建設業の資格

1級建設機械施工管理技士とは?合格率や難易度、試験内容を解説

1級建設機械施工管理技士は、建設機械施工管理技士と呼ばれる国家資格のうちの一つです。

建設現場で指導・監督する立場の人に求められる資格で、取得によって大規模な建設現場の主任技術者または管理技術者として働くことができます

今回は、1級建設機械施工管理技士の概要と2級との違い、合格率・難易度などを紹介します。スキルアップやキャリアアップにおすすめの資格なので今後の参考にしてください。

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建設機械施工管理技士とは


1級建設機械施工管理技士の概要を知る前に、簡単に建設機械施工管理技士について紹介します。建設機械施工管理技士とは、国土交通省が管轄する国家資格のことです。

1年に1回行われる国家試験に受験・合格すると、1級または2級の建設機械施工管理技士の資格が取得できます。資格取得によって建設現場でさまざまな機械を使用できます。

具体的には下記のとおりです。

  • 第1種:ブルドーザー
  • 第2種:油圧ショベル
  • 第3種:モータ・グレーダー
  • 第4種:ロード・ローダ
  • 第5種:アスファルト・フィニッシャ
  • 第6種:アースオーガ

2級と1級の違い

1級建設機械施工管理技士と2級建設機械施工管理技士には、工事現場の規模や仕事上での権限の範囲に違いがあります。

1級建設機械施工管理技士 2級建設機械施工管理技士
工事の規模 制限なし 請負金額4,500万円未満
権限 特定建設業
一般建設業
一般建設業のみ
業務内容 制限なし 6種の内取得した種別のみ

例えば、1級の場合、特定建設業と一般建設業の両方で働くことができる一方で、2級は一般建設業に限定されるなどです。

また2級の場合、6種のうち取得した種別の機械しか使用できないといった制限もありますが、業務内容に大きな違いはありません。

建設機械施工管理技士のメリット

建設機械施工管理技士のメリットはなにより国家資格のため、取得によって就職や転職が有利になることです。
取得までは大変な道のりでも、試験に突破できれば建設機械施工管理技士としてスキルアップ・キャリアアップができます。

建設機械施工管理技士は、法律によって建設現場に必ず配置するよう義務づけられた職種。そのため、建設会社の多くに求められる存在です。

そのようなことから、就職・転職、さらにはスキルアップやキャリアアップを目指す方にとってはおすすめの資格と言えるでしょう。

なお、1級建設機械施工管理技士は現場で使用できる機械に制限がないので、2級建設機械施工管理技士に比べて業務幅が増えるといったメリットもあります。

1級建設機械施工管理技士の合格率と難易度


ここからは1級建設機械施工管理技士の合格率と難易度を紹介します。

なお、建設機械施工管理技士の試験では「第一次検定」と呼ばれる学科試験と、令和2年5月より実地試験の意味を表す「第二次検定」を受ける必要があります。

本章では1級建設機械施工管理技士の第一次検定・第二次検定それぞれの合格率と難易度を紹介します。

第一次検定

まずは第一次検定の合格率から見ていきましょう。

国土交通省が公開した1級建設機械施工管理技士の過去5年間の受験者数・合格者数をもとに合格率を算出すると、平均合格率は43%ほどであることがわかりました。

ただし、令和2年と令和4年は受験数が少なく、合格率も受験者数に応じて変動することから、その点を考慮しても25~30%程度の合格率です。

100人中3割程度の合格率であることから、難易度はやや高めの資格と言えるでしょう。

参考:国土交通省|令和元年度建設機械施工技術検定「学科試験」合格者の発表
参考:国土交通省|令和2年度建設機械施工技術検定試験 合格者の発表について
参考:国土交通省:令和3年度建設機械施工管理1級、2級第一次検定合格者の発表について
参考:国土交通省|令和4年度建設機械施工管理1級、2級第二次検定 合格者の発表について
参考:一般社団法人日本建設機械施工協会|令和5年度1、2級建設機械施工管理技術検定【第一次検定】の合格発表について

第二次検定

次に第二次検定の合格率を見ていきましょう。

第一次検定同様、第二次検定の合格率も受験者数の増減によって変動していることがわかります。

なお令和3年の第二次検定は、新型コロナウイルス感染症による特例によって、本来であれば令和2年に受験予定だった人も含まれます。

その点を考慮しても50〜60%前後の合格率であることから、難易度はそこまで高くないと言えるでしょう。

参考:国土交通省|令和元年度建設機械施工技術検定試験 合格者の発表について
参考:国土交通省|令和2年度建設機械施工技術検定試験 合格者の発表について
参考:国土交通省|令和3年度建設機械施工管理1級、2級第二次検定合格者の発表について
参考:国土交通省|令和4年度建設機械施工管理1級、2級第二次検定 合格者の発表について
参考:一般社団法人日本建設機械施工協会|令和5年度1・2級建設機械施工管理第二次検定の合格発表につい

