目次
東京駅前で建設が進む高さ385mの超高層ビル 「Torch Tower (トーチタワー)」は、2028年5月の完成時に日本一高いビルとなる予定です。
2025年9月、施工を担う清水建設の発表によれば同タワーは地上部分の工事への着手が始まりました。
本記事ではこの「トーチタワー」計画の概要と最新の建設状況を解説し、日本一の高さを実現するための先端建築技術や、プロジェクトを牽引する清水建設・三菱地所設計といった企業の取り組みに迫ります。
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トーチタワーの建設状況とプロジェクト概要
東京駅前に誕生する日本最高層ビル「トーチタワー」の最新建設状況と基本計画の概要を紹介します。
2023年9月の着工以来、既存ビルの解体や地下工事が進められ、2025年秋からはいよいよ地上躯体の構築が本格化しました。
計画を主導する三菱地所と施工を担う清水建設による大型再開発プロジェクトの全貌を見ていきましょう。
2025年9月: トーチタワー地上工事がスタート
2025年9月初旬、Torch Towerの建設現場で地上部分の鉄骨建方工事が始まりました。
清水建設は9月2日、「東京駅近くで建設中の超高層ビル『トーチタワー』で地上部分の工事を開始した」と発表しています。
同タワーは2023年9月に着工され、約2年間にわたり既存施設の解体や地下躯体工事を進めてきました。
地上工事の開始によって、建物の鉄骨が地上に姿を現し始め、プロジェクトは新たな段階へと移行しています。
今回組み上がり始めた鉄骨は、低層部外周に配置される巨大な斜め柱(ダイヤグリッド)です。
計画では建物北東角からこの斜め鉄骨柱の建方を進め、2025年10月頃に第1節(一区画分)の鉄骨建方を完了、2026年2月頃までに第4節 (高さ9階相当)まで設置する予定とされています。
最終的な竣工は2028年5月を目指しており、工期全体は約5年に及びます。
完成すれば高さ385m・地上62階建ての規模で、現在日本一の高さを誇る麻布台ヒルズ森JPタワー (330m)を抜いて日本最高層となる見込みです。

Torch Towerプロジェクトの概要
Torch Tower (トーチタワー)は、東京都心・大手町に位置する大規模再開発計画「TOKYO TORCH(トウキョウ トーチ)」の中核となる超高層ビルです。
地上62階・地下4階、高さ約385m、延床面積約55万3,000㎡という途方もないスケールを誇り、完成すれば名実ともに日本一の超高層ビルとなります。
主要用途はオフィスを中心に、低層部に商業施設や大型ホール(約2,000席)、高層部にホテルや賃貸レジデンス、最上部に展望台を備える複合ビルです。
たとえば53~58階には英・ドーチェスターコレクションによる超高級ホテル(客室約110室)が進出予定であり、東京駅前に世界水準のホスピタリティ空間が誕生することでも話題を集めました。
地下1階~地上6階には大規模商業ゾーンとエンターテインメントホール、59~60階には高級賃貸住宅、61階~屋上には東京中心部を一望できる展望施設が配置される計画です。
さらに街区中央には約7,000㎡もの広大な公開広場が整備され、ビルと一体となって賑わいを創出します。
同プロジェクトは三菱地所が施行者(事業主)となり、設計監修を三菱地所設計、施工を清水建設が担当しています。
計画地は千代田区大手町2丁目・中央区八重洲1丁目にまたがり、東京駅日本橋口に面する一等地です。
TOKYO TORCHは大手町二丁目常盤橋地区の再開発事業の名称で、Torch TowerはそのB棟にあたります。
既にA棟となる常盤橋タワー(地上38階・高さ212m)は2021年6月に完成し、商業施設「トウキョウトーチテラス」等が先行オープンしています。
Torch Towerは再開発の第二期として2023年9月に着工され、2028年の完成後には常盤橋タワーと一体で街区全体のグランドオープンを迎える予定です。
以下にトーチタワーの基本データをまとめます。
項目 | Torch Tower計画概要 |
---|---|
建物名 | Torch Tower (トーチタワー) |
計画地 | 東京都千代田区大手町2丁目(東京駅日本橋口前) |
