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清水建設の超高層ビル建て替えによる工期短縮は都市部の超高層建て替えで“地下工事がボトルネックになる”という現場感と、 清水建設が新地下工法「Re-GENUS BASE (リジェナス・ベース)」を実用化し、 実際の再開発で地下工事13カ月短縮とCO2 9,000t削減を示したニュースが結び付いて生まれた構想です。
本稿は、 建設業界特化の転職支援サービスを運営する施工王の視点で、 ニュース内容を正確に踏まえつつ、 「従来の常識と何が違うのか」「実用化のインパクトはどこにあるのか」 「キャリア視点で何が武器になるのか」まで掘り下げます。
「清水建設×超高層建て替え×工期短縮」の意図と業界への影響
単なる新技術紹介ではなく、 工程(工期)を何ヵ月削れるのか、 その代償として品質・安全・周辺影響はどう扱うのか、 さらに環境負荷 (CO2)や廃棄物まで改善できるのか――という、 現場と発注者の両方に直結する論点です。
清水建設の発表は、 従来の地下工法の前提(仮設杭が必須) を覆し、 既存地下構造体を“仮設として再設計して使う”という方針で、 1年以上の工期短縮を実現した点を明確に打ち出しました。
さらに、 建設業界で働く人・目指す人(転職希望者)にとっては、 「新工法が増える=求められる経験が変わる」ことが最大の関心事になりやすいです。 たとえば、 逆打ちの計画、 仮設計画、 地下水・山留め、 既存躯体の調査・評価、 そして近年はカーボン算定まで、 関与領域が広がるからです。
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清水建設株式会社の企業概要と技術開発の立ち位置
清水建設は創業1804年の総合建設会社で、 企業規模と技術開発力を背景に“工期×環境”の両立を狙う工法を実装段階まで押し上げています。
会社概要を数字で把握する
清水建設の会社概要として公表されている主な情報は、 創業1804年、 本社所在地(東京都中央区京橋)、 資本金743.65億円、 従業員数11,163人(連結21,286人)、 連結売上高19,443億円(2024年度)などです。 ネットワークは47都道府県に拠点を持ち、 建築・土木を中心に不動産開発、 エンジニアリング、 グリーンエネルギー、 建物ライフサイクルなど幅広い事業を掲げています。
こうした「大規模プロジェクトを設計・施工一体で推進できる体制」が、 今回のように既存ストック(地下躯体)を前提に工程を組み替える技術を、 机上ではなく“現場で成立させる”土台になります。
なぜ「地下工法」を受注戦略の中心に置くのか
清水建設のニュースリリースは、 新工法を「首都圏で進む超高層ビル建て替え工事受注の切り札」と位置づけています。 背景には、 都市部の高層建て替えでは、 地上解体後に始まる地下工事が長期化しやすく、 工期短縮の余地が大きいのが“地下”という構造があります(山留め・地下水・近接構造物・交通動線など制約が多い)。
さらに、 今回の初適用案件は、 第一生命保険株式会社、 中央日本土地建物株式会社、 東京センチュリー株式会社、 東京電力パワーグリッド株式会社らが参画する再開発で、 2025年4月に着工、 2029年3月竣工予定とされています。
こうした“街区級”の案件では、 工期短縮はテナント入居・運用開始・近隣影響期間の短縮にも波及しやすく、 発注者側の価値が大きくなります。
超高層ビル建て替えの地下工事:従来工法(逆打ち)の常識
工期短縮のため逆打ち工法が多用される一方、 仮設杭・作業床・埋戻し等の重い前工程が“常識”になっていました。
逆打ち工法とは何か:先行床で地上と地下を同時施工する
逆打ち工法は、 一般的な「順打ち (掘ってから地下を下から造る)」と異なり、 1階床(先行床)を先につくり、 地上躯体と地下躯体を同時に進めることで全体工期の短縮を狙う工法です。 清水建設の説明でも、 既存超高層の地上階を解体後、 新築1階の床(先行床)を境に、 地上・地下を同時施工できる点が逆打ちの特長として整理されています。
日建連の解説資料でも、 先行床から地下躯体と並行して地上躯体を施工できるため工期短縮につながること、 安全面では本設躯体を切梁支保工として掘削できることなどが示されています。 大手ゼネコンの一般向け解説でも、 1階床が“ふた”となって騒音を抑える等、 都市部工事との相性が説明されています。
