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国家資格のひとつである環境計量士の仕事は、環境保全が中心で、大気に含まれる有害物質濃度の計量・分析を行う「濃度関係」と、工事現場での騒音・振動の計測・分析を行う「騒音・振動関係」に分類されます。
今回はそんな環境計量士の概要と試験の難易度・合格率を解説します。
環境計量士を目指す方をはじめ、環境計量士について知りたい方は、ぜひ本記事を参考にしながら資格取得を目指してください。
環境計量士とは
環境計量士は計量士資格のうちの一つです。
計量士とは計量管理を中心とする職種のことで、計量法第109条に則り、適性改良管理事業所、および計量証明事業所において計量等を行います。
また、計量管理業務以外にも、都道府県知事または特定市町村長が実施する定期検査等を代理で行うこともあります。
環境計量士の区分
計量士は2つの環境計量士と一般計量士の3つに大別されます。
区分 | 概要 | 登録者数 (令和5年2月時点) |
---|---|---|
環境計量士 (濃度関係) |
工場から排出される煤煙・排水や工場跡地等の土壌の中の有害物質・悪臭物質等の測定・計量管理を行う | 約12,200名 |
環境計量士 (騒音・振動関係) |
工場や建設工事、道路工事等の騒音の測定・計測管理を行う | 約3,600名 |
一般計量士 | 生産工場や大型商業施設等で使用される質量計・体積計、温度計等の計量器の精度管理・測定計画の策定・実施等の計量管理を行う | 約14,900名 |
登録者数は一般計量士が最も多く、次に多いのが濃度関係の環境計量士でした。
濃度関係と騒音・振動関係の登録者数を比較すると、約3倍もの違いがあります。
建築・土木業界への就職・転職の際、他応募者との差別化を図りたい場合は、騒音・振動関係の資格が狙い目と言えるでしょう。
なお平成5年の法改正前の「濃度関係」および「騒音・振動関係」が分割される前の「環境計量」の登録者数は約7,000名となっています。
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環境計量士を目指す方法
計量士は国家資格であり、受験・合格を経て目指す方法と、計量研修センターで行われる一般計量教習等の受講で目指すことが可能です。
ここでは計量標準総合センターの情報を参考に、2つの方法について解説します。
国家試験
国家試験を選ぶ場合、下記項目のうち1つをクリアしている必要があります。
- 計量における実務に1年以上従事していた
- 環境計量講習を修了している(1週間)
- 濃度関係の薬剤師である
- 職業訓練指導員免許を取得している(濃度関係は化学分析科を、騒音・振動関係では公害検査科)
- 職業能力開発校の修了(濃度関係は化学系化学分析科、騒音・振動関係は化学系公害分析科)
- 技能検定のうち1級または2級化学分析、あるいは産業洗浄(実技試験の科目は化学洗浄作業)に合格している(濃度関係のみ対象)
- 技術士登録が済んでいる(濃度関係は衛生工学部門登録、騒音・振動関係は物理及び化学科目の応用理学部門に関わる本試験に合格していること)
いずれか1つでもクリアしていれば国家試験にチャレンジすることが可能です。
該当する方は後述する試験概要をチェックすることをおすすめします。
研修課程の修了
研修課程の修了を選ぶ場合、実務経験など定められた条件をクリアすることで計量士になることが可能です。
この場合、計量行政審議会による書類審査等を行い、合格とみなされれば都道府県に申請され、経済産業省へ計量士として登録される流れです。
詳細については計量標準総合センター公式ホームページをご確認ください。
環境計量士を目指す|試験概要・難易度・合格率
国家試験という方法で環境計量士を目指す際、気になるのが試験の概要と難易度、合格率ではないでしょうか。
令和2年から5年までの合格率を確認すると、20%以下と難易度は全体的に高いです。
環境計量士 | |||
---|---|---|---|
実施年度 | 濃度関係 | 騒音・振動関係 | |
合格率 (%) |
令和2年 | 16.4 | 18.4 |