街区名/事業名 | TOKYO TORCH (トウキョウ トーチ) / 大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業 |
階数・高さ | 地上62階・地下4階、高さ約385m |
延床面積 | 約553,000㎡ |
主用途 | オフィス、商業施設、ホール、ホテル、賃貸住宅、展望台等 |
着工・竣工 | 2023年9月着工~2028年5月竣工予定 |
設計監理 | 三菱地所設計 |
施工 | 清水建設 |
高さ385m、日本一高いビルがもたらすインパクト
Torch Towerがもたらす「日本一高いビル」誕生のインパクトと、その舞台となる東京駅前再開発の全貌を見ていきます。
高さ385mという規模は国内前例のない領域であり、東京の都市景観や建設業界に大きな話題を提供しています。
あわせて、トーチタワーが位置する「TOKYO TORCH」開発が街にもたらす効果についても触れます。
日本一の超高層ビル誕生、その意義とは
Torch Towerは高さ約385mと、日本の超高層ビル史上かつてない高さに達します。
これまで日本で最も高いビルは、2023年に東京都港区で開業した麻布台ヒルズ森JPタワー(高さ330m)でした。
トーチタワー完成により、この記録を一挙に55mも更新することになります。
さらにその前の記録は大阪市のあべのハルカス(高さ300m, 2014年開業)であり、約10年ぶりに日本最高層が塗り替えられることになります。
385mという高さは、エッフェル塔(約324m)より高く、まさに雲を突く規模です。
超高層ビルの高さ記録更新は、単に数字上のインパクトだけでなく、日本の建築技術・都市開発の新たな可能性を示す象徴的な出来事です。
日本では長らく地震リスクや法規制から、300m級が超高層の上限と考えられてきました。
しかしTorch Towerで採用された最新技術により「400m級の超高層ビルを地震国・日本で合理的に成立させる」道が拓かれたといえます。
このプロジェクト成功は、今後のさらなる超高層化や大胆な都市開発への追い風となりうるでしょう。
また東京駅前という日本有数の玄関口に新たな超高層ランドマークが誕生することで、都市の国際的な競争力や象徴性も高まると期待されます。
完成後は展望台から東京の大パノラマを望める観光名所ともなり、都市の魅力向上にも寄与するでしょう。
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超高層建築を支える最先端技術
高さ400mに迫るTorch Towerを実現するために採用された最先端の建築構造技術と、施工段階で清水建設が駆使する工夫について解説します。
従来の超高層ビルとは一線を画す独自の構造システムや制振技術が盛り込まれており、これにより地震大国日本でかつてない高さの建物が可能となりました。
また、超高層ゆえの施工上の課題に対して清水建設が挑む取り組みにも注目します。
「外殼制振構造」とダイヤグリッド架構の採用
Torch Tower最大の特徴は、その外観にも表れる革新的な構造デザインにあります。
塔の低層部外周には巨大な斜め鉄骨柱が格子状に組まれており、この構造は「ダイヤグリッド架構」と呼ばれます。
斜め柱と鉄骨梁で三角形のフレーム(菱形格子)を形成し、建物全体を取り囲むことで、地震時の揺れを効果的に抑制する役割を果たします。
いわば建物を外側から網の目状に補強するイメージで、従来型の垂直・水平の骨組(ラーメン構造)とは異なる次世代の耐震構造です。
Torch Towerでは、このダイヤグリッド架構を取り入れた「外殻制振構造」(Damped Braced Tube)という全く新しい構造システムを採用しています。
建物の外殻(外周部)を斜め材で覆いチューブ状の骨組とすることで、超高層ビル全体の剛性(ねばり強さ)を飛躍的に高める仕組みです。
具体的には、1階~9階部分の外周がダイヤグリッド架構で構成され、その上の中層~高層部は同じく斜め材で構成したブレース架構にオイルダンパー(制振ダンパー)を組み合わせる設計となっています。
塔の足元から頂部付近まで斜めの鉄骨が幾何学的な模様を描く様子は、建築の意匠面でも極めて個性的であり、都市景観に新風をもたらすでしょう。