| 観点 | 順打ち(一般的な地下構築) | 逆打ち(工期短縮型) |
|---|---|---|
| 施工順序 | 先に全掘削→地下躯体を下から→地上躯体 | 先行床を先に構築→地上と地下を同時に進行 |
| 工期への寄与 | 地下完了まで地上が進みにくい | 同時施工で全体工期短縮が狙える |
| 都市部適性 | 掘削開口が長期間続く | 先行床で騒音・影響抑制が期待される |
「工期短縮=逆打ち」で終わらない理由: 仮設杭前提が重い
清水建設が今回“常識を打破した”と述べるポイントは、 逆打ち工法そのものではなく、 逆打ちに付随する仮設杭前提の計画です。 従来の逆打ちでは「新築柱を支持する仮設の杭基礎ありき」が常識化し、 杭打機や生コン車が走行する作業床が必要で、 大掛かりな仮設工事を伴う――と整理されています。
さらに、 ニュースリリースでは“無くなる作業”の例として、 底盤に杭基礎施工用の開口を設ける解体、 杭打機等が走行する作業床構築、 地下水流入を防止し作業床を支持するための土砂等による既存地下階埋戻し、 埋戻し土の撤去が挙げられています。
つまり、 工期短縮を狙って逆打ちを選んでも、 仮設杭~埋戻し~撤去の“前後工程”が太いほど、 地下工程は結局長くなりやすい。 ここに、 Re-GENUS BASEが狙った「工期短縮の再配分」があります。
新地下工法「Re-GENUS BASE」の仕組みと従来との差
既存地下躯体を“山留め”だけでなく“基礎・仮設”へ拡張し、 仮設杭と大規模土工を消すのが核心です。
工法の核心:既存地下を再設計し「外壁・床・梁+底盤」まで使い切る
清水建設が説明するRe-GENUS BASEの最大の特長は、 既存超高層の地下構造体 (ストック) を再設計し、 新築工事の仮設として活用することです。 ここで重要なのは、 単に外壁や床梁を山留めに使うだけでなく、 既存底盤(ピット部)までフル活用して杭基礎を無くした点が、 従来の逆打ちと大きく違う、 と明言していることです。
具体の支持形式としては、 杭基礎の代わりに「既存底盤の上部に築くコンクリート層の上に、スポット的に築く基礎で新築柱を支える」とされ、 結果として大掛かりな仮設工事が一切無くなる、 と整理されています。
この“仮設杭ありき”を外し、 既存地下を「最強の仮設」にする設計思想が、 工期短縮の直接要因になります(=地下の前後工程が削れる)。
| 比較項目 | 従来の逆打ち(仮設杭前提) | Re-GENUS BASE |
|---|---|---|
| 既存地下の扱い | 解体・新設前提が多い/山留め程度の活用に留まりがち | 地下躯体を再設計し仮設として活用 |
| 支持の前提 | 大規模土工作業床のための埋戻し→撤去が発生しやすい。 新築柱は仮設杭(杭基礎)で支える | 既存底盤上のコンクリート層+スポット基礎で支える。 埋戻し・撤去が不要化(例示あり) |
| 工期短縮の源泉 | 地上地下同時施工が主 | “仮設杭・作業床・埋戻し”の消滅が効く |
既存地下躯体活用の潮流と、Re-GENUS BASEが踏み込んだ領域
「既存地下躯体を山留めとして有効利用する」こと自体は、 近年増えていると整理され、 施工数量削減や振動・騒音・廃棄物・温室効果ガスの低減などのメリットが報告されています。
実際、 日建連の既存地下工作物ガイドラインでは、 既存地下躯体で囲われていることを利用して遮水工法を採用できる場合があり、 排水工法に比べ地下水位低下による周辺変状を防止する効果が期待できる、 といった論点まで扱っています。
一方で、 Re-GENUS BASEがニュースで強調している“新しさ”は、 山留め利用の範囲を超え、 底盤まで使い切って仮設杭を消した点です。 これを成立させるには、 既存地下躯体の再設計に先立ち、 図面・仕様・現況を整理し、 必要に応じて非破壊検査等も含めて把握する、 といった「既存建築物の現況調査」の考え方が不可欠になります。
さらに、 既存コンクリートの状態を工学的に検証して“今後の耐用年数をどう見積もるか”といった評価ニーズも一般化しつつあり、 日本建築センターはコア供試体の中性化試験等に基づく耐用年数評価の枠組みを示しています。
