目次
施工王では、国内の主要マンションデベロッパー(新築分譲マンションの開発・販売会社)を取り上げ、業界の動向や企業ランキングを分析します。
まず「マンションデベロッパーとは何か」を解説し、最新の売上ランキングと上位企業の概要を紹介。
さらに、分譲マンション市場の価格・供給動向にも触れ、建設業界で働く方に役立つ情報をお届けします。
マンションデベロッパーとは
マンションデベロッパーとは、新築分譲マンションの企画・開発・販売を主業務とする不動産会社のことです。
一般的にデベロッパーは都市開発や宅地造成など「開発」を手がけ、分譲マンションの売主となる企業を指すことが多い。
特にマンションデベロッパーは、地区ごとの居住ニーズを踏まえて土地を仕入れ、高層・中高層マンションを開発し、完成後に分譲します。
デベロッパーの役割と特徴
デベロッパーは用地取得から資金調達、企画・設計、販売まで街づくりの全工程を統括するのが特徴です。 土地を取得・整理し、建築会社(ゼネコン)と連携してマンションを建設。
販売後は管理組合に引き継ぐほか、自社で賃貸管理やリノベーション事業を行う場合もあります。
マンションデベロッパーは大規模開発を得意とする「総合デベロッパー」と異なり、主に住宅(マンション) 開発に特化している点が大きな違いです。
業務には不動産企画やマーケティングカ、行政・金融機関との折衝力が求められ、建築業界で“街づくりのプロデューサー”と呼ばれることもあります。
ゼネコン・ハウスメーカーとの違い
デベロッパーは「開発・企画」が中心であるのに対し、ゼネコンは建築施工の総合管理(工事請負)が主業務、ハウスメーカーは戸建住宅を企画・設計・施工・販売まで一貫して手がける点が特徴です。
デベロッパーが計画を立案し、ゼネコンが建設工事を担うといった役割分担が典型的です。 施工管理技術者や都市プランナーなど、多様な専門性が必要となるのもデベロッパー業界の特色です。
マンションデベロッパー売上ランキング
国内主要マンションデベロッパーの最新ランキング (2025年3月期売上高)では、MIRARTHホールディングス(旧タカラレーベン)が1位で1,965億円を計上し、圧倒的な規模を誇ります。
続く2位プレサンスコーポレーション(オープンハウスグループ)は1,807億円、3位穴吹興産が1,345億円、4位コスモスイニシアが1,295億円と、上位4社はいずれも千億円以上となっています。
10社平均は約1,145億円で、総合デベロッパー(平均1兆323億円)の約9分の1に過ぎません。
表1: マンションデベロッパー売上ランキング (2025年3月期連結)
| 順位 | 企業名 | 売上高(億円) |
|---|---|---|
| 1 | タカラレーベン (MIRARTH HD) | 1,965 |
| 2 | プレサンスコーポレーション | 1,458 |
| 3 | 穴吹興産 | 1,309 |
| 4 | コスモスイニシア | 1,295 |
| 5 | 日本エスコン | 1,136 |
| 6 | FJネクストHD | 1,124 |
| 7 | フージャースHD | 922 |
| 8 | 明和地所 | 799 |
| 9 | 日神グループ | 762 |
| 10 | ゴールドクレスト | 293 |
ランキングの背景と動向
上位企業は全国展開で高い販売実績を持ち、特に都市部の好立地物件に強みがあります。 例えば、プレサンスコーポレーションはオープンハウスグループ傘下のマンション開発会社、タカラレーベン (MIRARTH HD) は「LEBEN」 「NEBEL」ブランドで首都圏を中心に展開する独立系大手です。
一方、下位の企業は規模が小さく地域密着型の開発が中心で、上位との差は数倍から十数倍に達します。 なお、国内のマンション市場は供給戸数が低調で価格上昇傾向にあり、資材費高騰も重なっているため、デベロッパーは企画力・調達力の強化が重要課題となっています。
上位企業の会社概要と特徴
売上ランキング上位には首都圏・関西圏で展開する有力デベロッパーが並んでいます。
ここでは特徴的な企業をピックアップし、それぞれの強みや事業内容を紹介します。
タカラレーベン (MIRARTHホールディングス)
タカラレーベン(本社東京都/MIRARTH HD傘下)は「LEBEN」 「NEBEL」ブランドで知られるマンションデベロッパーです。 首都圏中心に新築分譲マンション事業を展開し、戸建分譲や既存マンション買取再販、リノベーション、資産管理など幅広い不動産事業を手がけます。 グループではホテル開発や海外投資にも進出しており、サステナブルな街づくりを掲げています。
