プラントエンジニアリング業界とは？業界の大手企業や仕事内容、働くメリットを徹底解説

こんな疑問にお答えします。

プラントエンジニアリング業界の仕事内容や将来性については、一般的にはあまり知られていません。

そこで本記事では、プラントエンジニアリング業界の情報をわかりやすくお伝えします。

プラントエンジニアリング業界への就職・転職を考えている方は必見です！

プラントエンジニアリング業界とは？

プラント・エンジニアリング業界は、社会や経済に大きな影響を与える重要な産業。

プラントとは、石油・ガス・電力・化学薬品・食品・医薬品など、私たちの生活に欠かせない製品を生産する大規模な施設です。

プラントエンジニアリング業界は、国内外の企業や官公庁からプラントの建設やメンテナンスの依頼を受け、設計から建設までを行います。

建設業界には、さまざまな種類の設備を手掛けるゼネコンと、特定の分野に特化した専門工事業者があります。

プラントエンジニアリング業界の大手3社は、日揮ホールディングス、千代田化工建設、東洋エンジニアリングです。

これらの企業は海外でのプラント建設にも積極的に取り組み、世界のエネルギー問題や環境問題に貢献しています。

また、プラント建設業界で働く人をプラントエンジニアと呼びます。

プラントエンジニアは、機械工学・電気工学・化学工学・土木工学などの専門分野があり、いずれも高度なスキルが求められる仕事です。

プラントエンジニアリング業界の状況と将来性

プラントエンジニアリング業界では、再生エネルギーなど、海外でのエネルギー価格上昇に伴う新規投資が順調に進展しています。

日本国内でも、インフラが年月とともに老朽化する中、そのメンテナンスや改修の需要が拡大しています。

過去の業績推移を見ると、プラント建設業界は世界情勢の影響を受け、一時的に落ち込んだ時期もありましたが、再び拡大傾向に。

日本の環境技術は世界的に高い競争力を誇り、その優位性が広く認識されています。

このため、産油・産ガス国やアジアを中心に、各種環境関連プラントが積極的に受注活動を展開。

エネルギーの貯蔵やリニアモーターを活用した物流システムの整備・大深度地下空間・海洋開発といった新たなフィールドでは、将来的にプラント・エンジニアリング企業が幅広く活躍できる見込みが広がっています。

エンジニアリング・建設業界が直面する課題としては、価格競争の激化や人手不足などが挙げられます。
巨大プラントの建設が計画通りに進まず、追加コストが発生するケースもあり、工期・コスト管理が急務といえるでしょう。

