目次
建設現場では、多くの人が携わり一つの物を作り上げるという仕事を行っていますが、その中には建築業界で働く人を支える事務職がいることも忘れてはならない存在です。
そこで今回は、建築業界で活躍する事務職に役立つ資格を紹介します。
建設現場で働く人をサポートしたい方、建設業界の事務に興味がある方はぜひ今後の参考にしてください。
建設事務に役立つ資格4選
ここでは建設事務に役立つ資格を4つ紹介します。
建設業界の事務は他業界と異なる特徴から、求められるスキルや知識も異なります。
そのことを踏まえ、どのような資格が建設業界の事務として役に立つのか押さえておきましょう。
➀宅地建物取引士
令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | |
---|---|---|---|---|---|
合格率 | 17.0% | 16.8% | 17.7% | 17.0% | 17.2% |
- 受験手数料:8,200円(非課税)
- 受験日:例年10月の第三土曜日
宅地建物取引士は不動産契約を進める上で必要となる国家資格です。
建設業界では宅地建物取引士保有者の配置が必須とされているため、需要の高い資格と言えます。
同資格を受験する人の多くは不動産業に携わる人が全体の30%を占めており、次いで他業種、建設業、金融業、学生、主婦という構図になっています。
建設業界への就職はもちろん転職にも役立つ資格であることから、「建設業界で役立つ資格を取得したい」と考える方にはおすすめの資格です。
参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構|宅地建物取引士資格試験(宅建試験)とは
参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構|令和元年度宅地建物取引士資格試験の結果 について
参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構|令和 2 年度宅地建物取引士資格試験の結果 について
参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構|令和 3 年度宅地建物取引士資格試験の結果 について
参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構|令和 4 年度宅地建物取引士資格試験の結果 について
参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構|令和 5 年度宅地建物取引士資格試験結果の概要
➁建設業経理士
級 | 分野 | 令和4年上期 | 令和4年下期 | 令和5年上期 | 令和5年下期 | 令和6年上期 |
---|---|---|---|---|---|---|
1級 | 財務諸表 | 20.4% | 21.2% | 21.8% | 39.4% | 36.8% |
財務分析 | 23.5% | 44.5% | 22.1% | 40.0% | 45.8% | |
原価計算 | 12.0% | 15.2% | 21.7% | 20.0% | 20.1% | |
2級 | 44.8% | 33.8% | 35.4% | 42.2% | 47.7% | |
級 | 平成31年上期 | 令和3年下期 | 令和4年上期 | 令和5年上期 | 令和6年上期 | |
3級 | 64.3% | 70.4% | 58.3% | 66.6% | 65.3% | |
4級 | 78.5% | 86.5% | 77.8% | 75.4% | 79.1% | |
級 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | |
特別研修 | 3級 | 93.0% | 92.1% | 87.9% | 91.4% | 87.9% |
4級 | 98.1% | 97.1% | 97.6% | 97.1% | 97.0% |
- 受験手数料:1級(1科目)8,120円/1級(2科目同時)11,420円/1級(3科目同時)14,720円(いずれも税込)
- 受験日:3月、9月
建設業計理士は、建設業経理にまつわる知識、処理能力の向上を目的とした試験に合格した人のことを指します。
同試験は1級から4級まであり、1〜2級は建設業計理士の登録試験として、3〜4級は建設業振興基金独自の試験として行われています。
試験では建設業経理の会計ルールに求められる知識を問われ、合格によって帳簿作成や決算処理等の会計処理、書類作成および管理など、建設業において必要な事務処理が可能になります。
なお、平成19年3月11日以前に試験に合格した人は「建設業経理事務士」と呼ばれています。
参考:一般財団法人建設業振興基金|過去の実施状況 - 建設業経理検定試験
参考:一般財団法人建設業振興基金|建設業経理事務士検定試験」(3級
参考:一般財団法人建設業振興基金|上期 建設業経理検定試験
