建設業界の基礎知識

路盤とは?路床との違いやアスファルト舗装工事の手順を詳しく解説

路盤はアスファルト舗装において、構造上欠かせません。
しかし「路盤」の名称を知っていても、詳しく説明できる方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、アスファルト舗装において路盤が果たす重要な役割について解説します。

また、アスファルト舗装の構造や工事の手順なども、あわせて紹介します。
路盤やアスファルト舗装について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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路盤とはアスファルトを構成する層のひとつ


路盤とは、アスファルト舗装において重要な役割を果たす層のひとつです。
アスファルト舗装は複数の層から成り立っており、それぞれの層が異なる機能を持っています。

その中で路盤は、アスファルトの構造全体を支える基盤としての役割と、上層から伝わった荷重負荷を分散して路床へ伝える役割を担います。
そのため、アスファルト舗装において路盤は欠かすことのできない、重要な層といえるでしょう。

路盤は負荷を分散させる役割を持つ


路盤は、アスファルトの構造全体を支える基盤としての機能を持ちます。
それだけでなく、上層から伝わった荷重負荷を分散して路床へ伝えるのも、路盤の重要な役割です。

道路は車両の通行により常に荷重がかかりますが、路盤はこれらの荷重を均等に分散させ、路面の劣化や損傷を防いでいます。

直接表層にかかった荷重がそのまま下の層に伝わると、特定の箇所に過剰な圧力が集中します。
圧力の集中は、路面のひび割れや凹凸が生じる原因のひとつです。

それゆえ、路盤は表層にかかった荷重を受け止め、広範囲に分散させる役割を担います。
荷重が分散されることにより局所的な負荷が軽減され、路面全体が均一な強度を保てます。

アスファルト舗装の構造と路盤構成


路盤は単一の層ではなく、上層路盤と下層路盤の2層で構成されています。
ここでは、先述した2層の路盤の役割と、アスファルト舗装を構成するその他の層について解説します。

アスファルト舗装の構造がわかれば、路盤の重要性についても理解を深められるでしょう。

表層

アスファルト舗装の表層は道路の最上部に位置しているため、車両の荷重や摩耗に耐え、雨水の浸透から下層の路盤や路床を保護できるものでなくてはなりません。

そのため、表層には密度の高いアスファルトが使用されています。
その結果道路の耐久性が向上し、歩行者や車両の安全で快適な通行が可能となります。

基層

基層はアスファルト舗装の構造において、表層と路盤の間に位置する層です。
基層の主な役割は、路盤の凹凸(不陸)を整え平坦な基盤を提供することです。
不陸を整えることで表層の施工が容易になり、均一な仕上がりが可能となります。

また、表層に加えられた交通荷重を均一に路盤に伝達するのも、基層の役割のひとつです。
荷重を等しく伝えることで路盤全体に荷重が分散され、道路の耐久性が向上します。

上層路盤

上層路盤は耐荷重の点で、最も重要な役割を担う層です。
上層路盤は表層や基層から伝わった荷重を分散し、単位面積あたりの荷重をできるだけ減らして下層路盤や路床に伝えます。

荷重分散が不十分だと、下層路盤や路床の特定の部分に大きな力がかかります。
その結果、不当沈下(建物の基礎部分や建物自体が傾き、沈下する現象)が引き起こされ、舗装全体の崩壊へとつながるかもしれません。

そのため、上層路盤はかなり厚く作られ、力学的にも安定した材料で構築されます。

下層路盤

下層路盤は、路床の上に直接設置される部分です。
天然の地盤である路床と人工物の舗装の境界層にあたり、緩衝材的な役割を持ちます。
それゆえ、路床としっかり密着して、上層部の施工が可能となるような支持力が必要です。

下層路盤は比較的安価な材料でも機能を果たせるため、一般に現地で調達可能で安価な材料が用いられます。
とはいえ、荷重分散の役割を担い層自体の崩壊を防ぐ観点から、材質にはさまざまな制限が設けられています。

路床

路床は道路構造の一部で、路盤の下に位置する厚さ約1メートルの層です。
道路の基盤を支える重要な部分で主に土で構成され、表層にかかる荷重を最終的に支持する役割を果たします。

