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2025年6月1日より、建設業を含むあらゆる職場で熱中症対策が「罰則付き」の義務となりました。
夏季の猛暑によって建設現場での熱中症事故が問題になる中、政府は従来の「努力義務」から一歩踏み込み、事業者に対して法的に実施を求める方針へ転換しました。
本稿では、建設業界における熱中症対策義務化の背景や具体的内容、適用範囲、万一発生した場合の罰則、そして現場で実践されている対策事例について詳しく解説します。
熱中症対策義務化の背景と狙い
2020年代に入ってからの猛暑の深刻化と共に、建設現場での熱中症リスクは年々高まっています。
労働災害としての熱中症事故が増加傾向にあり、建設業は特に被害が多い業種となっています。
こうした状況を受け、政府は労働安全衛生規則の改正によって熱中症予防策の徹底を図ることにしました。
背景には「安全配慮の徹底なくして労働者の命を守れない」という危機感があり、全事業者に対し熱中症予防の早期発見・重症化防止体制の構築を義務付けたのです。
近年増加する建設現場での熱中症事故
近年の猛暑により、建設業界では熱中症による労働災害が深刻化しています。
厚生労働省の発表では、2023年に職場で発生した熱中症による死傷者数は1,106人で前年より34%も増加しました。
特に建設業は最も被災者が多く、製造業と合わせて全体の約4割を占めています。
死亡災害も複数件発生しており、2023年は全国で30人台の労働者が熱中症で命を落としたと報告されています。
実際の事例として、2024年7月に千葉県の道路舗装工事現場で作業中だった40代作業員が気温35℃・湿度60%という猛暑環境下で意識を失い搬送される事故が起きました。
作業服や保護具による体熱のこもりや塩分補給不足、異変を感じた際に直ちに中断できなかったことが重なり発症したケースです。
また、2024年8月には前夜が熱帯夜だった東京都内の高層建設現場で、早朝6時の作業開始1時間後に30代の作業員が突然めまいを訴え倒れる事故も発生しています。
朝だから安全という油断や、睡眠不足・疲労の蓄積、高湿度による発汗不全などが重なり、涼しい時間帯でも熱中症が起こり得ることを示しました。
このような「現場の常識では考えにくい時間帯や状況」でも熱中症リスクは存在しており、従来の自主的対策だけでは限界があることが浮き彫りになっています。
猛暑日はもちろん、暑さ指数(WBGT)の高い日や熱帯夜明けの朝も含め、建設業界全体で熱中症への危機感が高まったことが、今回の義務化の大きな背景と言えるでしょう。
猛暑の深刻化と法規制強化の狙い
地球規模の気候変動による猛暑日は年々増加し、その影響は建設現場の労働環境を厳しいものにしています。
「これまで勧告ベースでは対策が徹底されない」という反省から、政府は熱中症予防策を明確に法的義務へ格上げしました。
特に中小建設業者では人手不足やノウハウ不足から対策が後手に回りがちとの指摘もあり、業界規模を問わず確実に対策を実施させる狙いがあります。
義務化によって期待される効果は、全ての建設関連企業における「熱中症予防の底上げ」 です。
安全対策は企業の社会的責任であり、従業員の命と健康を守ることが最優先です。
国は「対策を怠れば法令違反に問われる」という強いメッセージを発することで、現場での意識改革と安全文化の定着を図ろうとしています。
これにより、労働災害防止はもちろん、結果的に労働者の安心感向上や作業効率改善、業界のイメージアップにもつながることが期待されています。
2025年施行・改正労働安全衛生規則のポイント
2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則では、熱中症予防のために事業者が講じるべき具体策が明文化されました。
特に建設業のように屋外で高温環境下の作業が発生する業種にとって重要な改正であり、現場で即実行すべきポイントが3つに整理されています。
