建築業界への転職を検討する際、「転職に有利な資格を目指そうかな」と考える方も多いのではないでしょうか。
建築業界にまつわる資格はいくつか存在しますが、その中でも「建築積算士」は建築現場の価格を基礎から算定する業務が中心となり、やりがいの多い資格の一つです。
そこで今回は、建築積算士の概要と平均年収、取得の難易度やメリットを紹介します。
建築積算士の仕事内容を知り、興味が湧いた方は資格取得を目指してみてください。
建築積算士とは
建築積算士とは、工事を依頼する建築会社を比較する場合や入札に使用する提示価格の基礎を算定することが可能になる国土交通省が管轄する認定(民間)資格のことです。
「一般競争入札」と呼ばれる入札方式では、公共事業が発注される際に公開された工事概要を基準に、工事希望者として工事価格を競い合います。
その際、適切な価格を把握していないと、工事の受注が決まっても利益を生まない、あるいは赤字を生む恐れがあります。
そのようなリスクを防ぐため、建築積算士が算定した適正価格の基準を元に工事価格を競います。
建築積算士の存在は最適な工事価格や工事期間の算定にもつながるので、建築業界においては不可欠な存在であり需要の高い資格です。
仕事内容
建築積算士の仕事内容は、建築業界において必要な工事価格等を適切に算定するのが中心です。
とはいえ、一口に工事費の積算と言っても、場合によっては数千〜数億円と高額になることも。
このような場合は、物件一つひとつに対して施されるデザインや使用する資材、現場作業員等の工数や必要などを踏まえた工事期間を考え、その上で建築工事費用を算定します。
現場状況や詳細を広い視点で見つめその上で適切な価格を算定することから、「積算のスペシャリスト」として建築業界で長期にわたって活躍できる仕事と言えるでしょう。
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建築積算士の平均年収
建築積算士の平均年収について見ていきましょう。
リクナビネクストの求人によると、年収500〜800万円ほどが平均であることが分かります。
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、国民の平均年収は約382万円としていることから、一般的な年収に比べて高い傾向にあるようです。
参考:リクナビNEXT|求人・転職情報
参考:厚生労働省| 賃金の推移
建築積算士を取得するメリット
建築積算士の仕事内容から取得のメリットを考えると、第一に建築業界に長期にわたって需要があることが言えるでしょう。
資格を有することで建築業界で必要とされる仕事であり、また別の職種に転職する際に役立つのも第二のメリットです。
また、建築積算士の上級資格にあたる建築コスト管理士のパイプ的役割にもなることから、建築業界での業務範囲がさらに広がるのは大きな魅力とも言えるでしょう。
建築現場ではもちろん、建築業界という業界全体に不可欠な仕事であることから、業界内で長期的な活躍を目指す方にはおすすめの資格です。
建築積算士に向いてる人
取得によるメリットの多い建築積算士ですが、以下の特徴に該当する人は向いている職業と考えられます。
- 数字に強い
- 計算が得意
- 交渉が得意(褒められた経験がある)
- CADソフトを使用できる
- 物事を丁寧に進められる
- 真面目
- 違和感に気付ける
建築積算士の業務内容は、建築現場等の適正価格をあらゆる項目を考慮し算定することです。
そのため数字に強いことはもちろん、計算が得意であったり物事を丁寧に取り組む姿について過去に評価された経験のある人、違和感に気付ける細かな着眼点を持つ人には適職と言えるでしょう。
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建築積算士のキャリアパス
建築積算士の資格を取得した後のキャリアパスは以下の通りです。
- ゼネコンを含む建設会社
- 工務店
- 積算事務所
- ハウスメーカー など
ゼネコンを含む建設会社の中でも、大手ゼネコン、いわゆる1兆円超えの売上を維持するスーパーゼネコン系の会社は、取り扱う現場の規模が大きいことから積算も同時に大規模といった特徴があります。
そのため、建築積算士の知識を活かし、大きな業務にチャレンジしてみたいといったときは、スーパーゼネコン等の建設会社への転職を検討すると良いでしょう。
積算事務所は、積算を専門に取り扱う会社を指し、会社員として積算を行います。
建築積算技術者は現在人手不足であることから、求人情報を比較し、自分に合った転職先を探しましょう。
建築積算士の合格率・難易度
建築積算士の試験は基本知識が出題される一次試験と実務知識が出題される二次試験の2つあります。
「JQOS.jp」と公益社団法人日本建築積算協会のデータをもとにした過去5年間の一次試験、二次試験の合格率は下表の通りです。
合格率 | 一次試験(%) | 二次試験(%) |
---|---|---|
2019年 | 56.5 | 69.2 |
2020年 | 52.9 | 63.0 |
2021年 | 67.6 | 64.6 |
2022年 | 57.2 | 58.0 |
2023年 | 66.3 | 62.0 |
それぞれの合格率を見ると、いずれも50%以上を維持していることから比較的チャレンジしやすい資格と言えます。
参考:JQOS.jp|建築積算士【試験日】合格率や難易度
参考:公益社団法人日本建築積算協会|建築積算士認定事業による2019年度建築積算士二次試験実施結果
参考:公益社団法人日本建築積算協会|建築積算士認定事業による2020年度建築積算士二次試験実施結果
参考:公益社団法人日本建築積算協会|建築積算士認定事業による2021年度建築積算士二次試験実施結果
参考:公益社団法人日本建築積算協会|建築積算士認定事業による2022年度建築積算士二次試験実施結果
参考:公益社団法人日本建築積算協会|建築積算士認定事業による2023年度建築積算士二次試験実施結果
建築積算士の試験概要
ここでは建築積算士の試験概要について紹介していきます。
受験資格は受験年度の4月2日現在で満17歳に達している必要がありますが、一定条件を満たしている方は一次試験が免除されます。
受験手数料は一次試験・二次試験いずれも27,500円(税込)で、登録手数料として13,200円(税込)が別途掛かります。
なお、学会員または建築積算士補であれば、一次試験および二次試験の受験手数料が半額の13,750円(税込)になります。
一次試験の詳細
基本知識が出題される一次試験は四肢択一式で試験時間は3時間です。
出題範囲は建築積算士ガイドブックの全章が対象となっているので、ガイドブックを用いた勉強が不可欠と言えるでしょう。
二次試験の詳細
実務知識が出題される二次試験は、短文記述式で2問となっており、試験時間は1時間です。
二次試験は建築積算士ガイドブックの第1~第4章、第9~第15章までが対象となっているので、幅広く勉強しておくことが合格の近道と考えられます。
二次試験には実技試験もあり、試験時間は4時間30分で、建築積算士ガイドブックの第5~第8章および巻末の基準類から出題されます。
問題内容はコンクリート、型枠、鉄筋を含む「躯体」「鉄骨」「仕上」「内訳明細作成・工事費算出」です。
参考:公益社団法人日本建築積算協会|建築積算士制度の概要
参考:公益社団法人日本建築積算協会|2024年度「建築積算士」試験案内
建築積算士は需要の高い仕事
建築積算士は、一般競争入札などで活用する建築現場を受ける際に必要な工事費や材料費といった費用を算定するのが主な仕事です。
場合によっては算定した数字に付帯する価格交渉もあることから、数字に強いことはもちろん、交渉技術に優れていることやコミュニケーション能力の高さなどが求められます。
資格を目指す場合、一次試験・二次試験のそれぞれを受ける必要がありますが、いずれも合格率は50%を超えており、狙いやすいと言えます。
建築業界で長期にわたって活躍したい方、いまよりもスキルアップ、キャリアアップを目指したいといった方は、この機会に資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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