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名鉄名古屋駅地区の再開発計画、ついに事業化 – 総投資約9,000億円で新ランドマーク計画を徹底解説

名古屋鉄道(名鉄)が2025年5月26日に発表した「名古屋駅地区再開発計画」は、同社最大のターミナル駅である名鉄名古屋駅を含む名古屋駅前エリアを大規模刷新するプロジェクトです。
老朽化し“日本一迷いやすい駅”とも揶揄される複雑な名鉄名古屋駅を、新たな駅ビルとともに再整備し、「スーパーターミナル・ナゴヤ」を実現するこの計画は、総事業費約8880億円という前例の少ない規模に及びます。

本稿では、建設業界のプロの視点から本再開発計画の概要と狙い、段階的な施工計画、そして都市開発・施工の観点での意義や課題を掘り下げます。
名鉄名古屋駅地区再開発計画がもたらす未来像を、施工管理や都市開発に関心のある読者の皆様に向けて詳しく解説します。

参考:decn.co.jp
参考:news.yahoo.co.jp

背景:名鉄名古屋駅再開発の必要性と狙い

名鉄名古屋駅地区再開発計画が生まれた背景には、老朽化した施設や使いづらい動線といった長年の課題、そしてリニア中央新幹線開業を契機とする名古屋駅「スーパーターミナル化」構想があります。
名鉄は社運を懸け、この好機に名古屋駅前の再開発に乗り出しました。

老朽化・狭隘化する名鉄名古屋駅と“迷駅”脱却

名鉄名古屋駅は1950年代の開業から約70年、名古屋駅前の中心に位置し続けてきました。しかしその構造は手狭で複雑なまま現在に至り、利用者から「迷駅(めいえき)」と揶揄されるほど案内がわかりにくい状態です。

実際、ホームやコンコースの狭隘さ、高低差だらけの構造、分散しすぎた改札口、そして一つのホームに複数方面行きの列車が発着する特殊な運用など、課題が山積していました。
これらの要因が重なり合い、初見の乗客には乗り換えや乗車が困難な「日本一カオスな駅」とも評されてきたのです。
加えて駅施設自体の老朽化も進み、将来的な大規模改修が避けられない状況でした。

こうした中、2027年開業予定(※工期の遅れも取り沙汰)のリニア中央新幹線計画が名古屋駅にもたらす変化は絶大です。
リニア開業により名古屋駅の利用者数は飛躍的に増加し、駅周辺の都市機能拡充が急務となります。
名古屋市はこのタイミングで名古屋駅全体を世界屈指のターミナルへと進化させる「スーパーターミナル化」構想を掲げ、官民挙げた取り組みを進めています。

名鉄もこれを千載一遇の機会と捉え、自社最大のターミナル駅である名鉄名古屋駅の抜本的再整備と駅前再開発に踏み切りました。
「名古屋駅前に唯一無二のランドマークを築き、世界に冠たるスーパーターミナル・ナゴヤを実現する」ことが本計画の掲げる目標です。
老朽・狭隘な“迷駅”からの脱却と、リニア時代に相応しい次世代ターミナルへの生まれ変わり――これが本再開発プロジェクトの根底にある狙いと言えるでしょう。

参考:meitetsu.co.jp
参考:prtimes.jp

リニア開業と都市競争への対応:「スーパーターミナル・ナゴヤ」構想

名鉄名古屋駅地区再開発計画の背景には、リニア中央新幹線開業に伴う都市間競争への備えもあります。
東京・大阪と並び日本の三大都市圏である名古屋は、リニア開業によって東京からわずか約40分で結ばれることになります。
この劇的な時間短縮はビジネスや観光の誘致に追い風となる一方、受け皿となる都市基盤の強化が求められます。
名古屋駅周辺ではJRゲートタワー(2017年開業)など近年整備が進みましたが、名鉄名古屋駅周辺は長らく大規模開発が停滞していました。

名鉄百貨店本店や名鉄グランドホテルが入るビルは昭和中期から使われてきた建物で、超高層ビルが林立する駅東側(名駅エリア)に比べ駅西側の顔づくりが課題となっていたのです。
こうした状況下、本再開発計画は総投資額約8880億円という名鉄グループ史上最大級の事業となり、名鉄はまさに“社運を賭ける”覚悟で臨んでいます。
これは単に自社施設の刷新に留まらず、名古屋都市圏全体の魅力向上と交通結節機能の強化によって、リニア開業効果を地域に波及させる狙いがあります。
空港アクセス鉄道を担う唯一の事業者として、中部国際空港へのアクセス利便性向上も社会的要請となっています。
再開発計画に高級ホテルを誘致したのも、国内外から人を呼び込むことで都市としての名古屋の魅力を高め、街に新たな賑わいとビジネス機会を創出する起爆剤にするためです。