以下では、その義務化された対策内容と建設業務への適用範囲について解説します。
改正労働安全衛生規則で求められる3つの取り組み
改正規則により事業者に義務付けられた熱中症対策は、大きく3つの柱に分けられます。
建設業の現場で従来実施されてきた自主対策を踏まえ、さらに体系立った予防・対応策を準備することが求められています。
以下の表に、義務化された主な対策項目とその内容をまとめます。
義務化された対策項目 | 具体的な内容 |
---|---|
①早期発見のための報告体制整備 | 作業者に熱中症の自覚症状や兆候が見られた際、ただちに報告・対応できる体制を構築します。具体的には、熱中症の疑いがある者を見つけたら報告を受ける担当者の選任、現場から迅速に連絡できるルールの明確化などです。また日常的に体調チェックや巡回、バディ制度、ウェアラブル機器の活用で異変を見逃さない工夫も推奨されています。 |
②重篤化を防ぐための手順の策定 | 熱中症の疑いが出た場合に備え、緊急時の対処手順(フロー)を事前に作成します。例えば、社内の緊急連絡網の整備、救急搬送先となる近隣医療機関の把握、応急処置の手順を定めたマニュアルの作成などが含まれます。あらかじめ具体的な対処フローを明文化して周知しておくことで、いざという時に迅速かつ適切な救護措置を取れるようにします。 |
③関係者への周知徹底 | 上記①②の内容を含む熱中症予防策や緊急時対応策について、関係する全ての作業者に事前周知することが義務です。自社社員はもちろん、協力会社の作業員や警備員など現場にいる全員が対象となります。日頃から朝礼での注意喚起、ポスター掲示、教育資料の配布などを通じ、誰もが異常時にすぐ動けるよう情報共有しておくことが重要です。 |
これら3点は「早期発見・迅速な対応・情報共有」という熱中症予防の要諦を押さえたものです。
特に建設現場では多くの下請け作業員や警備スタッフが混在するため、企業の枠を超えた全員参加の体制構築が求められます。
事業者は安全衛生責任者を中心に、これら義務を現場で機能させるためのマニュアル整備と訓練を進める必要があります。
建設業務における適用範囲: 誰が対象になるのか
今回の熱中症対策義務化は、屋外作業を含む全ての事業場が対象です。
したがって、屋外作業の典型である建設業はもちろん、その現場に従事する関連労働者すべてが範囲に含まれます。
具体的には、建設現場で働く正社員・技能労働者・協力会社の職人・現場監督に加え、交通誘導等にあたる警備員も対象です。
建設作業に直接関与しない事務スタッフであっても、例えば猛暑下で屋外点検や測量を行う場合など「熱中症を生ずるおそれのある作業」に該当すれば同様に義務が課されます。
適用範囲のポイントは、「熱中症になるリスクを伴う作業を行う際」という条件です。
言い換えれば、真夏の建設工事や屋外警備業務だけでなく、高温多湿環境下の屋内作業(ボイラー室やトンネル内作業など)も含めて対策が必要になります。
建設業で想定されるほとんど全ての業務が対象となると考えてよいでしょう。
なお、小規模な工事現場などで警備員が一人配置されるようなケースでは、警備会社と建設会社が連携し、休憩時間の確保や緊急時連絡体制について協議しておくことが推奨されています。
このように、現場の規模や関係者の所属に関わらず、「現場全体」で熱中症予防対策を講じることが今回の法改正の趣旨と言えます。
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熱中症発生時の罰則と事業者の責任
義務化に伴い、事業者が熱中症対策を怠った場合には法的な罰則が科される可能性があります。
熱中症対策が「努力義務」であった時代には指導や是正勧告に留まっていた場面でも、今後は違反とみなされれば処罰対象となり得ます。
その内容は労働安全衛生法に基づく刑事罰であり、企業経営に大きな影響を与えるものです。
本章では、具体的な罰則の内容と、万一熱中症災害が発生した場合の企業責任について解説します。