この構造の開発には、設計監理を担う三菱地所設計が中心的な役割を果たしました。
三菱地所設計は「日本で400m級の超高層を安全に成立させる」という目標に向け、10年以上に及ぶ歳月をかけて構造計画・設計の研究開発を行い、この外殻制振構造を新たに生み出しました。
その主要要素こそが前述のダイヤグリッド架構であり、建物の揺れを低減する独自構造として実現されています。
さらに注目すべきは、このダイヤグリッド架構そのものの規模と素材です。
Torch Towerの外周を一周約400m取り囲むダイヤグリッド架構は、高さ約52mまで連続して構成され、総重量約1.1万トンもの鉄骨材から成ります。
これは建築構造体として日本国内最大級のボリュームであり、タワー全体の重量約80万トンのうち4割強(約32万トン)をこの外殻フレームで支える計算です。
斜め鉄骨柱に用いられている部材は、断面サイズ約1.4m×1.6m、90mmにも及ぶ現代建築で最大級の鋼材で、1本あたりの重量は最大28.4トンにも達します。
まさに桁違いのスケールの鉄骨が駆使されており、日本の建設技術の粋を集めてこの巨大構造物が支えられるのです。
プロジェクトを担う二大企業の概要
Torch Tower計画を支える主要企業である「清水建設」と「三菱地所設計」について概要を紹介します。
施工を担う清水建設は日本を代表する大手ゼネコンの一角であり、設計監理の三菱地所設計は三菱グループの中核として数多くの大型開発を手掛けてきた設計事務所です。
それぞれの企業の強みと本プロジェクトへの関わりを見てみましょう。
清水建設-日本を代表するスーパーゼネコン
清水建設株式会社 (SHIMIZU CORPORATION)は、鹿島建設・大林組・大成建設・竹中工務店と並び「スーパーゼネコン5社」に数えられる日本トップクラスの総合建設会社です。
創業は江戸時代の1804年と古く、200年以上の歴史を誇ります。
東京都中央区に本社を置き、土木・建築両面で国内外に多数の実績を持つ業界大手です。
社名が示す通り「誠心誠意、良いものをつくって信頼されること」を理念に掲げており(社是:「子どもたちに誇れるしごとを。」)、長年にわたり日本の建設業を牽引してきました。
清水建設は民間の大型建築プロジェクトに強みを持つとも言われ、超高層ビルから大型商業施設、病院、スタジアムに至るまで幅広い建築施工を手掛けています。
伝統的な神社仏閣の建築・修繕にも豊富な実績を持ち、最新技術から伝統技法まで柔軟に対応できる技術者集団として知られます。
例えば近年では東京国際空港第2ターミナルや東京ドームの施工、さらにはシンガポールや中東での高層ビル建設プロジェクトなども担当し、グローバルにも活躍しています。
また、建設技術の研究開発にも積極的で、耐震・制振構造の開発や施工の省人化技術(ロボット施工システム等)、環境配慮型工法などを次々に生み出してきました。
Torch Towerの施工者に清水建設が選ばれたのも、その確かな技術力と信頼性によるものです。
超高層ビル施工に必要なクレーン・重機計画や高強度材料の取り扱いなど、高度なノウハウを有していることが評価されています。
実際に、清水建設は東京スカイツリー(高さ634m、施工は大林組JV)でも下部支柱の施工に参画した経歴があり、超高層 超大規模構造物への知見を蓄積しています。
また、同社は情報化施工 (CIM/BIMの活用)にも早くから取り組んでおり、Torch Towerでも最新のデジタル技術を駆使した効率的な施工管理が期待されます。
三菱地所設計-超高層を生み出す建築設計のプロ集団
株式会社三菱地所設計(Mitsubishi Jisho Design Inc.)は、三菱地所グループに属する組織系建築設計事務所であり、Torch Towerの基本設計・構造設計・工事監理を担うプロジェクトのキープレイヤーです。
そのルーツは1890年(三菱社の丸ノ内建築所開設)に遡り、2001年に三菱地所株式会社から分社化され現在の社名・体制となりました。
本社は東京・丸の内にあり、約800名の建築士・技術者を擁する日本有数の設計会社です。
三菱地所の完全子会社であり、同グループの大規模開発プロジェクトを数多く手掛けてきました。