名古屋駅前に誕生する巨大複合ビル群は、名駅エリアのランドマークとなるだけでなく、リニア時代に向けた名古屋の都市戦略の中核を担うプロジェクトと位置付けられています。

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計画概要:再開発プロジェクトの全体像

名鉄名古屋駅地区再開発計画は、名古屋駅前の約3.27万㎡の敷地に地上31階・高さ約172mの高層ビル群を南北2街区に整備する超大型プロジェクトです。
延床面積は約52万㎡に及び、オフィス・商業・ホテル・駅・バスターミナルが一体となった名古屋の新たなランドマークが誕生します。

再開発計画の基本データと施設構成

まず本プロジェクトの基本概要を整理します。
計画地は名古屋市中村区名駅一丁目2番他で、名古屋駅直近の名鉄百貨店本店や近鉄パッセ(名古屋近鉄ビル)等が建つ一帯が対象です。

敷地面積は約32,700㎡(約1万坪)にも及び、この広大なエリアに地下2階・地上31階建て、高さ約172m、延床面積約520,000㎡規模の巨大施設群を建設します。
計画は北街区と南街区に分かれており、両街区合わせて6棟ほどの既存ビル(名鉄百貨店本店・名鉄グランドホテルを含む名鉄建物、近鉄パッセ、ヤマダ電機LABI名古屋店の入る大手町ビル、日本生命笹島ビルなど)が段階的に解体されます。
その上で新たな高層ビル2棟を中心とした再開発が行われる計画です。
参考:fashion-press.net

再開発ビルの用途構成は以下の通りです。
 

  • 北街区(JR名古屋駅側):
  • オフィス(約14万9千㎡)、商業施設(約9万5千㎡)、鉄道駅(約2万5千㎡)。
    名鉄名古屋駅の新駅施設と駅直結の大型商業ゾーンを低層部に備え、中高層部は超大型オフィスフロアとなります。

  • 南街区(ささしまライブ側):
  • オフィス(約5万1千㎡)、ホテル(約2万7千㎡)、バスターミナル(約1万5千㎡)。
    低層部に名鉄バスセンターに代わる新バスターミナル、中高層部にオフィスフロア、そして上層部に高級ホテルを配置します。

特徴的なのはオフィスフロアの規模で、国内最大級となる1フロア貸室面積を実現し、多様な働き方やテナントニーズに応えるハイグレードな“Sクラス”オフィスを提供します。
また、ラグジュアリーホテルとして米ハイアット系列の最高級ブランド「アンダーズ名古屋」が南街区に誘致されることが発表されました。

全150室規模で客室は50㎡以上、レストランやスパ、屋内プールなどを備える予定で、中部圏初進出となる同ブランドホテルが名古屋の魅力向上に貢献します。
さらに両街区のビルは地下1階・地上1階・2階の3層にわたる歩行者デッキや地下通路で接続され、北側のJR名古屋駅方面と南側のささしまライブ方面を自由に回遊できる歩行者ネットワークが構築されます。

これに加え屋上広場や屋外テラスも設けられ、街に開かれたウオーカブルな空間創出を目指すとされています。
名古屋駅の東西・南北をシームレスにつなぐ人の流れを作ることで、駅を中心とした街全体の一体感が高まるでしょう。

共同事業者体制と巨額投資計画

今回の再開発事業は名鉄単独ではなく、産学官の連携による共同事業者体制で推進されています。
共同事業者として名鉄グループ以外に保険・鉄道他社が参加している点も特徴的です。
具体的な参画企業は以下の5社です:
名古屋鉄道株式会社(名鉄) – 事業主体。
鉄道・不動産部門を持つ中京圏の大手私鉄。名鉄名古屋駅と直上の名鉄百貨店ビル等の所有者。

  • 名鉄都市開発株式会社
  • – 名鉄グループの不動産開発会社。
    再開発事業のデベロッパー機能を担う。

  • 日本生命保険相互会社
  • – 大手生命保険会社。
    不動産投資にも積極的で、計画地内の日本生命笹島ビルの地権者でもある。
    資本提供とともに事業推進に参画。

  • 近畿日本鉄道株式会社(近鉄)
  • – 関西圏を拠点とする大手私鉄。
    名古屋が終点の近鉄名古屋線を運行し、名古屋近鉄ビル(近鉄パッセ)等の地権者でもある。
    名古屋駅地区開発に利害関係が深く、共同事業者に加わる。