令和3年 | 16.8 | 17.5 | |
令和4年 | 16.8 | 19.8 | |
令和5年 | 17.9 | 18.3 |
環境計量士の試験では化学、物理、理数系が出題されることからハードルが高いと考えられます。
環境計量士試験は年に1回で、受験手数料は8,500円です。
令和6年の願書配布期間等については経済産業省公式ホームページ、または下記リンクをご確認ください。
環境計量士に向いてる人
ここでは環境計量士に向いている人の特徴を紹介します。
該当する項目が多いほど環境計量士に向いている可能性が高いので、資格取得を目指す際の参考にしてください。
細かな作業に自信がある
環境計量士の主な業務は、依頼目的に合わせたデータ収集です。
収集した膨大なデータを分析する工程は緻密な作業が多く、地道に取り組む姿勢が大切です。
この特徴から、細かな作業に自信がある方には向いている職種と言えるでしょう。
また、分析時は特定計量器など、さまざまな機器を使用します。
機器のメンテナンスも環境計量士には不可欠な業務のため、機器の取り扱いに慣れているまたは得意な人にも適職です。
理数系の科目が得意
環境計量士の業務では計量・分析を中心に行うため、試験でも化学、物理、理数系が出題されます。
理数系の科目が得意な方や数字に強いと自負する方であれば、自分の長所をいかんなく発揮できるでしょう。
法律の変化に適応できる
環境計量士の業務には環境にまつわる法律が深く関係しています。
しかし法律の概要は専門家や有識者の見解によって大きく変化する場合があります。
法律が変わった場合、今ある知識・技術を新しい内容へとアップデートする姿勢が求められます。
法律に変化はないかを常にチェックできる方、内容に変化があればアップデートするなど、上昇志向で物事を考えられる方は、環境計量士に向いていると言えるでしょう。
環境保全などに興味がある
環境計量士は濃度関係と騒音・振動関係の2つに分かれますが、どちらも人々の暮らしや生活環境に関する項目です。
業務は計測・分析を中心とすることから、環境に対して興味がある方や、環境保全に携わりたいといった方には向いている職種です。
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環境計量士を取得したあとの仕事の方向性
環境計量士の資格取得後は、環境コンサルティング会社あるいは調査会社に就職するのが一般的です。
概要 | |
---|---|
環境コンサルティング会社 | 専門家として企業や官公庁等に対して環境保全にまつわる提案やアドバイスを行う |
調査会社 | 特定計量器等を使用し、ビルやマンションを建設する際の、騒音、水質、土壌調査などを行う |
いずれも正社員雇用が多く、中には業務委託の求人もあります。
環境計量士として実務経験を積んだ後は、公害防止管理者やビオトープ管理者などの資格を取得し、より専門的な職種に進む人も多いです。
職種 | 概要 |
---|---|
公害防止管理者 | 公害発生施設または公害防止施設の運転、維持、管理、燃料、原材料の検査等を行う |
ビオトープ管理者 | 環境保全に関する専門知識のもと、自然の保全や再生を担う技術者 |
いずれも人々の暮らしに関わる業務ですが、知識を活かす方向性に違いがあります。
環境計量士の資格取得を目指す際はさまざまな働き方があることを把握し、自分に合ったキャリアプランを明確にしておくことが大切です。
環境計量士の仕事は社会貢献につながる!
環境計量士は、濃度関係と騒音・振動関係の2つに大別され、いずれも人々の暮らしや環境保全にまつわる業務が中心です。
濃度関係であれば大気中の有害物質濃度の計測・分析などを、騒音・振動関係では工事現場等の騒音・振動等を計測・分析し、改善を図ります。
これらの業務はすべて人々の快適な暮らしの保全に関わることから、社会貢献につながると考えられます。
自分が携わる業務で人々の暮らしを守りたいと考える方は、この機会に環境計量士の資格にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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