目次
建設業界に携わる上では、さまざまな用語とその意味を理解しておくことが大切です。
今回は、ブリーディングについて解説します。
概要や量の試験方法、量が増える原因について解説しているので、ぜひ今後の業務にお役立てください。
ブリーディングとは
生コンクリートに含まれる水分がコンクリート表面に現れる現象のことをブリーディングと呼びます。
打設後に生じるため、さまざまな影響が起きる可能性を考慮し、注意深く観察することが大切です。
ブリーディング水は多くても少なくても良くありません。
少ない場合は表面が乾燥しやすく、均し作業が難しくなります。
逆に多い場合は、見た目が悪くなったり、強度や耐久性が損なわれる可能性があります。
一般的に、ブリーディング水が多い場合の影響度の方が大きいため、現場ではいかに抑えるかが焦点になっています。
レイタンスとの違い
ブリーディンス水とともに浮き上がる微粒子の薄膜のことをレイタンスと呼びます。
ブリーディングはコンクリート打設後に浮き上がる水のことですが、レイタンスは微粒子が集まった薄膜であるという違いを押さえておきましょう。
ブリーディング量の試験方法
ブリーディング水の量を計測する際は専門的な試験方法が用いられます。
標準的な試験手順には、コンクリートを小型容器に流し込み、一定時間放置し、水分がどれだけ表面に上昇したかを測定する方法があります。
この試験によって、コンクリートの固まり方や強度に対して影響を与えるブリーディング率を計測できます。
現場でこのような試験を用いることで、実際の環境条件のもと、コンクリートの挙動を把握できるほか、試験で得たデータ結果をもとに、最適なミックス設計や適切な打設方法が判断しやすくなります。
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ブリーディング量が増える5つの要因
ここからはブリーディング量が増える原因を5つ紹介します。
なぜ増えてしまうのかメカニズムを把握し、量を増やさないための対策を考えるきっかけにお役立てください。
➀スランプ値
1つ目はスランプ値が大きい可能性です。
スランプ値は生コンクリートの流動性を表す数値で、練り混ぜる際の水分量で変化します。
水分が多いほど値は上がり、少ないほど下がる仕組みです。
そのような原理から、必然的にブリーディング量も増えてしまうのです。
水分量をきちんと計測し、適切な量を使用した上で練り混ぜるよう留意しましょう。
➁水セメント比
水とセメントの重量の比率を指す水セメント比が大きいと、コンクリートの表面から予想以上の水が出てくることがあります。
セメントが固まるときは重さの40%にあたる水が必要といわれていますが、セメントがパサパサしていたりヒビ割れの原因につながることが少なくありません。
そのため国の指針ではセメントが正しく利用できるよう、一般の環境条件の場合のコンクリート構造物に使用する水セメント比は鉄筋コンクリートでは55%以下、無筋コンクリートは60%以下と規定を設けています。
なお、セメントの硬度は天気や湿度によって左右されやすい特徴から、水の量は状況に応じて調整することが大切です。
③打ち込み速度
施工時の打ち込み速度が速いと、重い材料が液体となじまないため、ブリーディング量が増える可能性があります。
ブリーディング量を抑えたいときはできるだけ打ち込み速度を緩やかにするのが効果的です。
また、寒期はブリーディングが起きやすい季節のため、打ち込み速度に気を配ることをおすすめします。
④打ち込みの高さ
コンクリートの打ち込みの高さが不適切だとブリーディングが起きやすくなります。
コンクリートが分離しないよう、セメントの状態や気温、湿度といった状況を見ながら打ち込む高さを調節しましょう。
④打ち込み時の気温
打ち込み時の気温が低いとブリーディングが起きる、あるいはブリーディング量が増えることがあります。
コンクリートを使用する場合、気温が低いときは寒中コンクリートを使用するほか、輸送中は空気量と温度管理の徹底も実施しましょう。
打設後の養生に注意
寒期など気温が低いときにコンクリート打設を行うときは、打設後の養生に注意しましょう。
寒い時期は、養生期間中に凍結する恐れがあるためです。
気温や周囲の温度を考慮し、必要に応じて保温効果の高いマット等を活用し、コンクリートに適した温度・状態を保ちましょう。
⑤振動締め固め
過剰に振動締め固めをするとブリーディング量が増えることがあります。
気温やコンクリートの状態によって固まるまでの時間が異なるので、状況に応じた対応が求められます。
締め固めに不慣れな人が担当する場合であれば、過剰に締め固めていないかをチェックする人が側にいると安心です。
振動締め固めは良いコンクリートに欠かせない
コンクリート打設において、振動締め固めは必須な作業の一つです。
そもそも振動締め固めは、決まった時期に行うことで空隙や余剰水を減らすといったメリットが期待できます。
現場にとって適切な振動締め固めが行えるよう、綿密な施工計画を立てることが大切です。
ブリーディングによって起こりやすいコンクリートへの影響
ここからは、ブリーディングによって起こりやすいコンクリートへの影響を紹介します。
ヒビ割れ
ブリーディングによってはヒビ割れが起きることがあります。
上昇したブリーディング水が蒸発して体積が減ると、コンクリートの表面の高さは元の高さより低くなります。
しかし鉄筋上部のコンクリートは鉄筋の重量によって沈下が進むため、この部分で生じた段差によっては引張力が起き、固まりきらないコンクリートが鉄筋に沿ってヒビ割れることがあります。
この現象を沈みヒビ割れと呼びます。
材料や配合次第によってはヒビ割れが起きても対処でき、ヒビ割れ幅の大小や変動方法に適した補修が行われるのが一般的です。
水密性の低下
水密性が低下すると、鉄筋とコンクリート、またはセメントペーストのくっつく力が落ちることがあります。
水密性が低下すると漏水の原因になりやすいほか、人間の目には見えないほど細かなヒビ割れや空隙が起きることもあります。
コールドジョイント
コンクリートを打ち重ねる時間が不適切で、前に打ち込まれたコンクリートの上に後から打ち込んだコンクリートが一体化しなくなる現象をコールドジョイントと呼びます。
ブリーディングによってはコールドジョイントが発生し、コンクリートが適切に敷設できなくなることもあります。
予防する方法としては以下3つの工夫を取り入れることをおすすめします。
- 余裕のある人員配置
- セメントを配車する
- コンクリートの配合に注意する
コンクリートへの影響を防ぐ2つの対策
ここからは、ブリーディング現象の発生によるコンクリートへの影響を防ぐ対策を2つ紹介します。
➀ブリーディング水を減らす・調節する
1つ目はブリーディング水を減らすまたは調節することです。
有効なのがコンクリート設計段階で水の量を減らす、あるいは材料分離抵抗性の高いコンクリートを選んで使用するなどがあります。
また、細かな粒子の骨材を増やす方法もあるので状況に応じて取り入れてみましょう。
➁施工方法を見直す
2つ目は施工方法の見直しです。
打ち込み速度や高さによってブリーディングは起きやすくなってしまいます。
早急に仕上げなければならない現場などやむを得ないときは、打ち込みに慣れている人が担当したり、側で高さをチェックする人を置くと予防できます。
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ブリーディング量に注意しよう
新鮮なコンクリートが打設された後に、その混合物内の水分が表面に現れ溜まってしまう現象のことをブリーディングと呼びます。
水セメント比が高いときや打設後の振動が不足している際に見られる現象であり、ブリーディング現象によってコンクリートの強度や耐久性に影響を与えることがあります。
本記事で紹介した要因や影響を把握し、適切な敷設を心がけましょう。
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