また、デジタル技術の活用や人材の確保も、デジタルトランスフォーメーションの推進が求められる課題です。

プラントエンジニアリング業界の仕事内容

この業界で働く人は、どのような仕事をしているのでしょうか？

プラントエンジニアリングの仕事は大きく分けて6つの分野に分類できます。

それぞれの分野について、具体的な仕事内容を見ていきましょう。

設計

設計は、顧客の要望や予算に応じて、プラントの全体像や細部を決める作業です。

機器の選定や配置、配管や配線のルート、安全対策や制御システムなどが設計に含まれます。

設計する際には、技術的な要件だけでなく、品質や法律、環境などの基準も考慮しなければなりません。

設計の質は、プラントの性能や安全性、コストなどに大きく影響します。

営業

営業は、自社の設備や関連製品を顧客に売り込む仕事です。

顧客は主に法人や官公庁で、インフラや産業に関わるプラントの建設や改修を依頼します。

営業する際には、顧客のニーズや予算を把握し、最適なプラントの提案や見積もりを行います。

また、契約や納品の手続き、フォローアップも営業の仕事です。

資材調達

資材調達は、プラントの建設に必要な機器や素材を、世界中から調達する仕事です。

調達するものは、発電装置や配管、電気設備、制御システムなど多岐にわたります。

調達する際には、コストや納期、品質などを比較し、最適な取引先を選びます。

また、発注や検査、搬入などの手続きも行います。

資材調達は、プラントエンジニアリングの知識や交渉力、英語力などが必要な仕事です。

システム開発

システム開発は、プラントを構成する電気供給システムや制御システムなどを開発する仕事です。

近年、IoTやビッグデータなどの最新技術を活用するシステム開発が増えています。

システム開発する際には、プラントの動作や効率を最適化するために、電源の位置や配線の方法、制御の仕組みなどを設計。

また、サイバーセキュリティや環境対策などの要件も考慮します。

マネジメント

マネジメントは、プラントの建設プロジェクトのスケジュールやコスト、人材、品質などを管理する仕事です。

施工管理や運用管理などもマネジメントに含まれます。

マネジメントする際には、プラントの設計や工事、運用やメンテナンスなどの各工程を監督し、問題がないか確認しなければなりません。

また、プラントの性能や安全性を検証し、改善や更新を提案します。

建設工事

プラントエンジニアの仕事の中でも、最も現場に近いのが建設工事です。

建設工事は、設計したプラントを実際に建てる作業です。

建設工事には、土木工事や機械工事、電気工事などが含まれます。

工事では設計図に従ってプラントの構造や機能を確認し、問題がないか検査します。

メンテナンス

メンテナンスは、完成したプラントの保守管理を行う仕事です。

定期的な点検や修理、改良や更新などがメンテナンス作業に含まれます。

メンテナンスする際には、プラントの性能や安全性を維持するために、機器や素材の状態をチェックし、問題があれば対処します。

また、プラントの効率や環境対策などの改善提案も必要です。

メンテナンスには、プラントエンジニアリングの知識や技術、分析力が必要とされます。

プラントエンジニアリング業界の大手3社とその特徴

この業界の大手3社は、日揮ホールディングス、千代田化工建設、東洋エンジニアリングです。

これらの会社は、それぞれに特徴や強みを持っています。

日揮ホールディングス株式会社

日揮ホールディングスは1928年創業のプラントエンジニアリング業界の最大手です。

元々は日本揮発油を前身に持ち、その歴史を通じて幅広いプロジェクトでの実績を築いてきました。

総合エンジニアリング事業、機能材製造事業、コンサルティング事業など多岐にわたる事業活動を展開。

中でも総合エンジニアリング事業では「エネルギートランジション」「ヘルスケア・ライフサイエンス」「産業・都市インフラ」「資源循環」の領域で80カ国以上、20,000件以上のプロジェクトを遂行しています。

長期的な視点を持つ「2040年ビジョン」を掲げ、エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立、生活を支えるインフラ・サービスの構築・維持といった、社会的な課題に積極的に取り組んでいます。

企業	平均年収	売上高	従業員数
日揮	844万円（23年3月期決算）	606,890（百万円）	7,876名

参照：日揮ホールディングス株式会社

千代田化工建設株式会社

千代田化工建設は、エネルギーと環境の調和を目指し、世界各地でプロジェクトを展開する国内2位の総合エンジニアリング企業です。

国内外でプラント建設を行い、世界でも数少ないLNGプラントの設計・建設能力を有しています。

水素の大量輸送・貯蔵を可能にする「SPERA水素」技術は国内外から注目を集めており、水素関連事業の拡大に注力しています。

また、SDGsの3つの目標をサステナビリティ重要課題に特定し、事業活動を通じてSDGs達成に向けた取り組みを強化。

多種多様なバックグラウンドを持つメンバーがチームを組み、大きな目標に向かって取り組んでいます。

企業	平均年収	売上高	従業員数
千代田化工建設	893万円（23年3月期決算）	430,163（百万円）	3,995名

参照：千代田化工建設株式会社

東洋エンジニアリング株式会社

東洋エンジニアリング株式会社は、石油化学・化学プラント、石油精製プラント、船上プラント、発電所から鉄道まで、幅広い分野における大規模なプラントやインフラ設備の設計・調達・建設を主軸とするエンジニアリング会社です。