③日商簿記
合格率 | 令和3年 (2月) |
令和3年 (6月) |
令和3年 (11月) |
令和4年 (2月) |
令和4年 (6月) |
令和4年 (11月) |
令和5年 (2月) |
令和5年 (6月) |
令和5年 (11月) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1級 (統一試験) |
7.9% | 9.8% | 10.2% | - | 10.1% | 10.4% | ー | 12.5% | 16.8% |
2級 (統一試験) |
17.5% | 26.9% | 20.9% | - | 24.8% | 21.1% | 24.8% | 21.1% | 11.9% |
2級 (ネット試験) |
ー | ー | ー | - | ー | ー | ー | 35.2% (23年4月~24年3月) |
|
3級 (統一試験) |
67.2% | 28.9% | 27.0% | 50.9% | 45.8% | 30.2% | 36.5% | 34.0% | 33.6% |
3級 (ネット試験) |
41.0% (令和3年4月~令和4年3月) |
41.2% (令和4年4月~令和5年3月) |
37.1% (令和5年4月~令和6年3月) |
||||||
簿記初級 (平成28年までは4級) |
- | 61.5% (令和4年4月~令和5年3月) |
59.9% (令和5年4月~令和6年3月) |
||||||
原価計算初級 (平成30年より施行) |
- | 90.4% (令和4年4月~令和5年3月) |
89.9% (令和5年4月~令和6年3月) |
- 受験料
- 統一試験:1級/8,800円・2級/5,500円・3級/3,300円
- 団体試験:2級/5,500円・3級/3,300円
- ネット試験:2級/5,500円・3級/3,300円・簿記初級/2,200円・原価計算初級/2,200円
- 受験日:例年2月・6月・11月
※価格はいずれも税込
日商簿記は、あらゆる企業の経営を記録、計算、整理できる資格です。
取得によって経営成績と財政状態を明らかにする技術を有していると示すことができ、あらゆる業界の就職・転職に役立ちます。
特に難しいとされる1級の合格率は、低いときで10%を切っています。
しかし、年々上昇傾向にあり、目指しやすい資格の部類として注目されています。
参考:東京商工会議所検定サイト | 日商簿記検定とは
参考:東京商工会議所検定サイト | 試験要項 | 受験案内・お申込み | 日商簿記検定
参考:東京商工会議所検定サイト | 簿記 1級受験者データ(統一試験)
参考:東京商工会議所検定サイト|簿記 2級受験者データ(統一試験)
参考:東京商工会議所検定サイト|簿記 2級・3級受験者データ(ネット試験)
参考:東京商工会議所検定サイト|簿記 3級受験者データ(統一試験)
参考:東京商工会議所検定サイト|原価計算初級
参考:東京商工会議所検定サイト|2024年度試験日程カレンダー
④秘書検定
合格率 | 令和5年 |
---|---|
1級 | 28.3% |
準1級 | 41.4% |
2級 | 57.5% |
3級 | 69.3% |
- 受験手数料
- 1級/7,800円
- 準1級/6,500円
- 2級/5,200円
- 3級/3,800円
- 準1・2級/11,700円
- 2・3級/9,000円
- 受験日:例年11月
※価格はいずれも税込
秘書検定は、社会で働く上で求められる常識を秘書技能という名称で集約し、検定問題として出題される検定です。
合格によってビジネスマナーをはじめ、ビジネスに求められる表情、態度、振る舞いや言葉遣い等が身についていると示すことができます。
特に難しいとされる1級では、上司が携わる仕事を理解し、何をしなければならないかを判断できる能力が求められます。
上司が働きやすいよう、常に先を読んでサポートできる能力が必要になります。
参考:公益財団法人実務技能検定協会|受験要項
参考:公益財団法人実務技能検定協会|受験者状況
参考:公益財団法人実務技能検定協会|秘書検定とは
- 大手求人サイトで全国トップクラスに輝いたアドバイザーが在籍
- 年収1000万円以上になった方も
- 年収350万円以上の大幅UP事例もあり
- 業界特化で「分かっている」提案。企業知識が段違い
- 休日や夜間でも専属アドバイザーが対応
建設業の事務で資格を保有するメリット
ここからは建設業の事務で資格を保有するメリットを紹介します。
具体的なメリットを押さえ、就職・転職を有利に進めましょう。
就職・転職が有利になる
資格を有することで自分の知識や技術を示すことができるので、就職・転職が有利になります。
資格がない場合、どのようなことができるのか、文章や言葉で説明しなければならないため、伝え方によってはうまく伝わりきらない可能性があります。
資格があれば、どのようなことができる人で、どのような業務に向いているのかがイメージしやすいので、場合によっては即戦力として歓迎される可能性も高まります。