車両の重量はまず表層にかかり、次に基層から路盤へと伝わります。
そして、最終的に路床に分散されるため、路床が全重量のほとんどを支えるといえるでしょう。

路床は、道路全体に安定した支持力を提供する必要があります。
そのため、支持力の弱い路床の場合、大型車両が通るとすぐに凹んでしまう危険があります。

路盤と路床の違い


路盤と路床は道路構造の異なる層です。
路盤は基層の下に位置し、車両の重量を広く分散させ、道路全体の安定性を向上させる役割を持ちます。

一方、路床はさらにその下にあり、厚さ約1メートルの土で構成され、道路の基盤を支える部分です。

路盤は荷重の分散と道路の支持力を提供し、路床は路盤から分散された荷重を支える基礎となります。
路盤と路床の違いについては、以下の表を参考にしてください。

項目 路盤 路床
位置 表層・基層の下、路床の上 一番下の層
材料 砕石や砂利など 主に土
構造 上層路盤と下層路盤の2層構造 単層
役割 アスファルト舗装にかかる荷重の分散 アスファルト舗装全体の支持力を提供
施工方法 モーターグレーダーでならし、ローラーで締め固める ブルドーザーやモーターグレーダーでならし、ローラーで締め固める

路盤に使用する材料


路盤は、上層路盤と下層路盤の2層で構成されるのが一般的です。
上層路盤は以下にあげる強度が高い材料で作られているため、下層路盤に比べて強度的に優れています。

  • 砕石
  • スラグ
  • 切込砂利
  • 粒度調整砕石
  • 粒度調整スラグ

下層路盤には以下にあげるような、施工現場近くで経済的に入手できる材料が主に使用されます。

  • クラッシャラン
  • スラグ
  • 山砂利
  • 切込砂利

舗装工事の手順


本章では、測量から表層工事までの手順を解説します。
アスファルトの舗装工事は、いくつかの工程に分かれて行われます。
また、作業自体も測量や転圧、グレーダーなど、さまざまな分野にわたる作業員の力が必要です。

地盤測量

工事を開始する前に発注者から設計図や現場の情報を受け取り、実際に現場を確認します。

設計図が正確かどうかをチェックし、不足している情報がある場合は自分たちで測量を行わなければなりません。

また、工事を進める上での注意点や進行方法を考えながら、工事に必要なマーキングを行い準備します。

路床工事

路床工事は、道路の基盤を形成する重要な工程です。
まず、ブルドーザーやモーターグレーダーを使用して地盤をならし、必要な高さと形状に整えます。

その後、タイヤローラーや振動ローラーなどの重機を使用して路床をしっかりと締め固め、地盤の密度と支持力を向上させます。

締め固め後、次の工程に行く前にプルーフローリング試験を実施して、均一性や強度の確認をしなければなりません。
試験の結果強度が足りなければ、必要に応じてセメントや石灰などを混合して路床の強化を行います。

最後に、路床の整形と締め固めが完了したら最終的な仕上げを行い、表面の平坦性を確保します。

路盤工事

下層路盤はブルドーザーで粗くならし、モーターグレーダーで均一に敷きならした後、ロードローラーやタイヤローラーで所定の密度が得られるまで締め固めを行います。

上層路盤では支持力の高い粒度調整採石や安定処理材料、加熱アスファルト安定処理路盤材が使われます。
モーターグレーダーで均一に敷きならした後、ロードローラーやタイヤローラーで締め固めを行うのは、下層路盤と一緒です。

路盤を仕上げた後は、速やかに路盤の表面を安定させるプライムコートや、接着強度を上げるタックコートが施されます。

基層工事

路盤の完成後、基層工事を実施します。

基層工事に使用されるのは、150℃以上に加熱されたアスファルト混合物です。
アスファルト混合物を、アスファルトフィニッシャーやモーターグレーダーを使って路盤の上に均一に敷きならします。

敷きならしが終われば、ローラー重機で締め固めます。

表層工事

表層は舗装の最上部に位置しているため、交通の安全性や快適性、機能性の確保が重要です。
そのため、一般的に基層で使用するアスファルト混合物よりも粒子が細かく密度の高い材料が使用されます。