三菱地所設計は、オフィスビル・商業施設・ホテル・公共建築から都市開発のマスタープラン策定まで幅広い業務を行っており、その実績には丸の内エリアの再開発群(丸ビル・新丸ビル・大手町の超高層ビル群など)や、地方都市の駅前再開発、高層マンション設計などが含まれます。
特に超高層建築の設計力に定評があり、都市の景観と機能を高い次元で両立させるデザインを得意としています。
社内には構造・設備・都市計画など各分野の専門家が揃い、総合力で質の高い設計を提供できることが強みです。
Torch Towerにおいて三菱地所設計は、まさに「縁の下の力持ち」としてプロジェクト成功の要を担っています。
前述の通り、同社はTorch Towerのために10年以上もかけて新構造技術の研究開発を行い、外殻制振構造という革新的な耐震構造を生み出しました。
この独自構造は三菱地所設計の技術陣による大きな成果であり、設計者集団としての底力を示すものです。
またデザイン面でも、Torch Towerの外観コンセプト策定や用途配置計画を通じて、「高さ日本一」に相応しいシンボリックなビルとするべく尽力しています。
三菱地所設計は、本プロジェクトの成功によって日本の建築設計の水準の高さを示し、さらなる大型案件への信頼と実績を築くことでしょう。
トーチタワーが建設業界にもたらす展望と意義
高さや技術の記録に挑む Torch Towerプロジェクトは、建設業界全体にも様々な影響や示唆を与えています。
本章では、超高層プロジェクトの進展がもたらす都市開発・建設技術の新時代について述べるとともに、このプロジェクトが業界の技術者や次世代の人材に与える刺激、そして今後の展望について考察します。
都市開発と建設技術の新時代を切り拓く
Torch Towerの建設は、日本における超高層建築技術の新たな地平を切り拓く出来事です。
前述のように、400m級のビル建設が現実のものとなったことは、地震大国である日本の技術力の高さを内外に示すものとなりました。
超高層ビル建設に関わる構造設計や施工技術は、本プロジェクトを通じて飛躍的な進歩を遂げています。
その成果は今後の他プロジェクトにも波及し、さらに高難度の建築計画を可能にするでしょう。
例えば、これまで高さや構造の制約で実現が難しいとされていた設計アイデア (超高層木造建築や超大型空間の構築など)にも、新たなヒントを与えるかもしれません。
また、Torch Towerのような超大型プロジェクトの成功は、都市開発のあり方にも影響を及ぼします。
一極集中的な高層開発については賛否ありますが、東京駅前という交通結節点に高度利用の超高層ビルを建てることで、都市インフラの効率化や経済効果の最大化を図る狙いがあります。
大量のオフィス供給と商業・宿泊・娯楽機能の集積により、東京の国際競争力向上やビジネス環境整備に貢献するでしょう。
さらに、街区中央の広場整備など公共性にも配慮した開発となっており、今後の再開発では「高層化×公共空間充実」というトレンドが広がる可能性もあります。
Torch Towerはその先駆けとして、新時代の都市開発モデルを提示する存在とも位置付けられるのです。
建設技術面でも、今回培われるノウハウは日本の建築界に蓄積され、次世代のプロジェクトに活かされていくでしょう。
特に制震・耐震技術、超高層用の施工管理手法、デジタル技術の活用などは、業界全体の底上げにつながります。
施工期間中にも新たな課題が生じ、その都度生み出された解決策が技術資産となっていくはずです。
こうしたイノベーションの連鎖こそ、大規模プロジェクトが建設業界にもたらす大きな意義と言えます。
まとめ
東京駅前「Torch Tower」 プロジェクトは、高さ385mという日本新記録の超高層ビル建設を通じて、建設技術と都市開発の新たな扉を開こうとしています。
清水建設・三菱地所設計をはじめとするトップ企業の力と英知が結集し、革新的な外殻制振構造や巨大鉄骨の活用によって、地震国で前例のないスケールの建物が現実味を帯びています。
単なる高さの競争ではなく、安心・安全と機能美を両立させた次世代のランドマーク創造であり、その意義は極めて大きいと言えるでしょう。
工事が順調に進めば2028年には堂々たる超高層ビルが完成し、東京駅前に新たな象徴が誕生することになるでしょう。
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