1級建設機械施工管理技士の試験内容


ここからは1級建設機械施工管理技士の試験内容を紹介します。

第一次検定

第一次検定はマークシート方式の筆記試験です。出題内容は下記のとおりです。

  • 土木工学
  • 建設機械原動機
  • 石油燃料
  • 潤滑剤
  • 建設機械
  • 建設機械施工法
  • 施工管理法
  • 法規

参考:e-Gov法令検索|昭和三十五年建設省令第十七号 施工技術検定規則

それぞれの概要については、e-Gov法令検索内の昭和三十五年建設省令第十七号 施工技術検定規則をご確認ください。

国土交通省などのデータを見ると、合格基準は60%以上で1問1点の配点
出題数は毎年異なるものの50〜60問弱あり、解答する必要がある問題はそのうち50問です。

例えば令和5年度版の試験問題は全部で56問あり、以下のような記載がありました。

  • No.1〜No. 12までの12問題のうちから10問題を選択し解答
  • No.13~No.46までの34問題は必須問題により34問題すべてに解答
  • No.47~No.51までの5問題のうちから3問題を選択し解答
  • No.52~No.56までの5問題のうちから3問題を選択し解答

参考:令和5年度1級建設機械施工管理第一次検定択一式試験問題

令和4年までの試験問題を遡って確認することはできませんが、第一次検定では選択問題と解答が必須な問題とそれぞれあることがわかります。

50問は必ず解答しなければならないため、第一次検定の突破には、試験勉強をきちんと行い、知識を取り込むことが重要と言えるでしょう。

第二次検定

第二次検定の試験内容は、記述式の筆記試験と実地試験の2つです。
どちらも60%以上が合格基準で、配点についての公開はありません

筆記試験の出題内容は以下のとおりです。

筆記試験

  • 建設機械施工法
  • 施工管理法
  • 建設機械組合せ施工法

参考:e-Gov法令検索|昭和三十五年建設省令第十七号 施工技術検定規則

それぞれの概要についてはe-Gov法令検索内の昭和三十五年建設省令第十七号 施工技術検定規則をご確認ください。

実技試験の出題内容は以下のとおりです。

  • トラクター系建設機械操作施工法
  • ショベル系建設機械操作施工法
  • モータ・グレーダ操作施工法
  • 締固め建設機械操作施工法
  • ほ装用建設機械操作施工法
  • 基礎工事用建設機械操作施工法

参考:建設管理センター|令和6年度 1・2級建設機械施工管理技士[資格詳細]

実地試験は、所定のコース内で操作施工を行い、合否を判定します。

2級建設機械施工管理技士の資格を保有する方は、合格した種別の実技試験の免除を受けることができます
免除を受ける予定であれば、受験申込の際にセンター等へ問い合わせると良いでしょう。

試験の参考資料や試験実施の流れ・手続き等についてはこちらのページをご確認ください。

参考:JCMA一般社団法人日本建設機械施工協会|試験の参考資料等
参考:JCMA一般社団法人日本建設機械施工協会|試験実施の流れと手続き
参考:JCMA一般社団法人日本建設機械施工協会|建設機械施工技能実習評価試験 情報

1級建設機械施工管理技士の受験資格と費用目安


1級建設機械施工管理技士の受験資格は以下のとおりです。

  • 第一次検定のみ合格者は、1級建設機械施工管理技士補
  • 第二次検定合格者は、1級建設機械施工管理技士

参考:建設管理センター|令和6年度 1・2級建設機械施工管理技士[資格詳細]

第一次検定

第一次検定の受験資格は下表のとおりです。

第一次検定の受験資格
学歴 実務経験年数
指定学科 指定学科以外
  • 大学
  • 専門学校を卒業後「高度専門士」と称する人
3年以上 4年6ヶ月以上
  • 短期大学・専門学校
  • 専門学校を卒業後「専門士」と称する人
5年以上 7年6ヶ月以上
  • 高等学校
  • 専門学校
10年※以上 11年6ヶ月※以上
その他 15年※以上

参考:建設管理センター|令和6年度 1・2級建設機械施工管理技士[資格詳細]