要するに、 既存地下の利活用はトレンドとして下地がありつつ、 Re-GENUS BASEは「杭まで無くす」という“踏み込み”で工程を削りに行った。 この差が、 工期短縮のインパクトを一段上に押し上げています。
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実用化で見えた成果: 工期短縮と環境負荷低減の中身
初適用案件で、 地下工事13ヶ月短縮、 資材・作業量削減によるCO2 9,000t削減が“数値”で示されました。
「13ヵ月短縮」を工程で分解する: 消えた作業がそのまま短縮要因
清水建設は、 初適用の(仮称) サウスタワーで「地下工事だけで13カ月の工期短縮」を実現したとしています。 その根拠は、 “無くなった作業”が具体的に列挙されていることです。 底盤の開口解体、 作業床構築、 地下水流入対策を兼ねた埋戻し、 埋戻し土の撤去など、 仮設杭周りに連鎖する工程がまとまって消えるため、 地下工程が短くなる構造です。
さらに定量情報として、 サウスタワーには鉄骨柱144本があり、 従来の逆打ちを採用した場合は直径2.0~2.7m・長さ20~25mの杭基礎を同数設け、 杭コンクリートは17,000m³、 既存地下階への埋戻し充填量は約146,000m³に達する、 とされています。
これらが削減(または大幅低減)されれば、 工程だけでなく、 搬出入車両・現場内動線・周辺影響期間にも波及し得る、 というのは現場感としても理解しやすいでしょう。
| 指標(サウスタワーで示された数値) | 従来逆打ち(仮設杭あり)で必要とされた量 | Re-GENUS BASE採用での効果(発表) |
|---|---|---|
| 地下工事の工期 | - | 13ヶ月短縮 |
| 鉄骨柱本数 | 144本 | - |
| 仮設杭(想定) | 直径2.0~2.7m、長さ20~25m×144本 | 仮設杭を不要化 |
| 杭コンクリート量(想定) | 17,000m³ | 大幅削減 |
| 埋戻し充填量(想定) | 約146,000m³ | 埋戻し・撤去工程を不要化 |
なお、 清水建設は「既存建物の外壁・底盤を残したまま施工が進むので、周辺地盤に埋設されている重要インフラ施設に影響を与える可能性が極めて低くなる」とも説明しています。 既存地下の存置が周辺変状リスクの観点で有利になり得ることは、 既存地下の遮水工法等の論点とも整合的です。
CO2 9,000t削減の意味と、J-CATで「説明できる」強さ
清水建設は環境面の効果として、 資材数量・作業量の削減によりCO2排出量を9,000t削減するとしています。 重要なのは「削減した」という主張だけでなく、 算定の枠組みも同時に示している点です。 発表では、 一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターが公開する建築物ホールライフカーボン算定ツール (J-CAT) Ver.2.2の原単位を用い、 従来工法と新工法の資材数量差に原単位を乗じた差分で算定した、 としています。
J-CAT自体も、 ゼロカーボンビル推進会議のもとで開発された、 ライフサイクル全体のGHG排出量算定ツールであることが明示されています。 また、 算定結果の内訳表示など「結果表記の充実」を特徴として掲げています。 つまり、 発注者・投資家・テナント側がESG説明を求める局面で、 「この工法は、材料数量の削減でアップフロントカーボンを抑え、算定ツールで説明できる」という“強い言語”を持てます。
加えて、 国土交通省の検討資料では、 建築物のライフサイクルカーボン (LCCO2) 評価の制度設計や、 算定実績 (J-CAT等)との関係が論点化されています。 この潮流を踏まえると、 Re-GENUS BASEのように「工期短縮」と同時に「材料削減→ CO2削減」を示せる工法は、 技術だけでなく“提案力”として価値が上がりやすいといえます。
今後の展望と建設キャリア: 現場に求められるスキルが変わる
清水建設は今後もRe-GENUS BASEを積極提案するとしており、 “既存ストック活用” は現場人材の価値を押し上げるテーマです。
今後の展望:首都圏の建て替え需要と「ストック再設計」が接続する
