建設業界の基礎知識

プロット図とは?作成の目的や作り方、注意点を解説!

プロット図とは、建設プロジェクトに重要な図面のことです。
設備業者などが作成するもので、設置した設備の位置を確認するために用いられます。

今回は、プロット図の概要を中心に解説します。

プロット図の種類や類似した言葉の施工図との違い、プロット図の作成方法までを紹介するので、現場で活躍する方はぜひ今後の参考資料としてお役立てください。

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プロット図とは


プロット図とは、住宅などに設置するコンセント・照明・火災報知器・空調設備などの位置を確認・把握するための図面のことです。

総合図とも呼ばれることも多く、構造や配置される設備の位置などを一元化し、調整するために用いられています。

主な作成者や使用者

プロット図を作成するのは、現場責任者である現場監督です。
二次元表示の線で描かれた設計図をもとに、三次元の現場用図面へと描き直します。

工事の施行途中に設備の移動があった際も、作成時と同様に現場監督が描き直しを担当。

現場はプロット図をもとに動くため、設備の位置を現場全体へと伝達できるよう早いタイミングでの作成が求められます。

プロット図の完成後は、各業者が完成した図を使用しながら依頼主へ説明を行い、確認・承諾を得ます。

承諾を得た後は、再度現場で使用するのが一般的な流れです。

施工図との違い

現場にはプロット図のほかに施工図という図面があります。
施工図は、プロット図を作成した後に作成する図面を指します。

施工図を作成する際、あらかじめ構造や設備といった細部の情報をプロット図に記載しておくことで、情報伝達や調整がよりスムーズに進みます。

プロット図の種類


施工図を作成するための図面として存在するプロット図は、情報伝達や設備調整をスムーズにするため、いくつかの種類を使い分けるのが一般的です。

具体的にどのような種類があるのか紹介します。

壁・床

建物の壁・床に設置するものがある場合は、壁・床用のプロット図を作成します。
壁・床用プロット図では、以下のものを記入します。

  • コンセント
  • スイッチ
  • 電話線
  • 空調設備
  • 衛生設備
  • インターネット回線
  • 分電盤

壁・床用のプロット図は平面での作成です。

そのため、取り付け場所の重複に注意し、設置場所が把握しやすいかを意識して作成する必要があります。

天井

天井用のプロット図も存在し、作成時は以下のものを記入します。

  • コンセント
  • 照明機器
  • 火災報知器
  • 人感センサー

照明機器のみならず、シーリングファンや換気扇などを設置する場合も天井用プロット図に記入します。

展開

展開プロット図は、別名を壁の総合図と呼びます。

その名のとおり壁全体に設置するものの位置や高さなどを詳細に記入します。

プロット図の作成方法


プロット図には、壁や天井など場所ごとに種類があり、目的にあわせて作り分けます。

ここでは、実際にプロット図を作成する方法を紹介します。

プロット図の作成方法について理解しておきたい方はぜひ参考にしてください。

建築図に弱電機器や強電機器を記載

まずは完成した設計図に目を通し、建築図に電気機器や強電機器を記入しましょう。

コンセントやスイッチなどは誰が見てもわかるよう、共通記号を用いて表記するのが一般的です。

機器を書き起こしたあと各設備を調節

プロット図は、機器を書き起こした後、各設備を調節しましょう。

たとえば玄関周りに見られることの多い、一つの壁の同じ位置の上下にコンセントとスイッチを取り付けたい場合です。

このようなときは先にコンセントを記入し、その次にスイッチを記入しましょう。

その後、エアコンや照明などの電気機器や空調機器などを記入し、それぞれの収まりを調整します。

機器が収まらないときは壁や柱をふかす

プロット図作成時は、機器がどうしても収まらないこともあります。
このようなときは壁や柱をふかします。

「ふかす」とは、建築用語の一つで仕上げ面を広げて前に出すことです。
壁や柱をふかすと面積が増えて、記入したい機器を配置できるようになります。

なお、壁や柱をふかせるかどうかは現場によって異なるので、ふかして作成する場合は設計事務所などに必ず確認してください。

プロット図に盛り込む主な項目


プロット図に盛り込む項目には、コンセントやスイッチ、電気機器などがあります。
ここではプロット図に盛り込む主な項目を紹介します。

建物に必要な動力や利用者が変わっても変更しない設備はこの章で押さえ、プロット図の作成に活かしましょう。

