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危険物取扱者の資格は簡単?試験情報・難易度・試験対策を紹介

企業の中には、業務として危険物を取り扱うところもあります。

そのような企業においては危険物を安全に取り扱うために、危険物取扱者の存在が欠かせません。

本記事では危険物取扱者について、試験の概要や難易度、人気の乙種4類試験の対策やメリットなどを紹介します。

本記事で危険物取扱者について理解を深め、資格の取得にお役立てください。

危険物取扱者とは消防法で定められた国家資格


危険物取扱者は、消防法に規定された危険物の取扱いや立ち会いを行うために必要な国家資格です。

消防法で規定されている危険物とは、以下の表に掲載されているものを指します。

類別 性質 概要 危険物の具体例
第1類 酸化性固体
  • 燃焼しない個体だが、ほかの物質を強く酸化させる性質を持つもの
  • 可燃物と混ざると熱・衝撃・摩擦で分解し、激しく燃焼するもの
  • 塩素酸塩類
  • 過塩素酸塩類
  • 無機過酸化物
  • 亜塩素酸塩類
第2類 可燃性固体
  • 火炎によって着火しやすい固体
  • 40度未満の比較的低温で引火しやすく、以下の特徴を持つ固体
    • 出火しやすい
    • 燃焼が速い
    • 消火が困難
  • 硫化リン
  • 赤リン
  • 硫黄
  • 鉄粉
  • 金属粉
  • マグネシウム
第3類 自然発火性物質および禁水性物質
  • 空気にさらされることにより自然に発火する危険性を持つもの
  • または水と接触して発火しもしくは可燃性ガスを発生するもの
  • カリウム
  • アルキルアルミニウム
  • 黄りん
第4類 引火性液体 引火性の液体で、引火点250度未満のもの
  • ガソリン
  • アルコール類
  • 灯油
  • 軽油
  • 重油
  • 植物油類
第5類 自己反応性物質 固体又は液体であって、加熱分解などにより、比較的低い温度で多量の熱を発生し、又は爆発的に反応が進行するもの
  • 有機過酸化物
  • 硝酸エステル類
  • ニトロ化合物
第6類 酸化性液体 そのもの自体は燃焼しないが、混在するほかの可燃物の燃焼を促進させる液体
  • 過塩素酸
  • 過酸化水素
  • 硝酸

参考:一般財団法人「消防試験研究センター」
参考:総務省消防庁『「危険物」とは?』

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危険物取扱者は甲・乙・丙の3種類


消防法で定められた危険物は、危険度によって第1類〜第6類に分類されます。

危険物取扱者のなかでも、甲・乙・丙種で取り扱える危険物が異なります。
それぞれ、以下のような違いがあります。

種別 取り扱える危険物 無資格者に対する取扱い作業の立会
甲種 第1類から第6類までのすべての危険物 すべての危険物に対して、取扱い作業の立会いができる
乙種 免状に記載されている種類の危険物に限定 免状に記載されている種類の危険物について、取扱い作業の立会いができる
丙種

4類に指定されている危険物の一部

  • ガソリン
  • 灯油
  • 軽油
  • 第三石油類
  • 第四石油類
  • 動植物油類
無資格者に対する取扱い作業の立会はできない

参考:東京消防庁:危険物取扱者制度概要

危険物取扱者試験の概要


ここでは、受験資格や試験科目など、試験の概要について解説します。

本記事に目を通して、危険物取扱者試験がどのような試験なのか全体像を把握しておきましょう。

受験資格

危険物取扱者の乙種と丙種に関しては受験資格が設けられておらず、誰でも受験できます。

甲種については一定の受験資格が設けられており、受験する場合は以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
  • 大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
  • 乙種危険物取扱者免状を有する者(実務経験2年以上)
  • 乙種危険物取扱者免状を有する者
  • 修士・博士の学位を有する者

詳しい情報が必要な方は「一般財団法人 消防試験研究センター」のサイトを確認してください。

参考:「一般財団法人 消防試験研究センター」

試験科目

危険物取扱者の試験では「危険物に関する法令」と「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」が共通科目として出題されます。