清水建設は「今後、超高層ビルの建て替え計画に際しRe-GENUS BASEを積極提案し優位受注を図る」と述べています。 初適用のサウスタワーは、 日比谷公園隣接の再開発群からなるTOKYO CROSS PARK構想の一部(南地区)と位置付けられ、 街区全体の竣工は2037年度以降とされています。 こうした“長期・連続”の都市更新では、 ある地区で確立した工法が、 次の地区へ水平展開されやすい(=実績が提案力になる)という構造があります。
ただし、 既存地下を活用する工事は「既存躯体を残すことが地盤の健全性・安全性維持に必要」 「撤去すると周辺地盤に悪影響がある」といった判断軸がガイドライン上も示されており、 現場条件の見極めが肝になります。
つまり、 今後の普及は“どんな地下躯体なら成立するか”を見抜く設計・施工の総合力(調査、構造、地盤、施工計画)がある会社・チームが優位になりやすい、 という見立てが成り立ちます。
施工王の視点: 転職で評価されやすい「経験の型」を整理する
転職市場の観点で見ると、 Re-GENUS BASEのような工法が増えるほど、 評価される経験は「地下工事の実行」だけでなく、 「既存ストックを前提に工程と構造を組み替える」領域へ拡張します。 現況調査では、 図面・仕様書等を可能な限り揃え、 必要に応じて非破壊検査等も含めて隠蔽部の状況確認を行う考え方が示されています。 さらに、 既存RCの状態評価(耐用年数の工学的検証)といった“説明責任”の仕事も重くなり得ます。 そして、 カーボン説明では、 J-CATのようなツールで算定・表示できることが武器になります。
日本建設業連合会も逆打ち工法の工期短縮効果を整理しており、 地下工事は引き続き「工程価値」が大きい分野です。 ここに“既存地下の利活用”が加わると、 施工管理・設計監理・地盤/山留め・環境 (WLC)のクロス領域人材が相対的に不足しやすく、 キャリア上の差別化になりやすい―――――これが施工王の見立てです。
| キャリア領域 | Re-GENUS BASE型の案件で増える論点 | 伸ばすと強いスキル(例) | 施工王的・評価され方 |
|---|---|---|---|
| 施工管理(地下) | 仮設杭を減らす工程再設計、既存躯体を残した施工手順 | 施工計画、仮設計画、工程短縮の根拠説明 | 「地下の工程を短くする人」として効く |
| 設計・工事監理 | 既存地下の再設計、補強方針納まり統合 | 構造計画、干渉整理、既存図面読解 | 設計施工一体PJで重宝されやすい |
| 地盤・山留め サステナ VESG | 既存地下の遮水/変位抑制、周辺影響の評価。 資材削減のCO2効果を算定し説明 | 地下水・計測管理、周辺変位のリスク管理。 J-CAT等での算定・報告、社内外説明 | “都市部の難工事”経験として強い。 提案・入札での差別化要因になり得る |
まとめ
Re-GENUS BASEのニュースが示した本質は、 「逆打ちで同時施工する」こと自体ではなく、 逆打ちの前提として固定化していた“仮設杭ありき”を外し、 既存地下躯体(外壁・床梁だけでなく底盤まで)を再設計して使い切ることで、 仮設杭・作業床・埋戻し・撤去といった連鎖工程を消した点にあります。 その結果として、 初適用のサウスタワーで地下工事13ヶ月短縮、 CO2 9,000t削減という「工程×環境」の定量が示され、 しかも算定根拠としてJ-CAT (Ver.2.2)を用いたことまで開示されました。 これは、 都市部の超高層建て替えで“地下がボトルネック”になりやすい現実に対し、 工程短縮を技術で取りに行く強い回答です。
キャリア視点では、 こうした工法の広がりは「地下を回せる」だけでなく、 「既存ストックを調べ、評価し、再設計し、周辺影響とカーボンまで説明できる」人材に価値が乗ることを意味します。
施工王としては、 地下工事経験者の方ほど、 既存躯体活用・施工計画・ESG説明のいずれかを意識的に取りに行くことで、 次の転職で“刺さる職務経歴”になりやすいと考えています。
参照元:
清水建設(株)/会社概要,ニュースリリース/「Re-GENUS BASE」
日本建設業連合会/「逆打ち工法」,「既存地下工作物の取扱いに関するガイドライン」
日本建築センター,一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター,TOKYO CROSS PARK構想
有料職業紹介(許可番号:13-ユ-316606)の厚生労働大臣許可を受けている株式会社ゼネラルリンクキャリアが運営しています。