罰則の内容と科される対象
改正規則に違反し熱中症対策を怠った事業者には、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」という罰則規定が適用されます。
これは労働安全衛生法の罰則条項に沿ったもので、安全配慮義務違反に対する刑事罰です。
ポイントは、この罰則が科される対象には法人(会社)だけでなく、事業場の代表者や現場責任者個人も含まれる可能性があることです。
例えば建設会社の社長や現場代理人・安全管理担当者が、組織として必要な対策を講じなかった責任を問われるケースも考えられます。
罰則はあくまで最終手段であり、直ちに逮捕・起訴というよりは、まず労働基準監督署から是正勧告や指導が入ります。
しかし重大な違反や労働災害が発生した場合、刑事処分が検討されることになります。
特に死亡事故など深刻な結果を招いた際には厳正に対処されるでしょう。
企業にとって罰金刑も痛手ですが、それ以上に「安全軽視の企業」とみなされることで社会的信用の低下を招きかねません。
建設業界では慢性的な人手不足が課題となる中、コンプライアンス違反による評判悪化は採用面にも悪影響を及ぼすリスクがあります。
罰則を受ける事態になれば、元請会社からの信頼喪失や公共事業の入札参加停止など、経営上の損失も計り知れません。
熱中症事故発生時の労災認定と企業責任
万が一、現場で労働者が熱中症を発症し重篤な被害(死亡や後遺障害)が出た場合、その事故は労働災害(労災)として扱われます。
労災と認定されれば、被災労働者への労災保険給付が行われるだけでなく、企業には安全配慮義務違反による損害賠償責任が問われる可能性もあります。
実際、過去の事例でも「WBGT値33℃超の環境下で適切な休憩を与えず作業を続行させ熱中症死亡事故に至ったケース」で、企業側の管理責任が認められ労災認定・賠償命令となった例があります。
労災認定に際してポイントとなるのは、企業が事前に講ずべき措置を怠っていなかったかです。
具体的には、適切な水分・塩分補給の指示や休憩の確保、WBGT値の測定と警戒アラートの活用、事前の安全教育の実施といった点がチェックされます。
これらが不十分だったと判断されれば、監督署から是正勧告や企業名公表といった行政処分が下され、前述の刑事罰適用も現実味を帯びます。
要するに、「義務化された対策を講じていれば防げたはずの事故」を起こした場合、企業は法律上・社会上の重大な責任を負うことになります。
建設現場では「暑くてもやり遂げる」「具合が悪くても我慢する」という風潮が残るという指摘もありますが、そうした慣習に頼った安全管理はもはや通用しません。
熱中症事故は人命に関わるだけでなく、企業の存続を揺るがすリスクだと認識し、「起こさない・起こさせない」ための万全の備えが求められているのです。
建設業界における具体的な熱中症対策事例
熱中症対策義務化に伴い、建設現場では様々な創意工夫を凝らした予防策が実践されています。
ここでは、実際の建設現場で導入されている具体策をいくつか紹介します。
温度管理や作業計画の見直しといった基本的な対策から、最新テクノロジーを活用した取り組みまで、多角的に現場の安全を守る工夫が広がっています。
読者の皆さんの現場でもすぐに役立つポイントがないか、ぜひ参考にしてください。
基本の徹底: WBGT管理・休憩所整備・服装改善など
猛暑下でも安全に作業を継続するため、まず押さえるべき基本対策があります。
厚生労働省が推奨する「職場における熱中症予防基本対策要綱」では、建設業で講じるべき8つの基本策を掲げています。
- 作業環境の管理: 暑さ指数(WBGT)の常時測定と、その値に応じたミスト扇風機設置・日除けシート設置などの環境温度低減措置。現場入口にWBGT計を設置し、危険水準時には警報を鳴らす工夫も有効です。
- 休憩場所の確保: 日陰やクーラーの効いた休憩所を設け、こまめなインターバル休憩を取れるようにします。冷却ファン付きのテントや仮設休憩室を用意する現場も増えています。