加えて、甲種・乙種・丙種それぞれに異なる科目が出題され、乙種と丙種では基本的な知識を問う問題が、甲種では専門的な内容の問題が出題されます。

出題される科目は、以下の表を参考にしてください。

種別 科目 出題数
甲種 危険物に関する法令 15問
物理学および化学 10問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 20問
乙種 危険物に関する法令 15問
基礎的な物理学および基礎的な化学 15問
危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法 10問
丙種 危険物に関する法令 15問
燃焼および消火に関する基礎知識 10問
危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法 10問

受験科目の免除

乙種と丙種の試験に置いて、一定の条件に該当する方は試験科目が一部免除されます。

一定の条件とは、以下に掲載する表のとおりです。

乙種危険物取扱者試験で試験科目が一部免除される方
免除資格者 免除種類 試験科目 免除
乙種危険物取扱者免状を有する者 全類 危険物に関する法令 全部免除
物理学および化学 全部免除
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
火薬類免状を有する者 1類
5類
危険物に関する法令
物理学および化学 一部免除
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 一部免除
乙種危険物取扱者免状を有し、かつ火薬類免状を有する科目免除申請者 1類
5類
危険物に関する法令 全部免除
物理学および化学 全部免除
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 一部免除

免状に該当される方は、願書に免状のコピーを添付して提出してください。

丙種危険物取扱者試験で試験科目が一部免除される方
免除資格者 試験科目 免除
5年以上消防団員として勤務し、かつ、消防学校の教育訓練のうち基礎教育又は専科教育の警防科を修了した者 危険物に関する法令 「5年以上消防団員として勤務したことを証明する書類」および「消防学校での基礎教育又は専科教育の警防科を修了したことを証明する書類」の両方が必要
燃焼及び消火に関する基礎知識 全部免除
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法

参考:一般財団法人 消防試験研究センター「試験科目及び問題数」

試験の申請と日程

危険物取扱者試験を受験するためには、願書に必要事項を記載して提出しなければなりません。

願書の提出から試験の日程までの流れは、以下の表を参考にしてください。

受験までの流れ 詳細
願書の提出
  • 受験地のセンターまたは支部から願書を取り寄せる
  • 受付期間内に願書に必要事項を記入
  • 願書に試験手数料支払証明書を貼付
  • 受験地の当センター支部に願書を持参または送付
  • 試験の免除を受ける方は、必要な書類を添付
受験票の受領(書面申請) 願書を当該支部に持参又は送付した申請者には、受験日の1週間前までに「危険物取扱者試験受験票」が送付される
受験票に顔写真を貼付していないと受験できないので注意
試験日 受験票に記載された試験日
試験実施場所 中央試験センター(東京)および道府県支部
合格通知書 受験者全員に合否と正答率を記載した試験結果通知書を送付