業務幅が広がる
事務職と一口に言ってもさまざまな業務を並行して行わなければなりません。
例えば作業員の日報を管理して給与計算する場合もあれば、企業の会計処理を行うこともあります。
しかし、日報管理はどのような人でも任すことができますが、会計処理は専門知識を有している人に任せることがほとんどです。
このように業務内容によっては資格保有者が抜擢されやすいことから、業務幅が広がるのもメリットと言えるでしょう。
信頼度の向上
資格保有によって信頼度の向上につなげられるのもメリットです。
資格は多くの時間をかけて勉強に取り組まなければなりません。
難易度の高い資格を有しているほど「最後まで粘り強く努力し続けられる人だ」と判断されやすいです。
自身の性格や特徴は一言では言い表しにくい部分でもあります。
真面目さや努力家など、証明しにくい性格も、資格保有によって示せるのは大きなメリットと言えるでしょう。
建設会社で事務|主な業務内容
建設会社に就職・転職した場合、具体的にどのような業務に携わるのか気になる方も多いでしょう。
建設会社の事務職では主に下表のような業務を行うのが一般的です。
業務の名称 | 概要 |
---|---|
経理 総務 |
|
労務安全環境 現場事務 |
|
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、建設業の事務職は一般事務従事者に該当することから、年収は約478〜543万円ほどと考えられます。
なお、同データの日本の平均給与はひと月あたり約31.8万円とされており、12カ月で計算すると年間382万円ほどなので、国民の平均年収より多い給与が受け取れるようです。
参考:e-Stat|令和5年賃金構造基本統計調査
参考:厚生労働省| 賃金の推移
建設会社の事務として働くメリット
ここでは建設会社の事務として働くメリットを紹介します。
チャレンジしやすい
建設会社の事務職は、基本的に必須となる資格を設けていないことがほとんどです。
中には例外として、MicrosoftOfficeや簿記などを必須資格と設ける企業もありますが、基本的には無資格者でも応募可能です。
そのことから、誰でもチャレンジしやすいのはメリットと言えるでしょう。
継続しやすい
建設会社の事務職は、現場に出て働くことがほとんどありません。
場合によっては現場に設置された事務所で業務を行うこともありますが、基本的には会社内のオフィスでの作業になるため、動労環境が良く継続しやすいです。
施工管理などの管理職や技術士などの技術職は、天候や資材等の状況によって残業になることも少なくありません。
しかし事務職は残業になるケースも比較的少ないので、プライベートと両立しやすいのもメリットです。
スキルが身につく
建設会社の事務職は業務幅が広いことから、さまざまなスキルを身につけられるのもメリットです。
例えば企業の経理を担う事務員の場合、建設業界に必要な専門用語に慣れなければなりません。
その理由は建設業界の勘定科目は一般的な勘定科目とは異なるためです。
- 工事完成高(売上高)
- 完成工事原価(売掛金)
- 完成工事総利益(売上総損益)
- 未成工事支出金(仕掛品)
- 完成工事未収入金(売掛金)
- 未成工事受入金(前受金)
- 工事未払金(買掛金)
※一般的な勘定科目は()に記載
このように建設会社の事務職は一般的な事務職とは異なる知識を求められることから、独自のスキルが身につくのも大きなメリットです。
CADスキルが身につく
建設会社によっては、設計補助という立場でCAD操作を依頼される場合があります。
CAD未経験者であっても実務経験で身につけられるので、あらゆる業務に携わりたい方やCADスキルを身につけたい方にとってはおすすめの業界です。
CAD操作を身につけておくと、転職の際、業界の選択肢が広がり、さまざまな業界の中から自分に合った職種を選ぶことができます。
CADオペレーターや製造業、アパレル業界でもCADスキルが役立つので、将来性の高いスキルを身につけられるのはメリットと言えるでしょう。
\ 誰かに聞いてほしい悩みはありませんか/
事務に興味があるなら建設業界も視野に入れよう!
建設業界の事務職は資格を必須とする企業が少ないことから、チャレンジしやすい職種の一つです。
現場で働く作業員のサポートに加え、企業の経営状況を把握・監理するなどあらゆる業務に携わることができるので、やりがいを感じられる仕事と言えるでしょう。
本記事で紹介した資格を保有している場合、企業から即戦力として歓迎されたり、責任の大きな業務を任されるなど、キャリアアップにつながる可能性もあります。
建設業界への転職を検討される方、キャリアアップを目指したい方は、施工管理・不動産業界に特化した転職エージェント「ゼネラルリンクキャリア」をぜひご活用ください。
有料職業紹介(許可番号:13-ユ-316606)の厚生労働大臣許可を受けている株式会社ゼネラルリンクキャリアが運営しています。