2級建設機械施工技術検定試験合格者や実務経験に指導監督的実務経験がある方についても条件が定められています。

詳細は以下建設管理センターや日本建設機械施工協会、国土交通省のホームページをご確認ください。

参考:建設管理センター|令和6年度 1・2級建設機械施工管理技士[資格詳細]
参考:一般社団法人日本建設機械施工協会|令和6年度建設機械施工管理技術検定試験
参考:国土交通省|1. 令和6年度以降の技術検定制度概要(改正概要)

第二次検定

第二次検定の受験資格は以下のとおりです。

  • 1級建設機械施工管理技術検定・第一次検定の合格者
  • 前年度1級建設機械施工技術検定・学科試験に合格し、実地試験が不合格又は欠席をした者

参考:建設管理センター|令和6年度 1・2級建設機械施工管理技士[資格詳細]

第一次検定に比べて第二次検定に細かな条件は設けられていません。
詳細は建設管理センターホームページをご確認ください。

1級建設機械施工管理技術検定の試験日程


1級建設機械施工管理技術検定の試験日は令和6年6月16日(日)です。
受付期間は令和6年2月15日(木)から令和6年4月5日(金)までとなっています。

令和1年から令和5年の過去5年間の試験スケジュールを確認すると、毎年6月中旬に行われています
ただし令和2年度の試験日は、新型コロナウイルス感染症対策による特例のため数ヶ月間と長めのスケジュールでした。

このように、なんらかの特例により試験日が前後する可能性があるので、受験を希望する方は、2月~3月までの間に1級建設機械施工管理技士の試験スケジュールを確認しておくことをおすすめします。

試験実施の流れと手続きについてはこちらをご確認ください。

参考:試験実施の流れと手続き | JCMA一般社団法人日本建設機械施工協会

1級建設機械施工管理技士を勉強するには


1級建設機械施工管理技士の概要や試験内容について押さえたあとは、最後におすすめの勉強法を見ていきましょう。

きちんとスケジュールを立てて取り組む

まずは試験合格までのスケジュールを立てましょう。
1級建設機械施工管理技士の試験日は、特例がない限り毎年6月中旬に行われています。2〜4月上旬まで受験の受付が行われているので、その間に受験手続きを済ませ、6月の試験に間に合わせましょう。

1級建設機械施工管理技士は国家資格であることから、独学でも数100時間の勉強が必要と言われています

独学で資格取得を目指す方は、できるだけ早い段階で受験手続きを済ませ、勉強に取り組むことをおすすめします。

問題を解いた後は必ず解説を読む

過去問題などを解いた後は、必ず解説を見て、知識として身についているかを確認しながら取り組むことも大切です。
国家試験はハードルの高い試験の一つです。

しかしどの試験も、基本的な知識を覚えているかをチェックするために問われます。
つまり、問題の一つひとつは、誤って覚えてはいけない基本的なことと考えられます。

そのことから、問題を解いた後は、必ず解説を読み、答えに至るまでの理由や経緯についても取り込むよう意識しましょう。

関連する動画や講習は漏れなく利用する

資格取得をサポートする学校や通信講座を利用したり、YouTubeなどの動画を閲覧して知識を身につけたりするのもおすすめです。

学校や通信講座を利用すると、知識の豊富な専門家によるわかりやすい解説が受けられるほか、記述問題の添削といったメリットがあります。

YouTubeの場合、無料で閲覧できるので、試験費用を抑えて受験を目指す方には効果的な方法と言えるでしょう。

スキマ時間を活用する

通勤時や通学時、就寝前のリラックスタイムなどは、スマートフォンやタブレットを使ってできる勉強に取り組みましょう。

例えば、過去に間違った問題をメモ帳アプリに登録し、一つひとつ解答するといった方法などです。

文字入力によって自然と過去問の傾向に慣れるほか、いつでもどこでも自分の苦手項目だけを練習することができます。

AndroidやiOSに対応しているアプリとしては暗記メーカーがあります。
さまざまな問題形式に対応しており、自分なりの出題方法で練習できるので、この機会に試してみると良いでしょう。

施工管理職において大きな武器になる資格

今回は1級建設機械施工管理技士の概要と合格率・難易度や試験内容を紹介しました。

国家資格なので難易度が高いというイメージがありますが、第一次検定では25〜30%程度、第二次検定では50〜60%と比較的高いので、チャレンジしてみる価値のある資格と考えられます。

毎年6月中旬に試験が行われているので、綿密なスケジュールを組み、前向きに取り組むことで合格できる可能性も高まるでしょう。

1級建設機械施工管理技士の取得によって業務幅が広がることはもちろん、キャリアアップや収入アップにつながる可能性もあるので、この機会に取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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