目次
プラントの運転では電気や水、燃料などを必要とし、これらを常時供給するための設備としてユーティリティ設備と呼ばれるものが存在します。
今回はユーティリティ設備の概要と種類、管理する際の項目を紹介します。
プラント設備で業務に従事する人やプラント業界への就職や転職を検討する人は、ぜひ今後の参考資料の一つとして本記事をお役立てください。
ユーティリティ設備とは
プラントの運転においては、電気や水、窒素、圧縮空気や燃料などを供給する必要があります。
これらを常時供給するための設備のことをユーティリティ設備と呼びます。
プラント設備にとってライフラインとも言えるこの設備が機能しなくなると、さまざまなトラブルにつながると言われています。
例えば原子力発電所において冷却水が供給できなくなった場合、放射能の飛散など大きな事態を招く恐れがあります。
このようにユーティリティ設備はプラント運転において必要不可欠であり、正常な運転によって人々の暮らしの維持にもつながっていると考えられるでしょう。
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ユーティリティ設備の種類
ここからはユーティリティ設備の種類を紹介します。
どのようなものを用いているのか理解を深めておきましょう。
➀電力
ユーティリティ設備の一つとして電力があります。
人々の暮らしを維持することと同様に、プラントにも多くの電力を供給し、運転を維持しています。
例えばプラント内で使用される装置の駆動源や照明、制御経路などに用いられており、プラント稼動において欠かせないエネルギーの一つです。
➁ガス
ユーティリティ設備においては、ガスも使用しています。
ガスはプラント内の燃料として使用するのが一般的です。
なおガスと一口に言ってもさまざまな種類がありますが、プラントにおいては設置された機材やプラントの用途に合わせて使用するガスが選定されています。
③空気
電気やガスに加えて空気も使用しています。
プラント内にある空気圧シリンダの駆動に用いられているほか、計装にも使用されることがあります。
計装とは、プラント内での生産工程制御を目的に測定装置等を使って測定すること。
そのため空気も電力やガスと同様にプラントにおいて必要不可欠な存在の一つと言えるでしょう。
④窒素
窒素は、防爆やパージ用として使用されることがあります。
窒素は不活性な物性を保有する特徴があるので、産業用ガスとして用いられることも。
プラントの安全性を高める目的から、多くのプラントで活用されているエネルギーです。
⑤スチーム
熱媒体としてスチームが用いられることもあります。
ほかにも温水や熱媒体油を使用することも。
特に化学系プラントでは、熱媒体油を循環させて熱エネルギーを供給するシステムを採用するケースが多く、熱源供給のためにボイラーを使うこともあります。
⑥工業用水
工業用水とは、プラント内で使用する冷却水や洗浄水の役割を持つ水のことです。
プラントの稼動にあたっては冷却水が必要不可欠です。
しかし、プラントの規模が大きく大量の水が必要になること、さらにそのまま排出すると環境汚染につながる恐れがあることから、プラント内で処理したり再利用するのが一般的です。
再利用する場合は、タンクに貯蔵された工業水をポンプで吸い出し、濾過設備を経由してきれいな水に戻した状態で使用します。
⑦冷却水
電力やガス、窒素や工業水のほかにも、切り離せないものとして冷却水が挙げられます。
使用用途としては、プラント冷却器や凝縮器等のヒーリングが目的です。
プラントの規模はいずれも大きく、また内部に設置された設備も大小さまざまな種類があります。
そのため冷却水も必然的に大量となることから、工業水と同様、プラント内で循環させて再利用するのが一般的です。
プラント内のさまざまな設備を経由し、熱を取り除いていくので、冷却水は温水に近い状態と言われています。
なお、プラントによっては回転機にも用いられることがあります。
ユーティリティ設備に必要な管理項目
プラント設備を安心・安全な状態で常時稼動するために必要なユーティリティ設備。
では常に安全な状態を保つためにどのような管理項目に沿って維持されているのでしょうか。
機能・性能の維持管理
ユーティリティ設備においては、プラント内の設備そのものの機能・性能の維持管理が行われています。
これらの整備を怠ってしまうとプラントが正常に機能せず、最悪の場合大きな事故につながる恐れがあります。
プラントにはさまざまな種類があり、目的に合わせた設備を多数設置しています。
さまざまな設備を正常に使用するため、機能や性能そのものの維持管理は必要不可欠な項目です。
不具合・故障等の点検
ユーティリティ設備においては、プラント内の設備の不具合や故障の点検も管理項目の一つです。
プラントではさまざまな機器を設置しています。
これらが正しく運転できているか、故障や劣化はないかなどを点検することも、プラント運転において欠かせません。
定期点検による診断
プラント設備の不具合や故障、劣化の点検のほかに定期点検も行われます。
プラントではボイラー設備、吸収式冷温水器、高圧ガス設備など重要な設備が多数設置されています。
そのため、毎日行われる日常的な点検業務をはじめ、法定点検業務や防災設備の点検管理も行い、正常な運転が可能かを診断します。
周辺の環境整備
ユーティリティ設備の管理では、プラント周辺の環境整備も実施しています。
プラント周辺に隣接するビル管法関連の環境衛生業務のほか、清掃などを中心に行います。
一例としては、クリーンルームの清掃によりプラントで生産する製品の汚染リスクを低減するなどがあります。
ユーティリティ需要予測と運用事例
プラント内設備においてユーティリティ設備を導入することが一般的とするなかで、日本の学術出版物用プラットフォームのJ-STAGEでは「ユーティリティ設備の運用最適化事例」として、ユーティリティ設備の運用最適化をオンラインで行った事例を紹介しています。
同資料では、プラント内の原動力設備の省エネとCO2削減を実現するため、ユーティリティ需要量を予測する「需要予測機能」と、予測需要量を満たしつつ原動力設備の最適運用を計算する「運用最適化機能」を搭載したパッケージ「U-OPT」の開発・事例・課題をまとめています。
事例は原動力設備の運用や電力契約の切り替えを前提としていますが、本例のように需要予測やオンライン運用最適化システムの導入は、再生可能エネルギー設備を含めたユーティリティ設備の各機器をどのように連携させ、運用するべきかを決める有力な手段になるとしています。
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ユーティリティ整備に関わるプラントエンジニアとは
プラント運転、さらにはプラント内部のユーティリティ設備に関わるプラントエンジニアとは、プラントの企画・設計をはじめ、施工管理といった業務を行う業種のことで、プラントメーカーと呼ばれることもあります。
プラントエンジニアが在籍する企業が一括でサービスを提供するケースが一般的ですが、造船企業など特定の企業に在籍するエンジニアがプラントエンジニアの一部業務を担うことも少なくありません。
プラントエンジニアは国内外において需要のある業種であり、安定した収入が得られると言われています。
本サイトではプラントエンジニアについてまとめた記事もあるので、この機会に併せてご覧ください。
ユーティリティ設備について理解を深めよう
ユーティリティ設備は、プラント運転において欠かせない空気や冷却水、ガスなどを安定して供給するために必要なライフラインです。
ユーティリティ設備が正常に行われていないと、プラントが正常性を維持できず人々の暮らしにさまざまな影響を与えます。
そのことから、プラントの運転には多くの人が関わり、安定した供給を目指していることが理解できたかと思います。
プラントエンジニアもそのうちの一つの業種であり、大きなやりがいのある仕事です。
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