これまで約60カ国で数多くのプラントやインフラを建設してきた実績を持ち、世界トップクラスの技術力と豊富な経験を誇ります。

地球環境問題への対応として、生産設備の省エネ化やアンモニア燃料の製造技術開発など、サステナビリティに貢献する事業にも積極的に取り組んでいます。

各社員の仕事の領域が広いため専門外の技術や知識を学ぶ機会が多く、海外出張を通じて多様な人々と交流できるなど、非常に刺激的な環境で働けます。

大きなフィールドで自身の力を試したいというチャレンジ精神旺盛な方には、手ごたえのある会社といえるでしょう。

企業	平均年収	売上高	従業員数
東洋エンジニアリング	824万円（23年3月期決算）	192,900（百万円）	6,686名

参照：東洋エンジニアリング株式会社

プラント・エンジニアリング業界で働くメリット5選

ここでは、プラント・エンジニアリング業界で働くメリットを5つ紹介します。

社会に貢献できる

プラントエンジニアリング業界で働くことで、社会に貢献することができます。

プラントは、私たちの生活に欠かせないエネルギーや製品を供給するだけでなく、環境問題や資源問題といった地球規模の課題にも取り組んでいます。

例えば、再生可能エネルギーの開発、廃棄物・排水処理などの環境対策、食料・水の安定供給などの社会インフラ整備などです。

また、海外でプラント建設に携わることで、発展途上国の経済・社会の発展にも貢献できます。
自分の仕事が社会の役に立っているという充実感ややりがいを得ることができるでしょう。

国際的な視野で仕事ができる

国際的な視野で仕事ができるのもプラントエンジニアリング業界の魅力です。

プラントは日本だけでなく、世界の様々な国や地域で建設されています。

そのため、プラントエンジニアリング業界では、海外のプロジェクトに携わることも少なくありません。

海外プロジェクトに参加することで、海外の文化や習慣に触れるだけでなく、海外の顧客やパートナーとのコミュニケーションや交渉などのビジネススキルを身につけることができます。

