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「エネルギー管理員って何?」「取得するメリットってある?」「受験資格や難易度は?」と悩んでいる方向けの記事です。
この記事では、エネルギー管理員ができること、エネルギー管理士やエネルギー管理者との違い、試験概要や難易度などを解説します。
この記事を読むことで、あなたのキャリアにエネルギー管理員がどう関係するかわかり、キャリアアップに活かせるようになりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
エネルギー管理員とは
エネルギー管理員とは、工場や事業でのエネルギー使用や供給を効率的に運用し、省エネルギーや資源消費の低減を実現するための専門家です。
近年の電気料金上昇もあり、事業所におけるエネルギーの合理的な活用とエネルギー効率や安全性を向上させるニーズが高まっており、エネルギー管理員の役割も重要性が増しています。
そのため、エネルギー管理員として資格を取得することで、国内外のエネルギー事情や省エネルギー技術に関する知識が得られ、製造業や設備管理業務など多くの分野で活躍することができるようになります。
このエネルギー管理員になるためには、エネルギー管理士という国家資格の取得が必要になります。
エネルギー管理員のできる仕事
エネルギー管理員の主な仕事は、エネルギーコストや環境への負荷を最小限に抑えるために、効率的なエネルギー使用方法を提案・実施することです。
具体的には、工場や事業所のエネルギー使用状況を分析し、省エネルギーや燃料消費の削減につながる改善策を提案・実施します。
また、エネルギー管理員は、熱や電気などのエネルギー供給設備の適切な維持・管理も担当することになります。
エネルギー管理員が担当できる事業所の規模は、第一種エネルギー管理指定工場も含まれ、規模の大きな工場でも業務が可能です。
※第一種エネルギー管理指定工場:年度間エネルギー使用量(原油換算値kl)が、3000kl/年度以上の工場または事業所
熱分野と電気分野は旧制度の名残
エネルギー管理員になるためのエネルギー管理士の国家試験には、熱分野と電気分野の2種類があります。
この分野が分かれているのは、旧制度であった、熱管理士と電気管理士の国家資格があった名残とされています。
どちらの分野も、エネルギー管理員が必要とする知識や技術を取得するための試験や課目が設けられており、どちらかの分野一方だけでも試験の合格でエネルギー管理士資格を取得可能です。
旧制度では、熱と電気の分野ごとに資格を取得することが求められていましたが、現行制度では総合的なエネルギー管理能力が評価され、統一された「エネルギー管理士」という名称の国家資格となっています。
エネルギー管理員とエネルギー管理者の違い
エネルギー管理員とエネルギー管理者の違いは、対象とする事業所の規模です。
エネルギー管理員が対象とできる事業所の規模は、第一種指定事業者及び第二種特定事業者です。
一方で、エネルギー管理者は第一種特定事業者です。
いずれも省エネ法に基づき、「エネルギーを消費する設備の維持、エネルギーの使用の方法の改善及び監視など」の実務を行います。
エネルギー管理者 | エネルギー管理員 | |
対象事業者 |
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対象となる工場等 |
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エネルギー管理者
エネルギー管理者 は、下記要件を満たす事業所が業務対象で、エネルギー管理士のみがなることができます。
- 製造業・鉱業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業の5業種
- 熱(燃料等)電気を合算した年間使用量が原油換算で3,000kL以上の「第一種エネルギー管理指定工場」
エネルギー管理員
エネルギー管理員 は、上記以外の下記要件を満たす事業所が業務対象で、エネルギー管理士およびエネルギー管理講習(※)の修了者がなることができます。
- 熱(燃料等)電気を合算した年間使用量が原油換算で1,500kL以上3,000kL未満の「第二種エネルギー管理指定工場」と3,000kL以上の「第一種エネルギー管理指定工場」
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エネルギー管理員になるには?