- 作業時間の調整: 最も気温の上がる時間帯(正午前後)の連続作業を避け、作業時間帯を朝夕の涼しい時間にシフトしたり、適宜作業間隔を空ける計画とします。とりわけWBGTが危険域に達した場合は思い切って作業中断・退避も検討します。
- 水分・塩分補給のルール化: 作業前後や休憩時に必ず水分と塩分(経口補水液や塩飴など)を摂取させるようルール化します。熱中症予防飲料を現場に常備し、「のどが渇く前に飲む」習慣づけが大切です。
- 涼しい服装・装備の採用: 夏場は通気性の良い作業着や空調服(ファン付き作業着)を積極的に導入します。またヘルメットに装着できる冷却パッドや遮熱カバー、アイスベスト等の冷却グッズも有効です。最近ではペルチェ素子を使った電動冷却服など新技術も登場し、現場に取り入れる企業もあります。
- 健康管理の強化: 作業員の日々の健康状態に留意し、持病(心疾患や糖尿病など)のある人や高齢者には無理のない配置を行います。朝礼時の体調ヒアリングや、体温・血圧を測る健康チェックの習慣化も効果的です。
- 労働衛生教育の実施: 熱中症の怖さや予防策を全作業員に教育し、正しい知識と意識を共有します。講習会やeラーニング、ポスター掲示などで注意喚起し、「自分だけは大丈夫」という油断を防ぎます。教育の有無は万一の際の企業責任にも影響するため、毎年夏前に定期的な教育機会を設けるべきです。
- 緊急時対応体制の訓練: 熱中症発症者が出たことを想定し、救急連絡や応急処置の手順をシミュレーションしておきます。例えば担架で日陰に運ぶ、人肌に近い水で身体を冷やす、救急車を誰が呼ぶかなど、役割分担を事前に決めて訓練しておくと、いざという時に慌てず対処できます。
以上のような基本策を「ルール化して確実に実践する」ことが重要です。
昔ながらの職人任せではなく、企業主導で仕組みを整えることで、現場全体の安全度が飛躍的に高まります。
特にWBGT値の測定は熱中症リスク評価の第一歩であり、環境省が提供する熱中症警戒アラート等も活用しながら、その日の作業可否判断や休憩頻度の基準にするとよいでしょう。
基礎を徹底することで、多くの熱中症事故は未然に防げるのです。
テクノロジーと創意工夫による最新の予防策
基本対策に加え、近年ではテクノロジーを駆使した革新的な熱中症予防策も登場しています。
建設業界は安全管理にICTを取り入れる流れが進んでおり、熱中症対策も例外ではありません。
ここでは最新の取り組み例をいくつかご紹介します。
- ウェアラブルセンサーの活用: 作業員の体調変化をリアルタイムで検知する熱中症予防デバイスが普及しつつあります。例えば「ハートウォッチ」は15秒ごとに深部体温の上昇をチェックし、色・音・振動で危険を知らせる機器です。また「カナリア Plus」は手首装着型で作業者個人の熱ストレスを見える化し、異常時にアラームを発するデバイスで、現場での導入実績も増えています。これらウェアラブルは熱中症の初期症状を見逃さず早期発見する助けとなり、特に広い現場や高所作業で人の目が届きにくい状況でも有効です。
- 遠隔モニタリング・ライブカメラ: 現場にライブカメラを設置し、集中監視室や本社から作業状況を確認する仕組みも登場しています。これにより、現場監督が直接目の届かない場所で作業する職人の様子(動きが鈍くなっていないか、休憩を取っているか等)をリアルタイムでチェックできます。異変を感じたら無線で休憩指示を出すなど、遠隔からの早期対処が可能になります。
- 熱中症警戒表示器の活用: 現場にWBGT指数計付きの注意喚起コーンや表示板を設置し、危険度を色や数値で見える化する取組も効果的です。黒球式のセンサーがついたコーン型の装置では、直射日光も考慮した正確なWBGTを測定し、危険ランクを4段階で表示して警告音を発します。コンパクトな温湿度表示付き標識を各所に掲示し、熱中症の症状と対処法をいつでも確認できるようにしている現場もあります。こうした「見える安全管理」によって、作業者一人ひとりの意識も高まり自主的な警戒行動につながります。
