目次
建設業法の一つに見積期間と呼ばれる項目があります。
今回は、見積期間の概要と定められている理由、土日祝日を挟む場合の指定方法などを紹介します。
個人事業主として活躍する人や建設会社の経理部等に勤務する人は、この機会に概要を押さえておきましょう。
建設業法による見積期間とは
建設工事に携わる請負業者が、施工を任せる予定の下請業者へ見積を依頼する際、作成・交付するために設ける期間を「見積期間」と呼びます。
建設業法第20条第4項では、建設工事を発注する上でのルールについて以下のような法律を設けています。
- できる限り具体的な内容を提示すること
- 法律で定める期間を設けること
参考:e-Gov法令検索|建設業法
見積期間が定められている理由
見積に対して必要な期間を法律で定めた理由は、下請となる業者の保護と取引の適正化を図るためです。
見積を行う期間に対して法律がないと、下請業者は契約内容を十分に吟味・把握した上で検討できない恐れがあるほか、元請業者に言われるがまま契約を進めなければならなくなるなどのさまざまなリスクがあります。
国はこのようなリスクを考慮し、元請業者・下請業者双方が納得できる契約を結べるよう一定の期間を定めているのです。
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見積期間の具体的な日数
見積期間に対する法律の中には「見積りをするために必要な政令で定める一定の期間」といった記載があります。
この一文は建設業法施行令第6条の「建設工事の見積期間」を指しており、その中では下表のような項目が明記されています。
工事の予定価格 | 期間 |
---|---|
500万円以下の工事 | 1日以上の期間を設けること |
500~5,000万円以下の工事 | 10日以上の期間を設けること やむを得ない事情があるときは5日以上設けること |
5,000万円以上の工事 | 15日以上の期間を設けること やむを得ない事情があるときは10日以上設けること |
この基準は最低ラインのため、この期間を超えても問題はありません。
工事予定価格や工事内容などあらゆる状況を十分に考え、双方にとって納得できる見積書に仕上がるよう十分な見積期間を設けることが望ましいと言えるでしょう。
数え方
見積期間の日数には見積依頼日と見積提出日を含んでいません。
仮に、100万円の工事を6月1日に依頼する場合は、翌日の6月2日を「1日目」と数え、見積依頼日に該当します。
下請業者が見積を提出する日はさらに翌日になるので「6月3日が見積提出日」になります。
土日などの休日
見積期間中に土日・祝日がある場合は、土日分の日数を除いてカウントします。
例えば6月1日に1,000万円の工事を下請業者へ依頼する場合、「見積開始日は6月2日」になり、「6月11日が10日目」にあたります。
しかし、その期間中に土日が挟む場合は、「土日の日数を除いた13日が10日目」になります。
土日以外にも、祝日や双方の業者の休業日を挟む場合は、さらにその日数分だけ後ろ倒しになります。
短縮について
建設業法施行令第6条では見積期間について「やむを得ない事情があるとき」は短縮を認めるとしています。
やむを得ない事情とは、災害等による理由から早急な復旧工事が必要になったり、各地域との調整によって工事発注時期が遅れた場合等を指します。
そのような状況の場合は、上表のやむを得ない事情がある場合の日数でカウントします。
なお建設業法では「やむを得ない事情があるとき」について具体的な基準を設けていないため、元請業者や下請業者が状況等を考慮し、個別に必要日数を判断する必要があります。
建設業法が定める見積提出時において明示が求められる項目
元請業者が下請業者に見積を依頼するときは以下の点を必ず説明しましょう。
- どの範囲の見積を行う必要があるのか
- 条件や具体的な工事内容の明記
下請業者への説明や下請業者側が見積を行うときは下表を参考にしてください。
項目 | 概要 |
---|---|
工事名称 | 公共工事の場合は元請業者から指定された名称を記載する |
施工場所 | 施工場所を記載 固有名詞や住所で記載するのが一般的 |
設計図等の関連書類 | 必要な数量が拾えるよう、図面等の必要書類を貼付する |
工事工程や全体工程 | 発注工事の工程、全体の工程などを記載 |
見積の条件 | 工事に含める範囲や含めない範囲を明確に定め、提示する |
施工環境、制約 | 埋設物の有無・地盤の強度に関する事柄・近隣住民に家族層が多いなど、周辺環境に必要な配慮事項を記載 |
材料費、労働災害防止対策など | 下請業者・元請業者で費用をどのように分担するかを記載 |
見積の内訳も明示する必要がある
下請業者が見積書を完成させる際は、提出する前に費用の内訳が明記されているかを確認しましょう。
具体的には、工事種別ごとの材料費や労務費、その他に必要とする経費等です。
これらの経費に対して数量または単位を記載し、元請業者が見積の内容を一目で把握できるよう明記する必要があります。
建設業界では「工事代金一式」など簡略的な記載が用いられることがありますが、この表記は認められていないので注意が必要です。
また内訳には法定福利費を記載することも必須となっています。
法定福利費とは、企業が義務として負担しなければならない費用のことです。
例えば以下のようなものが該当します。
- 健康保険
- 社会保険
- 年金保険
- 雇用保険
必要となり得る予算を確保した上で現場従事者の保険に加入するため、法定福利費も内訳に記載するよう注意しましょう。
建設業法違反に抵触する可能性のある行為
建設業法で定められている見積期間ですが、違反とみなされる可能性のある行為にはどのようなものがあるのでしょうか。
建設業法令遵守ガイドライン(第9版)では、以下のような行為を建設業法違反に抵触する可能性のある行為としています。
- 元請業者が工事内容や指示をあいまいなまま見積を行わせること
- 元請業者の都合で下請業者の見積を早めること
- 下請業者から工事に関する質問を受けたにもかかわらずきちんと解答しなかったりあいまいにすること
これらに該当するとみなされた場合、元請業者は建設業法違反に問われる恐れがあります。
例えば以下のような場合は建設業法違反に該当します。
発注予定金額が2,000万円の下請け契約を結ぶ際に、見積について早く把握したく3日に設定して下請け業者に見積もりを行わせた
参考:国土交通省不動産・建設経済局建設業課|建設業法令遵守ガイドライン(第9版)
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見積を作成するときは見積期間のルールに注意しよう
元請業者および下請業者は、見積期間に則った範囲で見積書を受納・発行する必要があります。
下請業者に対して見積書の発行をむやみに急かすなどの行為は、建設業法違反とみなされる恐れがあります。
建設業界に携わる人や個人事業主として活躍する人は、この機会に見積期間や建設業法に理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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