エネルギー管理員になるには二つの方法があります。
1:エネルギー管理士を取得する
1-1:国家試験の合格
1-2:エネルギー管理研修の修了
2:エネルギー管理講習の修了
それぞれの方法について解説します。
エネルギー管理士を取得する
エネルギー管理士は、エネルギー管理において幅広い知識と実務経験が求められる資格です。
この資格を持つことで、エネルギー管理員として、第一種指定事業者を除く対一種エネルギー管理指定工場等の現場管理を行うことができるようになります。
エネルギー管理士の資格は、ガスや電気、熱などのエネルギー供給を行っている事業所での仕事や、石材・鉄鋼・化学・印刷・食品・機械等の業種での就職が有利になります。
国家試験の合格
エネルギー管理士の試験は年一回、全国10か所で実施されます。
この国家試験に合格することで、免状の取得が可能となります。(※免状交付には実務経験が必要)
エネルギー管理研修の修了
エネルギー管理研修は、基礎から応用まで幅広くエネルギー管理に関する知識を学ぶ講習で、専門的な総合計算や修了試験が含まれています。
受講には3年以上の実務経験が必要です。修了には、東京・大阪・福岡・仙台・名古屋・広島等で開催される6日間の講義を受講し、7日目最終日の筆記試験(記述式)に合格する必要があります。
講習内容は以下の通り。
区分 | 分野 | 科目 |
必須基礎区分 | ー | 科目Ⅰ:エネルギー総合管理及び法規 |
専門区分 | 熱分野 |
科目Ⅱ:熱と流体の流れの基礎 科目Ⅲ:燃料と燃焼 科目Ⅳ:熱利用設備及びその管理 |
電気分野 |
科目Ⅱ:電気の基礎 科目Ⅲ:電気設備及び機器 科目Ⅳ:電気応用 |
エネルギー管理講習の修了
エネルギー管理講習を修了することで、エネルギー管理員資格を得ることも可能です。
エネルギー管理講習は全国11か所で開催され、受講料は17,100円です。
受講資格はなく、誰でも受講可能です。
省エネやカーボンニュートラルに向けた政策や取組等について、最新の知識を習得でき、スキルアップにも役立ちます。
詳しくは、ECCJ省エネルギーセンター:エネルギー管理講習申込案内書を参照してください。
エネルギー管理員になるためのエネルギー管理士の試験概要
エネルギー管理士の試験は、毎年7~8月に、全国10か所(北海道・宮城県・東京都・愛知県・富山県・大阪府・広島県・香川県・福岡県・沖縄県)の試験会場で実施されます。
ここでは概要について詳しく解説していきます。
受験資格
実は、エネルギー管理士には受験資格の制限はありません。誰でも受験可能な国家試験です。
ただし、免状交付には1年以上の実務経験が必要となっています。
この実務経験は、試験に合格してからでも問題ありません。
試験の形式
試験の形式は「マークシート方式」です。
4科目で合計6時間20分の試験となっています。
試験日程・受験手数料
毎年7~8月で令和6年度の試験日は現在未公表です。
令和5年度の試験日は7月30日、受験手数料は17,000円でした。
試験課目
試験科目は以下の通り。
区分 | 分野 | 科目 |
必須基礎区分 | ー | 科目Ⅰ:エネルギー総合管理及び法規(80分) |
専門区分 | 熱分野 |
科目Ⅱ:熱と流体の流れの基礎(110分) 科目Ⅲ:燃料と燃焼(80分) 科目Ⅳ:熱利用設備及びその管理(110分) |
電気分野 |
科目Ⅱ:電気の基礎(80分) 科目Ⅲ:電気設備及び機器(110分) 科目Ⅳ:電気応用(110分) |
試験時間と順番は以下の通りとなっています。
出典:出典:(一財)省エネルギーセンター「令和5年度 受験の手引き」
基礎区分(熱・電気共通)
エネルギー管理士試験の基礎区分は熱分野・電気分野共通科目となっています。
科目はエネルギー総合管理及び法規で、内容は「エネルギー使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律および命令」「エネルギー総合管理」についての内容が出題されます。
専門区分(熱分野)
熱分野には3つの科目が設定されています。
- 科目Ⅱ:熱と流体の流れの基礎
- 科目Ⅲ:燃料と燃焼
- 科目Ⅳ:熱利用設備及びその管理
それぞれの内容は、
科目Ⅱ:熱と流体の流れの基礎では、熱力学の基礎、流体工学の基礎、伝熱工学の基礎
科目Ⅲ:燃料と燃焼では、燃料及び燃焼管理、燃焼計算
科目Ⅳ:熱利用設備及びその管理では、計測および制御、熱利用設備
が出題されます。
専門区分(電気分野)
電気分野にも3つの科目が設定されています。
- 科目Ⅱ:電気の基礎
- 科目Ⅲ:電気設備及び機器
- 科目Ⅳ:電力応用
それぞれの内容は、
科目Ⅱ:電気の基礎では、電気及び電子理論
科目Ⅲ:電気設備及び機器では、工場配電、電気機器
科目Ⅳ:電力応用では、電動力応用
が出題されます。
まとめ|エネルギー管理員は就職・転職に有利
エネルギー管理員は活躍の場も広く、今後も需要の増加が見込まれる資格です。
エネルギー管理員は講習の受講で選任資格を得ることが可能で、キャリアアップにも直結するため、おすすめの資格です。
また、エネルギー管理士の資格取得もキャリアの幅を広げる強力な手段となります。
エネルギー管理士資格は専門性が高く比較的難易度は高い資格ではありますが、7日間のエネルギー管理士研修の修了で国家資格の取得も可能です。
就職・転職にも有利な資格のため、キャリアアップを図りたい技術者の方は取得を目指すと良いでしょう。
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