建設業は今後どうなる?

ザックリ言うと
先日11/9付けで三菱UFJリサーチ&コンサルティングから、このようなレポートが出ています。
またこのレポートでは、民間企業(製造業)の冬季ボーナスは前年比▲9.2%の減を予測されており、大局的な見地では冬季ボーナスは減少します。

出展:2020年冬のボーナス見通し-三菱UFJリサーチ
では、建設業に限った場合はどうか?
新型コロナウィルスの第3波も警戒されるなかで、これまで活況だった建設業の冬季や来期のボーナス(賞与)がどうなるのか心配の声が多いです。
そこでこの記事では、今後の建設業界で予想されるボーナス(賞与)について解説していきます。
新型コロナウィルスの建設業界全体への影響が気になる方はこちらの記事もぜひ参考にしてください。
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目次
新型コロナウィルスで建設業のボーナスはどうなる?
結論から言うと、以下の3つが予想されます。
- 大手ゼネコンは今期減益も冬季ボーナスは持ちこたえるか
- 中堅・中小ゼネコンは冬季賞与は減額か支給見送りも
- 来期はボーナス減額は必至
冬季賞与についてはおそらく比較的規模の大きい企業では前年度と同等を維持するかと思いますが、体力の無い企業ではマイナスもありえます。
中堅・中小については支給を見送る企業も出てきそうです。
その理由は以下の5つ。
- 製造業全体の冬季賞与の支給額が▲9.2%減少する見込み
- 主要10ゼネコンの10社中7社が今期減益
- コロナの影響を織り込んだ来期の業績予想は大幅なマイナス
- 建設業界全体のキャッシュフロー悪化
- 建設特需の収束
製造業全体のボーナス支給額が▲9.2%減少する見込み
三菱UFJリサーチの調査によると、製造業一人当たりの支給額は前年比▲9.2%減少する見込みとのレポートが出ています。

出展:2020年冬のボーナス見通し-三菱UFJリサーチ
コロナウィルスによる輸出の減少や国内消費の落ち込みで、日本経済全体としての打撃は大きいようです。
建設・不動産関連もこの傾向に準じて減少すると見て良いでしょう。
主要10ゼネコン中7社が今期減益
主要ゼネコンの今期の2020年3月期決算をまとめた表が以下。