コンセント

コンセントは、壁や天井に取付後、電源プラグを差し込み、電気を供給するためにあります。

トイレや洗濯機を設置する浴室周りにはアース付きを設置するなど、考えられる電気設備の情報を記入しましょう。

壁付きや床用、接地極付などの場合も、異なる凡例で示すのが一般的です。

スイッチ

照明機器や換気専用のスイッチも記入します。

建物の利用者を想定し、換気扇であれば浴槽やキッチンなどに、照明機器はリビングや浴室などに設置しましょう。

スイッチの設置場所をきちんとプロット図に記入しておくと、設置位置や高さ、避けるべき構造物の柱などが把握しやすくなります。

スイッチを記入する際は、片切り・ホタル・パイロットなど種類で分けることはもちろん、スイッチの数や、防水・調光といった機能も分けて記入しましょう。

照明機器

照明機器は、天井や壁に取り付けるのが一般的です。

照明機器は利用者が変わっても変更しない設備に分類され、途中で変更することはできないので注意しましょう。

アパートやマンションといった集合住宅の場合は、必要に応じて通路の照明も記入します。

LEDタイプの照明機器の場合は壁付の表示を、センサーライトや埋込タイプの場合は分けて記入するのが一般的です。

テレビ・空調の設置場所

テレビを設置する場合、アンテナ用の差込口と電源がセットになったコンセントを使用するため、コンセントの記入時はアンテナの設置位置も記入しましょう。

空調の場合は、専用のコンセントと配管が必要になることからそれぞれの位置を、電話回線やインターネット回線は、差込口を記入します。

なお、電話やインターネットの回線に使用する差込口は、電話用アウトレットと呼ばれる記号を使用し、壁付・床付と分けて記入しましょう。

配管

空調や給排水、天井部のスプリンクラーに用いられる配管は、配置する機器それぞれに使用することを想定し、漏れなく記入しましょう。

建物によっては、給湯装置の位置や洗濯機の使用場所が水周りから離れている可能性も。
設置場所と配管の位置をきちんと確認した上で記入しましょう。

配電盤・分電盤

配電盤や分電盤は設置場所をきちんと確認してから記入します。
配線が集約できるよう記号を用いると、回路分けや電気容量の算出がしやすくなります。

なお、配電盤は大きな建物に設置されるもののため、一般住宅用のプロット図には記入しません。

一方、分電盤は安全に電気を分ける装置であり、電圧を変える機能は付いていないため、大小問わずどの建物にも設置されています。

プロット図作成の注意点


プロット図の作成にあたっては、いくつかの注意点に留意する必要があります。

施工する各業者や依頼主に細かな情報を伝達できるよう、各注意点を押さえておきましょう。

設置できない場所を把握する

躯体の柱に機器を設置することはできません。
躯体の柱は鉄筋コンクリート製が一般的であり、スイッチやコンセントなどを取り付けられないためです。

躯体の柱に設置するのではなく、横の壁や周囲の天井に設置するよう注意しましょう。

同様に、引き戸の戸袋や外壁の躯体壁も避けて設置しましょう。

戸袋は引き戸を壁の中に収納するために存在するものであり、外壁の躯体壁は結露などが発生しやすいといった懸念があるためです。

それぞれの特徴を深く理解し、設置できない場所を把握した上でプロット図を作成しましょう。

設置する場合は高さを揃える

電気・空調・衛生機器を同じ壁に設置する場合は、高さやそれぞれの間隔を調整して揃えてください。

高さが均等になっているとアンバランスに仕上がるほか、利便性が低下する可能性があります。

誰もがわかる記号を使用する

プロット図の作成では、誰もがわかる記号を使用しましょう。

国土交通省では、「公共建築設備工事標準図(電気設備工事編)」として、電気設備などに用いられる図面記号を一覧化したものを公開しています。

プロット図の記号について理解しておきたい方は、こちらのページよりあわせてご確認ください。

参考:国土交通省|公共建築設備工事標準図(電気設備工事編)

プロット図を作成して業務に役立てよう

プロット図は施工図のもととなる図面を指し、各業者や依頼主に建物の情報を細かく伝達する目的で作成します。

作成は工事時期の中でもできるだけ早い段階で行い、正確に作成することが大切です。

大きな建物になるほど設備の数や種類が増えることから、作成には時間がかかることも少なくありません。

作成にあたっては使用する記号をきちんと理解し、設計図の内容一つひとつに目を通しながら、慎重に取り組む姿勢が求められます。

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