- 作業計画のDX: 天候データと連動した作業スケジュール管理も進みつつあります。例えば施工管理アプリ上で各作業日の最高気温・WBGT予報を表示し、危険な日は自動的に作業時間を短縮提案する仕組みを導入した企業もあります。AIを活用して「この気温なら休憩をあと 回追加」などアラートを出す試みもあり、経験に頼らない科学的な対策が可能になっています。
- 現場の風土改革: 技術とは異なりますが、「無理をしない・させない」 風土づくりも最新の取り組みの一つです。ある建設会社では、熱中症アラート発令時には現場責任者が率先して作業中断を宣言し、職人が遠慮なく休める雰囲気づくりを進めています。また、熱中症予防対策を社内表彰制度の評価項目に入れ、安全に配慮した現場ほど高く評価される仕組みにした事例もあります。こうした意識改革は一朝一夕にはいきませんが、トップダウンで安全最優先を示し続けることで徐々に根付いていくものです。
このように、建設現場の熱中症対策はアナログとデジタルの両面から進化しています。
最終的に大切なのは、「どんな優れた道具や制度も、現場で使われ機能してこそ意味がある」という点です。
技術導入と並行して、現場の全員が正しい危機感を持ち、お互いに声を掛け合い助け合う雰囲気を醸成していくことが何よりの対策と言えるでしょう。
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熱中症対策義務化がもたらすもの:安全な職場環境へ
最後に、今回の熱中症対策義務化が建設業界にもたらす影響と今後の展望についてまとめます。
法律で定められた以上、遵守はもちろんですが、それ以上に労働者にとって安心して働ける環境整備が進むという前向きな側面があります。
労働環境の改善と生産性向上への効果
熱中症対策義務化によって建設現場の労働環境は確実に改善されていくでしょう。
適切な休憩や給水の確保、空調服などの装備導入は、一見作業効率を下げるように思われるかもしれません。
しかし健康と安全が守られることで結果的に労働生産性は向上します。
猛暑でも倒れる不安なく働ける方が集中力が維持できミスも減る、充分な休息により午後の作業効率が上がる、といった効果が期待できます。
事実、先進的な安全対策を講じている現場ではヒヤリハット(ヒヤッとした・ハッとした事故未遂)の件数が減少し、品質不良も減ったとの報告があります(※社名非公開の事例)。
また、働く人に優しい職場環境は人材確保にもプラスです。
従来「建設現場は夏場がきつい」というイメージで敬遠していた若者層や女性も、安全管理が行き届いた現場であれば活躍しやすくなります。
特に若い世代は企業の安全やコンプライアンス意識を重視する傾向があり、熱中症対策に真剣に取り組む企業は求職者から見ても魅力的に映るでしょう。
義務化を機に、建設業界全体が安全水準を底上げすることは、将来的な人材不足解消にもつながる可能性があります。
適切な熱中症対策で安全な施工を
2025年6月の法改正により、建設業界における熱中症対策は単なる努力目標から法的義務へと変わりました。
背景には猛暑に伴う熱中症事故の増加と、それを食い止めたい産官双方の強い意志があります。
事業者は早期発見の体制整備・重篤化防止の手順策定・関係者への周知という3つの義務を確実に履行しなければなりません。
違反すれば6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金といった厳しい罰則が科される可能性があり、安全管理の怠慢は企業経営に直結するリスクとなりました。
しかしこの動きは、見方を変えれば建設現場の安全水準を引き上げる大きなチャンスでもあります。
適切な熱中症対策の実施は労働者の命と健康を守り、結果的に作業効率の向上や人材定着にもつながっていくでしょう。
【参考資料】
有料職業紹介(許可番号:13-ユ-316606)の厚生労働大臣許可を受けている株式会社ゼネラルリンクキャリアが運営しています。