危険物取扱者の合格基準と難易度


ここでは、気になる危険物取扱者試験の合格基準を紹介し、甲種・乙種・丙種それぞれの難易度や合格率について解説します。

本章に目を通し試験の合格基準や難易度を確認して、試験対策の準備をしてください。

合格基準

危険物取扱者試験では、3つの試験科目でそれぞれ正解率が6割以上なければなりません。

3科目中1科目でも6割の正解率に達しない場合、合計点が合格基準を上回っていても不合格になります。

難易度と合格率

甲種

危険物取扱者甲種の難易度は高く、合格率は毎年30~40%前後です。

甲種の試験は受験要件として化学の基礎知識がある人を対象としていますが、それでも合格率は高くありません。

また、試験科目の一部免除の措置がないため、第1類から第6類までの危険物について学習する必要があります。

以上のことから、甲種合格は容易でないといえるでしょう。

乙種

危険物取扱者乙種では乙種4類の合格率が30%前後で、そのほかの合格率は60〜70%前後です。

乙種試験全体としては難易度が低く、計画的に勉強すれば合格するのはそれほど難しくないでしょう。

乙種4類の合格率が低いのは気になりますが、乙種4類は受験者数が多く対策をしないまま受験する人も一定数いるのが原因と思われます。

また、危険物取扱者を受験する方は乙種4類を初めに受験する方が多く、乙種4類以外の受験者は乙種4類に合格した方が多いのも、合格率に差がある要因でしょう。

丙種

危険物取扱者丙種の合格率は、毎年50%前後を推移しています。

問題も基本的なものが出題されるため、危険物取扱者の初学者でも、十分手が届く資格といえます。

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人気があるのは乙種4類


需要の高い危険物取扱者の資格ですが、その中でも乙種4類はとくに人気の資格です。

令和6年4月の試験実施状況をみると、危険物取扱者試験の全受験者の約7割が乙種4類を受験しています。

乙種4類の資格を取得すると、ガソリンや軽油などなじみのある引火性液体を取り扱えるため、資格を活かせる仕事も多く転職にも強くなります。

ガソリンや軽油などは丙種でも取り扱えますが、丙種は無資格者が危険物を取り扱う場合に立合える権限がありません。

そのため、危険物取扱者の中でも、とりわけ乙種4類が選ばれるのでしょう。

参考:一般財団法人 消防試験研究センター「試験実施状況」

危険物取扱者乙種4類の対策


危険物取扱者の資格試験は、共通科目のほかに甲種は専門的な問題が課せられ、乙・丙種は基本的な問題が出題されます。

ここでは、受験者のうち7割の方が目指す人気の乙種4類に絞って、試験対策を解説します。

まずは基礎(物理・科学)から固める

乙種4類の試験対策は「基礎的な物理学及び基礎的な化学」から始めると良いでしょう。

乙種4類の試験は、中学の理科や高校の科学・物理で学んだ内容や、日常生活で使う知識が問われます。

すでに知っている知識もあるため、多くの方にとって進めやすい科目といえます。

とはいえ、忘れている知識や初めて知る知識もあるでしょう。

そのような知識を中心に、自分にあった市販のテキストや試験対策アプリなどを利用して、知識を固めていってください。

危険物の性質はすべてを頭に叩き込む

乙種4類では、ほかの種別の危険物が必ず出題されるため、種別ごとに危険物の性質・状態(固体か液体か)・特徴を覚える必要があります。

とくに、引火点・火災予防の方法・消化方法はよく出題されるため、危険物ごとにその違いを把握しておきましょう。

危険度の高い危険物が多く出題される傾向にあるため、危険度の高いものから勉強するのが効率的です。

法令は後回し

乙種4類の法令は、最後に勉強するのがいいでしょう。

「物理・化学」と「危険物の性質・消火」は互いに関連する所も多いため、1つの分野を学べばほかの問題に通用する知識が多くあります。

しかし、法令は状況ごとの取り決めを一つひとつ暗記しなければならず、出題数も15問が出題されます。

記憶は時間が経つと忘れてしまうため、勉強計画の後半に対策した方が効率的です。

危険物取扱者はメリットの多い資格


危険物取扱者資格は、企業からの需要が高く仕事の幅が広がるため、おすすめの資格といえます。

国家資格でありながら、資格取得も比較的容易なのも大きなポイントでしょう。
ここでは、危険物取扱者のメリットについて、詳しく解説します。

企業からのニーズが高い

業種によっては資格の保有を採用の条件としている企業もあるため、危険物取扱者の資格を取得すれば大きな強みになるでしょう。

危険物取扱者を配置しなければならないケースは多いため、以下にあげる業種・企業で働ける可能性が高まります。

  • 製油所
  • 化学工場
  • 製薬会社
  • 印刷業
  • 製造業
  • 大学・研究所
  • 医療業界

仕事の幅が広がる

危険物取扱者の資格を取得すれば、危険物に詳しい人材として責任ある仕事を担う機会が増えるでしょう。

とくに、甲種や乙種を保有する人は、危険物を取り扱う企業で「危険物保安監督者」への選任も考えられます。

危険物の取扱いに関して重要な仕事を任されるのは、大きなメリットといえます。

国家資格の中でも取得しやすい

乙種4類の試験は少ないところでも年に2回、東京都では毎月実施しています。

試験回数が多いため、自分の都合や学習ペースに合わせて受験できるため、国家試験でありながら比較的合格を狙いやすい資格といえるでしょう。

危険物取扱者は仕事に有利な取りやすい国家資格

危険物取扱者は消防法に定められた危険物について、取扱いや立会いができる資格です。

甲種試験の難易度は高いのですが、乙種や丙種はそれほどでもありません。

試験の実施回数も多く、国家資格の中では取りやすい資格といえます。

企業のニーズも高く仕事の幅が広がる可能性も高まるため、危険物を取り扱う企業で働いている方や就職を考えている方は、ぜひ取得を検討してみましょう。

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