出展:各社2020年3月期決算より作成
注目すべきは10社中7社もの企業が減益となっていること。
また、大きく減収しているのは長谷工コーポレーション・フジタ・五洋建設で、-30%以上となっています。
コロナの影響を織り込んだ来期業績予想は大幅マイナス
主要ゼネコンの来期の業績予測はかなり悪化する見通しとなっている。
予想を出している主要ゼネコンのすべてが減益予想。
そのうち-20%以上のマイナスは7社中6社という状況。
大手のゼネコンでも新型コロナウィルスの影響は避けられず、来期は大幅なマイナスで厳しい経営状況になると予想されます。
建設業界全体のキャッシュフロー悪化
清水建設の工事中断に端を発した、建設現場の閉所の影響で業界全体としてのキャッシュフローは悪化していると見て良いです。
それは主要ゼネコン各社の決算を見ても明らか。
キャッシュフローの悪化は景気の悪化を招き、企業収益の減少につながります。
収益が減れば当然賞与も減ります。
ちなみにゼネコンは債権・債務が多く保有キャッシュが少ないのが特徴で、工事中断を決めた最大手の清水建設でも、保有キャッシュは1500億、月の売上は平均で約1400億。
工事中断で売上が立たなかった期間は約2週間なので、単純計算すると工事中断の期間で保有キャッシュは半分近くに減ります。
キャッシュの無い会社が社員に賞与で還元するのは難しいでしょう。
また、この工事中断の煽りを大きく受けるのは下請け業者や小規模事業者で、売上が立ないことでキャッシュが回らなくなり、ボーナス支給の見送りも考えられます。
建設特需の収束
緩やかに迎えるはずだった特需の収束も、新型コロナウィルスの影響で急展開を迎えました。
建設業界の景気は日本経済の景気とも相関があり、日本経済の上がり下がりとともに変動します。
その日本経済の状況は、実は消費増税の影響もあり、2019年10-12月期のGDPは前の3ヶ月と比べて実質マイナス1.6%、年率に換算してマイナス6.3%となっていました。
そこに今回の新型コロナウィルスで経済活動が一部ストップ。
景気先行きの不透明感から、ディベロッパーの投資意欲は消えつつあり、すでに調整局面に入っています。
つまり、すでに景気後退で今後緩やかに終えるはずだった建設バブルが急速に終焉を迎えたので、建設業の業績への影響は避けられないはずです。
参考【最新版】施工管理の激務は軽減されている?本当かどうかを解説
リーマンショック時と同様に不動産・ゼネコン破綻の連鎖は起きる?
今回のコロナショックは2008年のリーマンショックほどではないにしろ、建設・不動産業界には似た影響がでると見られています。
リーマンショック時に起きたのは、不動産バブルの終焉。
身近にあったのは新興・中堅ディベロッパーと地方・中堅ゼネコンの相次ぐ倒産です。
当時の流れは、不動産流動化事業が過熱したことで不動産への資金流入が加速。
土地価格の高騰と資材費高騰が起き、不動産バブルが発生していました。
そのタイミングで資金元の投資家がサブプライム問題で融資を引き締めることで、資金流入が滞ったディベロッパーの資金繰りが急激に悪化。
流動化を前提としていたディベロッパーはファンドへ物件が売れず、さらに景気低迷による個人消費者の買い控えで在庫を抱える事態に。
土地の高値つかみと建設費の高騰もあいまって、先月まで黒字だった新興ディベが相次いで倒産していました。
そしてディベの倒産で工事費を回収できなくなったゼネコンも、連鎖的に経営が悪化。倒産するゼネコンも。
これにより下請け・小規模事業者も同様に廃業に追い込まれるという負の連鎖が起きていました。
実は現在もこれに似た状況にあり、不動産価格の異様な高騰、資材・労務単価の上昇、これらに起因した建設費の高騰で、今や建設バブルの状態でした。
その最中でのコロナショックによる経済活動・消費行動の減少は、オリンピックを見越して投資を図っていた発注者の資金を焦げ付かせます。
今はまだ顕在化していないものの、今後不動産事業を掛けていた企業が一社経営破綻をすることで、連鎖的にゼネコン・下請も倒産をするリスクは十分にあります。
破綻の連鎖が続けば景気はさらに後退し、リーマンショック時にあった負の連鎖を起こしかねない状況にあると見て良いでしょう。
リーマンショック時のボーナス減は顕著だった
リーマンショック時には連鎖破綻の状況下もあり、日本経済全体の給与・賞与はともに減少しました。
こちらの記事にもあるとおり、リーマンショック時の給与及び賞与は大きく減少しています。
国税庁のデータ(民間給与実態統計)から、リーマンショック翌年の平均給与を算出するとおよそ、前年比▲5%ほどのマイナス。
また、ボーナスについても厚生労働省のデータ(夏季一時金妥結状況の推移)から、リーマンショック後の賞与は▲15%ほどのマイナス。
今回のコロナショックでもこれに近い減額はあるかと想定されます。
新型コロナウィルスの影響で建設業従事者の給料はどうなる?
今後建設従事者の給与は平均して逓減していくと考えられます。
その理由として、建設業の主要顧客であるデベロッパー側に投資を控える動きがあるからです。
ゼネコンの主要顧客が仕事を出さないということになれば建設業の売上は当然立ちません。
同様の動きはリーマンショック時にもありました。
大手スーパーゼネコンでもリーマンショックのあった2008年は営業キャッシュフローは1500億円規模でのマイナス。
景気の後退から発注者の投資意欲は大きく減退し、翌年の2009年も1000億円を越えるマイナス、2010年には不動産投資は半減していました。
営業キャッシュフローが全社プラスになったのは3年後の2011年。このときは東日本大震災の復興特需でようやく回復をしてきたという状況です。
今回のコロナショックについては、リーマンショック時のようなインパクトは無いものの、建設業界の景気に大きな影響を与えることは間違いありません。
これまでは復興特需とオリンピック特需による公共工事もあいまって回復できた建設不動産市況ですが、今後はその公共工事の発注シロがありません。
今回については発注者の投資意欲が戻らない限り、建設不動産業界の景気は戻らないと考えられ、中長期的な影響も視野に入れておく必要があります。
つまり、今後5年ほどは給料の伸びは期待できず、建設業界は厳しい状況になると予想しています。
新型コロナウィルスによる建設業のボーナスへの影響|まとめ
この記事の内容を要約します。
この記事の要約
- 今期の冬季ボーナス以降、支給額は減っていく
- リーマンショックに似た影響は起こり得る
- 建設業従事者の給料は逓減していく
以上の内容から、アフターコロナでは建設・不動産業界は景気低迷の時代に陥る可能性があると考えられます。
ボーナスは減り、給与も減り、工事予算も少ない仕事をする。
そんな時代が今後数年続く可能性もあるので、自身のキャリアについては戦略持って計画をしておくべきでしょう。
建設不動産の業界内で生きていくなら覚悟を持って業務に当たるべきであるし、キャリアチェンジを希望しているなら時間を負うごとに状況は悪くなるので待つ意味はないです。
今後の動向をよく観察し、どんな場面でも対応できる準備はしておいた方が良いかもしれません。
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