2025年3月期の連結売上高は1,965億円で国内トップとなっており、自社開発・自社施工の一貫体制で高品質な物件供給を強みとしています。
プレサンスコーポレーション
プレサンスコーポレーション(本社大阪)はオープンハウスグループ傘下のマンションデベロッパーで、大阪・京都・神戸など阪神間や名古屋・東京で新築分譲マンション(ワンルーム~ファミリータイプ)を積極的に展開しています。
企画・開発から分譲、管理までを自社で手がける総合デベロッパーで、都市型マンションのブランド開発にも注力。 2025年9月期の連結売上高は約1,458億円で上位2位に食い込む規模です。
穴吹興産
穴吹興産(本社香川県高松市)は総合不動産企業で、県内を中心に「アルファ」ブランドの高品質分譲マンションを展開しています。
香川発祥ながら、東京・大阪にも支店を持ち、注文住宅・リノベーション・賃貸住宅など幅広い事業を展開。 2025年3月期の連結売上は1,345億円と、タカラレーベンやプレサンスに次ぐ大手企業です。
コスモスイニシア
コスモスイニシア(本社東京都)は東京・首都圏を基盤に戸建・マンションの販売・賃貸・不動産流通事業を行う大手デベロッパーです。
1969年設立で歴史が長く、マンション・戸建・土地の仲介・リノベーションなども手がけます。 2025年3月期の連結売上高は約1,295億円で業界上位に位置しています。
最近はDX推進やカーボンニュートラル対応の取組みを強化し、都市型開発に注力しています。
その他の注目企業
上記以外にも地域密着型から全国展開の企業まで多様なプレーヤーが存在します。 例えば明和地所(東京)は都心を中心に分譲マンションを展開し、比較的安定した販売実績を持ちます。
また日神グループ(東京)は「パレステージ」シリーズなどファミリー向けマンション開発を得意とし、首都圏で多数の物件を供給しています。
いずれも売上では数百億円規模ですが、地域特性に応じた街づくりや住宅提供に注力しており、会社の規模感や販売戸数は大手より小さいものの、手堅い経営を続けています。
フージャースHD (Hoosiers)
フージャースホールディングス(本社東京)は、グループ企業を通じて新築マンション分譲や戸建分譲、市街地再開発事業に参画しています。
主力のフージャースコーポレーションはファミリー向けマンションやシニア向けマンションなど幅広い住宅を提供し、資産価値創造を掲げています。
2025年3月期のグループ連結売上は約922億円です。 住宅以外にスポーツクラブ運営やホテル開発など多角事業を展開する点も特徴です。
日本エスコン
日本エスコン(本社東京・大阪)は住宅分譲・再開発・賃貸・資産管理などを手がける総合デベロッパーです。
1995年設立の若い企業ながら、近年は都市再生案件や大型マンション開発で存在感を高めています。 2025年3月期の連結売上は約1,136億円で、マンション分譲事業が収益の柱です。
資産管理や賃貸事業、物流施設開発にも注力しており、多様な事業ポートフォリオが強みとなっています。
マンションデベロッパー業界の動向
昨今の分譲マンション市場では、供給戸数の減少と価格上昇が大きなトレンドです。
三井不動産リアルティのレポートによれば、2025年も土地仕入れコストや建築費高騰に加え供給不足が続き、価格上昇基調となっています。
実際、不動産経済研究所のデータでは、2025年上半期の首都圏平均価格は前年比+16.7%の8,958万円となり、高級物件比率の増加も価格を押し上げています。
こうした市場環境を踏まえ、デベロッパー各社はターゲット層の細分化や用地取得戦略を進化させる必要があるでしょう。
今後の展望
2025年後半以降、首都圏では新規大型開発の販売が予定されており、年間供給戸数は増加傾向にあります。ただし、高止まりする建築費の影響は長期化が予想され、需給バランスの不均衡は当面続く見込みです。
施工王はこれらの業界最前線情報をキャッチアップし、建設業界で働く皆さまに最新の動向分析をお届けしてまいります。
まとめ
本コラムでは「マンションデベロッパーとは何か」から最新の売上ランキング、上位企業のプロフィール、分譲マンション市場の動向まで詳しく解説しました。
ランキング上位企業は大規模資本を背景に積極的なマンション開発を進めており、市場は依然として価格高騰・供給不足の状況にあります。
これからも施工王では業界ニュースをもとに建設・不動産業界の情報を分析・発信していきます。マンション開発に関心のある方は、これら企業の動向を参考に、自らのキャリアや技術を磨くヒントにしていただければ幸いです。
参照元: 三井不動産リアルティ(株)レポート
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