  • 近鉄不動産株式会社
  • – 近鉄グループの不動産会社。
    近鉄名古屋駅周辺の開発ノウハウ提供や不動産事業参画の役割。

この布陣からもわかるように、再開発対象となる敷地・建物は名鉄と近鉄、そして出資パートナーの日本生命がそれぞれ所有・関与する資産が含まれていました。

従来、競合関係にある私鉄同士(名鉄と近鉄)の協調は異例ですが、名古屋駅という日本有数のターミナルを舞台に、鉄道事業者の垣根を超えたコラボレーションが実現した形です。共同事業化の合意は2025年5月に正式成立し、同日付で名鉄取締役会でも事業協定書の締結が決議されています。
これは地元経済界・行政も期待を寄せる名駅エリア再開発をいよいよ本格的に動かす意思決定であり、名鉄単独では困難な約5400億円規模の建設投資(延床52万㎡の複合開発部分)に加え、名鉄自身が約3200億円の鉄道関連投資、約280億円のバスターミナル投資を行う計画です。
総額は約8880億円にも達し、名古屋圏の民間再開発事業として過去最大級と言えます。
巨額投資のファイナンス面では、名鉄は2025年3月期~2026年までの中期経営計画数値にも織り込み済みと発表しており、事前に財務準備を進めてきたことが伺えます。

加えて土地を提供する各社にとっても、自社資産の再開発を共同で行うことでリスク・コストをシェアでき、再開発ビル完成後にはオフィスや商業テナント収入で投資回収が見込めるメリットがあります。
名古屋市や愛知県もこの事業に期待を寄せ、行政支援(例えば容積率緩和やインフラ補助など)も検討されている模様です。
鉄道事業者主導の駅前再開発としては異例の広域企業連携プロジェクトであり、その動向は建設・不動産業界でも大いに注目されています。

駅再整備計画:鉄道4線化とターミナル機能強化

本再開発の中核は、名鉄名古屋駅の鉄道施設を現行の2線から4線へと拡張する駅再整備計画です。工事は名鉄の列車運行を維持しながら段階的に進められ、ホーム拡幅・コンコース拡張、バリアフリー化や最新設備導入により、名古屋を代表する次世代ターミナル駅へと生まれ変わります。
名鉄名古屋駅「4線化」計画とホーム拡張
名鉄名古屋駅の再整備で最大の目玉となるのが、ホーム・線路数の倍増(2線→4線化)です。
現在の名鉄名古屋駅は島式ホーム1面2線のみで名鉄各線の列車が集約され、ラッシュ時にはターミナル容量の限界を迎えていました。

これを将来的に2面4線体制へ拡張することで、列車の発着容量を大幅に増強しダイヤ編成の自由度を高めます。
特に中部国際空港(セントレア)方面へのアクセス特急「ミュースカイ」など空港連絡列車の増発や定時性向上が期待でき、名古屋駅の交通ハブ機能が飛躍的に向上するでしょう。

4線化にあたって名鉄は工事を二段階(1期・2期)で進める計画です。
まず1期工事(~2033年度)では現在の駅施設を稼働させつつ、隣接地(再開発ビルの地下部分)に新たに2線分の線路とホームを先行整備します。
完成した新ホームへ列車運行を一部切替え、旧ホーム・線路の撤去を可能にした上で、**2期工事(~2040年代前半)に残り2線分の新設を行い最終的に4線体制を完成させる流れです。この方法により、名鉄名古屋駅は工事期間中も列車運行を維持しつつ段階的に容量を増やすことができます。

新ホームは将来的に「空港アクセスホーム」と位置付けられ、空港行特急専用の発着スペースを確保することで利用者の分かりやすさと利便性向上を図ります。
加えて4線化完成時にはホームドア(ホーム柵)**も設置し、安全性・案内面でも国際水準のターミナル駅へ進化させます。

ホーム有効長も拡大し将来的な車両増結にも備える見込みです。
また、4線化により名鉄名古屋駅始発・終着の列車設定が柔軟となり、ダイヤ乱れ時の待機線確保や増発対応など運行上のメリットも大きいでしょう。

施工面では都市部の地下土木工事と駅舎建築を一体で進める難工事となりますが、技術的にはトップダウン工法の活用などにより地下空間を効率的に構築し、上部高層ビルの建設と並行して駅施設を整備する計画と考えられます。
列車の安全運行を確保しながら大規模改良を行う施工管理には高度な技術と周到な計画が要求されますが、過去に例を見ない名鉄名古屋駅の“フルモデルチェンジ”が現実のものとなっていきます。

