 令和4年 27,253 12,755 46.8% 令和3年 22,277 8,025 36.0% 令和2年 22,742 11,619 51.1% 令和元年 25,392 10,837 42.7% 平成30年 25,198 9,229 36.6%
二次検定
年度 受検者 合格者 合格率 令和5年 14,391 6,544 45.4% 令和4年 13,010 5,878 45.2% 令和3年 12,813 6,708 52.4% 令和2年 16,946 6,898 40.7% 令和元年 15,876 7,378 46.5% 平成30年 15,145 5,619 37.1%
5. 令和6年からの主な受検資格
一次検定 令和7年3月31日までに19歳になる者
(学歴、実務経験ともに不要)二次検定 制度改正前の受験資格要件による二次検定受験ができる
(令和10年度まで)
※試験情報出典:https://www.tac-school.co.jp/kouza_sekokan/sekokan_sk_idx.html
1級建築施工管理技士補を取得してキャリアアップへ活かそう
1級建築施工管理技士補の資格を取得することで、キャリアのチャンスは広がります。
資格を得ることで現場でも任される業務が増え、キャリアアップに必要な経験を積むことが可能です。
国家資格としての取得要件も緩和され、現場配置の技術者の要件も緩和されたため、施工管理技士補のニーズは高まっています。
転職の際にも有利になる資格のため、積極的にチャレンジすると良いでしょう。
有料職業紹介(許可番号:13-ユ-316606)の厚生労働大臣許可を受けている株式会社ゼネラルリンクキャリアが運営しています。