また、語学力も向上します。

プラントエンジニアリング業界は、グローバルビジネスに興味のある方、海外でのキャリアを目指す方にとって魅力的な業界といえます。

地図に残るものを作れる

プラントは何もない土地に一から建設され、自分が携わったプラントを地図上で見ることができるようになります。

何もないところから地図に残るようなものを作るのは、とても刺激的と言えるでしょう。

また、プラントは一般の建築物に比べて規模も予算も工期も大きいものが多いです。

そのため、プラント建設に携わることで、スケールの大きな仕事を経験できるというメリットもあります。

自分の仕事の成果が目に見えることで、やりがいや達成感を得ることができるでしょう。

技術が身につき成長できる

プラントエンジニアリング業界で働くことで、自分のスキルを高め、成長することができます。

プラントは様々な分野の技術を組み合わせて作られます。

そのため、プラントエンジニアリング業界では、自分の分野の技術だけでなく、他分野の技術にも触れることになります。

例えば、化学や物理、電気や機械、土木や建築などの技術が必要になります。

また、プラントは最新の技術やトレンドに合わせて常に進化しています。

そのため、プラントエンジニアリング業界では、デジタル化やIoTなどの技術革新に併せて、常に自分のスキルをアップデートしていく必要があるのです。

年収が良い

プラントエンジニアリングは建設業の中でも年収が高い職種。

この業界では専門的な知識と高度なスキルが求められ、デジタル化やIoTに対する知識があればより高額な給与が期待されます。

プラントエンジニアリング職に多い海外駐在では手当が充実していますし、宿泊費や食費、交通費も企業負担の場合が多いです。

事故発生率の低さや工期の厳守などで成果報酬のある場合もありますし、資格手当も充実しています。

経験とスキルの向上によって報酬が一層アップする可能性もあり、将来的に高い収入を得られる職種といえるでしょう。

プラントエンジニアリング業界で活かせる資格

先述のように、プラントエンジニアリング業界で働くには、高度な技術力や専門知識が必要とされます。

そのため、資格を取得することで、自分のスキルや経験を証明することができます。

ここでは、プラントエンジニアリング業界で活かせる資格の中から、特におすすめの3つの資格を紹介します。

電気工事施工管理技士

電気系のプラントエンジニアが果たす主要な役割はプラントへの電力供給です。

このため、電気工学および関連する知識が不可欠です。

電気工事施工管理技士の資格を有することで、発電設備工事・送配電線工事・構内電気設備工事などに従事することが可能となります。

電気工事施工管理技士は、工程・品質・原価・安全性の4つの施工管理を並行して行い、プラント建設現場において不可欠な存在です。

電気系のプラントエンジニアとして活躍する際には、資格取得が有利とされます。

土木施工管理技士

土木施工管理技士とは、土木工事の施工管理を行う国家資格です。

プラントの基礎や外構、水処理施設などを設計・施工・管理します。

この分野では土木工学の知識が必須ですから、土木施工管理技士の資格を持っていると有利です。

土木施工管理技士の資格は2級と1級があります。

2級を取ると、自社の営業所における技術担当者や工事現場の技術責任者として認定されます。

1級を取ると、さらに営業所の技術責任者や工事現場の監督者として認定されます。

管工事施工管理技士

管工事施工管理技士とは、管工事の施工管理を行う国家資格です。

管工事とは、ガスや蒸気、水などを配送する配管の工事を指します。

管工事施工管理技士の資格があると、プラントに張り巡らされている配管の施工に必要な知識と技能を有していることを証明できます。

プラントエンジニアリング業界への転職

ここでは、プラントエンジニアリング業界に興味があるものの不安に感じている方に向けて、未経験からの転職や転職に有利なスキルについて解説します。

未経験でもプラントエンジニアになれる

プラントエンジニアは専門職である一方、企業が求めるのは必ずしも専門知識や経験豊富な技術者だけとは限りません。

実際、未経験者でもプラントエンジニアに転身することができる可能性が広がっています。

近年、プラント業界では未経験者を積極的に採用する企業が増加しています。

また、一部の企業は未経験者向けの教育プログラムを用意して、新たな人材を育てる準備を整えています。

未経験者がプラントエンジニアになることが可能な理由は、若手技術者の不足が背景にあります。

日本のプラント業界は高齢化が進行しており、若手技術者の需要が増しています。

この状況から、企業は未経験者を積極的に採用し、専門知識やスキルを身に付けるためのプログラムを提供しています。

企業は理論だけでなく実地研修を通じて、エンジニアとして必要な知識や技術を未経験者に教授しています。

このようなアプローチにより、新たな才能が業界に参入し、プラントエンジニアとしてのキャリアを築いていくことが期待されています。

プラントエンジニアリング業界への転職に有利なスキル

プラント業界で転職を検討する際に有利なスキルは、まず高いコミュニケーション能力が挙げられます。

特に営業や調達などでは顧客との円滑な対話が求められ、専門職でも広範な部門との協調が必要です。

マネジメントスキルも必要であり、作業を効果的に進めるための計画や進捗の管理が求められます。

プラント業界では英語力も重要で、多くのプロジェクトが海外で行われることから、専門用語を理解できる程度のスキルが要求されます。

国内事業が中心の企業であっても、海外製の機械や部品を扱うことが一般的なため、英語力は決して無駄になることはありません。

こうしたスキルを身につけることで、プラント業界での転職に強みを持つことができるでしょう。

プラントエンジニアリング業界とは？仕事内容・将来性や企業情報を徹底解説｜まとめ

この記事では、プラントエンジニアリング業界とは何か、どのような仕事内容や将来性があるのか、大手3社の特徴やメリットなどを徹底的に解説しました。

プラントエンジニアリング業界は、社会や経済に大きな影響を与える重要な産業であり、高度な技術力や専門知識が求めらる仕事です。

一方、未経験者でもチャレンジできる可能性があります。

プラントエンジニアリング業界で働くことで社会に貢献できるだけでなく、国際的な視野で仕事ができたり、地図に残るものを作れたり、年収が良かったりと、様々なメリットがあります。

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