利便性向上と先進設備:広々コンコース・バリアフリー化

名鉄名古屋駅再整備計画では、線路増設だけでなく駅構内の利便性向上にも重点が置かれています。
まず、駅構造を根本から見直し、現在の窮屈なコンコースや待合スペースを大幅に拡張します。
新ビル内に整備される駅施設は天井高も高く柱間隔も広い開放的な空間となり、ラッシュ時でもゆとりをもって乗降・乗換ができる動線計画が導入される見込みです。
コンコース階とホーム階の垂直移動もエスカレーター・エレベーターを増強し、バリアフリー動線を充実させます。

加えて、これまで名鉄名古屋駅の弱点だった「改札口の分散」も改善されるでしょう。
従来、名鉄名古屋駅は出口ごとに改札が点在し乗り換えやすさを損なっていましたが、新駅では改札口配置を最適化し、利用者導線の集約と分かりやすい案内動線を実現する計画です(詳細な配置案は今後公表予定)。

案内サインや駅務機器には最新のデジタル技術を採用し、多言語対応やリアルタイム案内を強化します。
将来の国際観光客増加も見据え、世界水準のサービス水準を備えた駅づくりが目標です。
また、防災面でも難燃化・耐震性能を向上させ、安全・安心なターミナルを目指します。
今回の再開発では名鉄バスセンターも駅併設ビル内に再整備されます。
現在は駅上の3階にあるバスターミナルが新ビル低層部に移転集約され、高速バス・路線バスとの乗り換えがワンストップでスムーズに行えるようになります。
雨に濡れずに鉄道とバスを乗り継げる環境は、利用者サービスの点でも大きな改善です。

さらに注目すべきは、次世代モビリティへの対応です。
計画では名駅エリアを「スーパーモビリティハブ」と位置づけ、将来的に**空飛ぶクルマ(eVTOL)**などの発着にも対応できる都市型モビリティ拠点機能を整備するとしています。

具体的には詳細未定なものの、新ビル屋上や高層部にヘリポート的な設備を検討する可能性があり、将来の移動手段の変化にも柔軟に対処できる設計を織り込んでいるようです。
これら先進的な取組みにより、名鉄名古屋駅はハード・ソフト両面で生まれ変わり、名古屋の玄関口に相応しい利便性と快適性を備えたターミナルへ飛躍することでしょう。

工期と施工計画:段階的なプロジェクト推進

名鉄名古屋駅地区再開発事業は約15年超に及ぶ長期プロジェクトです。
2026年度の解体着手から始まり、まず2033年度までに第1期工事を完了、その後2040年代前半に第2期工事完了というスケジュールが示されています。
施工は営業継続中の駅施設を抱える難易度の高いものとなりますが、周到な段取りにより順次事業を進めていきます。

フェーズ1(~2033年度):解体工事と新駅・南街区先行開業

2026年度より、いよいよ現地での工事が本格化します。
最初のステップは既存建物の解体です。
名鉄百貨店本店は2026年2月末、名鉄グランドホテルは同年3月22日をもって営業を終了し、名鉄バスセンターも2026年3月中に閉鎖される予定です。

長年親しまれた「ナナちゃん人形」のある名鉄百貨店や老舗ホテルがこのタイミングで幕を下ろすことになり、一時的に寂しさもありますが、名古屋駅周辺には代替機能(百貨店外商部門の移転やバス仮降車場の設置など)が確保される見込みです。
2026年度中に解体工事に着手し、複数棟の既存ビルを順次取り壊して更地化します。
都市中心部での大規模解体となるため、騒音・振動や粉じん対策、安全措置に万全を期すことが求められます。

続いて2027年度には新築着工へ移行します。
まず南街区・北街区それぞれの基礎工事・地下構造躯体工事から始まり、駅機能に直結する部分を含むため地下工事は慎重に進められます。
推測される工法の一つにトップダウン工法があります。
これは地上躯体を構築しながら地下を掘削する工法で、駅直上に超高層ビルを建てつつ地下に線路・ホームを構築する本プロジェクトに適している可能性があります。
仮設の山留め壁や柱を先行施工し、地下を掘り下げながら上階を構築することで、工期短縮と周辺地盤への影響抑制を図れる利点があります。

建物の上部躯体(鉄骨・鉄筋コンクリート)の建方も2028~2032年頃にかけて本格化し、31階建ての高層棟2棟が名古屋駅前に立ち上がっていきます。
第1期工事の完了目標は2033年度で、この段階で南街区のバスターミナル・ホテル・一部オフィス、北街区のオフィス・商業の一部、そして**名鉄名古屋駅の新ホーム(2線)**が供用開始する計画です。
つまり2033年度には、名古屋駅前に新ビル群の一部が先行開業し、名鉄名古屋駅も新ホームに切り替わっている見通しです。
先行開業後は旧駅施設の撤去に着手できるため、次の段階へ進むことになります。