耐久性やたわみの問題を改善させ見た目を美しく仕上げるためには、高密度の材料が欠かせません。

基層と同様にアスファルト混合物の施工では、加熱されたアスファルト混合物を敷きならして締め固めます。

敷きならしにはフィニッシャーやモーターグレーダー、ブルドーザーなどが使用され、締め固めはロードローラーやタイヤローラーを使用します。

締め固め後には温度が下がりにくくなるケースもあるため、注意が必要です。
温度が完全に下がっていない状態で交通を解放すると、わだちができる場合があります。
それゆえ、温度低下の時間を考慮しなくてはなりません。

路盤工と不陸補正の違い


路盤工は、道路の基礎部分である路盤を構築する工事のことを指します。
路盤は道路の耐久性と安定性を保つための重要な層で、適切な材料を使用して厚さや強度を確保する必要があります。

対して不陸補正は、デコボコや凹凸(不陸)を平らにする作業のことです。
路盤が不均一だと舗装の耐久性が低下するため、舗装前の不陸補正は重要です。
不陸補正は主に表面を整える作業であり、路盤工と比べて施工範囲は限られます。

舗装工事の注意点


アスファルト舗装工事を行う際には、厚みと温度に気を付けなければなりません。

適切な厚みや温度から外れてしまうと道路が均一にならず、場合によっては破損する可能性があります。
本章で、舗装の厚み管理・温度管理の重要性を確認しましょう。

厚みの管理

アスファルト舗装に関しては、厚みの基準は定められていません。
しかし、一般的な目安として歩道の表層は3〜4cm、路盤は10cm程度とされています。
基層についてはその都度、状態にあわせて設定されます。

一般道路においては表層と基層の厚さは5〜10cm、路盤の厚さは15〜20cm程度が目安です。
層の厚さは交通量や荷重、路床の支持力などを考慮して、さらに増加する場合があります。

温度の管理

アスファルトを敷く工程では、温度管理が非常に重要です。
アスファルトフィニッシャーで敷きならされたアスファルト混合物の温度は、平坦性を確保するため110℃以下にならない配慮が必要です。
初期転圧は、アスファルト混合物の温度が110~140℃の時に施工します。

二次転圧では、終了時のアスファルト混合物の温度が70~90℃となります
転圧終了後、わだち掘れなどの舗装初期変化を抑制するため、舗装表面の温度が約50℃以下になるまで交通解放はされません。

路盤の強度不足で起こる問題とは


道路は経年劣化や温度変化、交通荷重などさまざまな原因で破損します。
また、舗装道路の支持力が弱い場合や不適切な材料による施工など、道路の強度が問題となるケースもあるでしょう。

ここでは、強度が足りない場合に起こりうる「ひび割れ」や「わだち割れ」について解説します。

ひび割れ

ひび割れはクラックとも呼ばれ、アスファルトやコンクリートに亀裂が入ることを指します。
ひび割れを放置すると破損した部分がさらに広がり、ポットホールと呼ばれる円形の穴が開いたり陥没したりします。

ひび割れはオートバイの転倒やパンクなどの原因となるため、早急な修繕が重要です。

わだち割れ

わだち割れはひび割れの一種で、トップダウンクラックとも呼ばれる道路表面に生じる縦表面ひび割れです。

わだち割れは、表面から底部に向かってひび割れが起こります。
わだち割れをそのままにしておくと、騒音や雨水の浸水、劣化につながります。

路盤はアスファルト舗装の大黒柱

路盤はアスファルト舗装を構成する層のひとつで、アスファルト舗装の全体を支え、負荷を分散させる重要な役割を持っています。
路盤の強度が不十分だとひび割れや陥没などの原因となり、重大な事故を引き起こす可能性が高まります。

社会において道路は重要なインフラであり、建設業界にとっても無くてはならない存在です。
そのため、道路を支える路盤について、深く知っておいて損はありません。
この機会に、ぜひ道路やアスファルト舗装について理解を深めてください。

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