フェーズ2(~2040年代前半):駅全面完成とプロジェクトの集大成

第1期竣工後、2040年代前半までに第2期工事を実施してプロジェクト全体の完工を目指します。
フェーズ2では主に旧駅施設があった部分の再開発と、残りの施設の最終整備が行われます。
具体的には、旧ホーム・線路の撤去跡地に北街区ビルの地下部分を延伸する形で追加の2線(ホーム)を敷設し、名鉄名古屋駅の4線化が完成します。
これに合わせて北街区ビルの低層部商業エリアも全面開業し、名鉄百貨店本店の後継となるような大型商業施設がグランドオープンする可能性があります(現時点では名鉄百貨店が新ビルに戻るかは未定。
オフィスフロアも残り部分が完成し、南北両棟の高層オフィスは全体供用となるでしょう。

2040年代前半の最終竣工時点で、ホテル「アンダーズ名古屋」も含め計画に盛り込まれた全施設が出揃います。
名鉄名古屋駅はホーム4線・コンコース拡張・設備刷新が完了し、名実ともに「新名古屋駅」が完成します。
同時期にはリニア中央新幹線の開業も見込まれ、JR・名鉄・近鉄・地下鉄・バス・新交通(将来の空飛ぶクルマ等)まで全交通モードが結節するスーパーターミナルが姿を現すことになります。
長期にわたる工期中、技術的・経済的な課題も予想されます。

15年以上の歳月で社会情勢やニーズが変化する可能性もあり、計画の柔軟な見直しや最新技術の適用が求められるでしょう。
また、巨額投資の回収計画も綿密に検討する必要があります。
フェーズ1で開業した施設からの賃料収入や名鉄の鉄道収益増(利用者増)をフェーズ2に再投資する形で、事業を継続的に推進していくことになりそうです。
施工面では人手不足や資材価格高騰といったリスクも内在しますが、名古屋屈指の大プロジェクトを成し遂げることは名鉄グループ全体の技術力・管理力アピールにも繋がります。2040年代前半、名駅の景色は今とは一変し、400mにわたって連なる超高層ビル群が名古屋の新たな象徴となっていることでしょう。

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まとめ

名鉄名古屋駅地区再開発事業は、名古屋という都市の未来像を左右する一大プロジェクトです。
建設業界の観点から見ても、延床52万㎡・高さ170m級の超高層複合ビル建設、営業中ターミナル駅の大改造、15年以上に及ぶ段階施工、9000億円規模の投資と、極めてチャレンジングな要素が揃っています。
施工管理者にとっては、限られた都心空間で如何に工期短縮と安全確保を両立させるか、鉄道運行との調和をどう図るかなど、腕の見せ所となるでしょう。
設計・技術面でも、日本を代表する日建設計と米国SOMがタッグを組むなど、世界水準のランドマーク創造に向けた意欲が感じられます。
本計画の完成後、名古屋駅前には新たなランドマークが誕生し、駅西エリアの景観・存在感は劇的に向上します。

名古屋はこれまでJRセントラルタワーズに代表される駅超高層ビル群で知られてきましたが、今後は名鉄・近鉄を含む駅一帯が再開発されることで、名駅全体が統一感ある近未来的な都市空間へと生まれ変わるでしょう。
高品質オフィスの供給は企業誘致・ビジネス拠点拡充に寄与し、アンダーズホテルの開業は国内外からの富裕層観光客やビジネス客を呼び込みます。

公共交通の分野でも、名鉄名古屋駅の4線化とバスターミナル再整備によって鉄道・バス利用者の利便性が飛躍的に高まり、公共交通モーダルシフトの促進や地域の交通結節点機能強化が期待できます。

また、将来のリニアや空飛ぶクルマ等を見据えたターミナル拡張は、中京圏の広域ネットワーク形成に重要な役割を果たすでしょう。
「施工王」として本プロジェクトを俯瞰すると、単なる一企業の再開発を超えて都市開発 名古屋の歴史的一頁を築く事業だと感じます。
都市インフラの更新と都市価値の向上を両立させるこの計画は、今後の日本各地の駅前再開発のモデルケースとなる可能性も秘めています。
長期プロジェクトゆえ課題も出てくるでしょうが、名古屋の玄関口が新時代に相応しい姿へ変貌していく様子を、建設者の目線で引き続き注視し、現場からの知見を発信していきたいと思います。
名鉄名古屋駅地区再開発計画の今後の進捗から目が離せません。

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