建設業界の資格

電験三種の実務経験はどこで何年積むべき?業務内容やメリットも解説

第3種電気主任技術者試験、通称「電験三種」を目指す人の中には、実務経験の有無に不安や疑問を抱える人も多いのではないでしょうか。

今回は電験三種における実務経験の必要性と、資格取得の方法を紹介します。

資格取得に関しては2種類あるため、それぞれどんな人におすすめできる取得方法かもご紹介します。

電験三種に実務経験は必要?


電験三種は受験資格がないので実務経験がなくても取得できます。

ただし、実務経験が不要なのは電験三種試験に合格する方法であり、経済産業大臣が認定する教育施設(以下認定校)での科目修了では実務経験が必要となります。

電験三種の取得方法
電験三種試験の合格 実務経験なしで取得可能
認定校での科目修了 認定校(経済産業大臣が認定した大学・短大・工業高校等)で受験において履修が必要な科目を修了後、一定の実務経験を積み、認定を受ける

なお、認定校での科目修了を選ぶ場合、規定の学歴および実務経験を満たした上で、免状交付申請を経済産業省の産業保安監督部に提出し、下記に該当する書類審査および面接審査を経る必要があります。

免状交付に必要となる書類

  • 主任技術者免状交付申請書
  • 卒業証明書
  • 単位取得証明書又はこれに代わるもの
  • 電気主任技術者免状または合格書の写し※
  • 実務経歴証明書
  • 戸籍抄本又は住民票
  • 免状送付用宛先用紙

※ 現に免状交付を受けている人のみ有効
  旧規則による国家試験合格者および詮衡検定合格者も該当
参考:中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署|電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方

各書類の様式や書き方、記入内容については関東東北産業保安監督部電力安全課ホームページの資料をご確認ください。

実務経験年数は学歴で異なる

認定校での科目修了後、実務経験を積む場合は、学歴によって経験年数が異なります。

また、認定校を卒業する前の実務経験年数は半分として計算するのでそれぞれの点に注意しましょう。

認定校 実務経験年数
大学 1年以上
短大・専門学校 2年以上
工業高校 3年以上

なお外部委託で保安管理業務を行う場合、5年の実務経験が必要ですが、令和3年3月の告示改正により保安管理業務講習の受講で3年に短縮可能です。

詳細については経済産業省の「電気主任技術者制度について」をご確認ください。

参考:中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署|電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方
参考:日本テクノ協力会・日電協|よくある質問
参考:経済産業省|電気主任技術者制度について
参考:株式会社日本電気保安協会|保安管理業務講習

実務経験なしでも受験・合格は可能?

電験三種の試験は受験条件がないので、実務経験がなくても受験・合格は可能です。

試験で出題される科目は以下の4つです。

  • 理論
  • 電力
  • 機械
  • 法規

電験三種は、一般的に合格まで約1,000時間の勉強時間が必要と言われています。

仮に、在職中の人が1日2時間の勉強時間を確保し、資格取得を目指した場合、最短でも1年3ヶ月かかる計算になります。

すでに電気工事会社に勤めている人、あるいは施工管理経験のある人の場合、電気工事にまつわる知識が身についていることから、上述した時間よりも短い時間で合格を目指せるでしょう。

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電験三種の実務経験の積み方


電験三種に必要な実務経験を積むには「電圧500ボルト以上の電気工作物の工事、維持又は運用」が必要です。

この場合、対象となる実務経験は以下の通りです。

  • 6,000ボルト以上で受電する高圧受変電設備
  • 60,000ボルト以上で受電する特別高圧受変電設備が備わった工場・商業施設・病院・オフィスビル

ただし、電気工事会社であっても規定の実務経験が積めない可能性もあります。

電験三種の実務経験を積む目的で電気工事会社への就職・転職を希望する場合は、あらかじめ電験三種を目指す旨を企業へ説明し、該当する実務経験が積めるかについて確認しましょう。

参考:e-Gov法令検索|電気事業法の規定に基づく主任技術者の資格等に関する省令

電験三種の難易度・合格率


過去5年間の電験三種の合格率は下表の通りです。

令和元年 令和2年 令和3年 令和4年 令和5年
合格率(%) 9.3 9.8 11.5 上期:8.2
下期:15.6
上期:16.6
下期:21.2

令和4年から5年にかけて合格率は推移しているものの、合格率全体の平均値は約11%と低いです。

このことから電験三種の難易度はとても高く、試験対策は徹底して行うことが重要と言えるでしょう。

なお、電験三種の試験結果は4つの科目別に合否が決まる仕組みです。
4科目すべて合格できれば電験三種の合格者となりますが、一部の科目だけ合格した場合は「科目合格」となります。

この場合、翌年度等の試験時に科目合格である旨を申請すると「科目別合格制度」が受けられ、試験が免除されます。

科目別合格制度により、科目合格をした年から3年以内に4科目すべてに合格できれば免状取得が可能になります。

参考:ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター|試験実施状況の推移(第三種電気主任技術者試験)

電験三種の取得方法の選び方|試験合格と認定取得


電験三種の取得方法は、試験に合格する方法と認定取得の2つあります。

では、どのような人にどちらの方法がおすすめなのでしょうか。
それぞれにおすすめの人を紹介します。

試験合格がおすすめの人

試験に合格する方法がおすすめの人は下記の通りです。

  • 認定校を卒業していない人
  • 今から電験三種を目指す人
  • 最短で資格取得を目指したい人
  • 所定の実務経験が積めそうにない人

認定校に在学しながら実務経験を積める企業に就職しても、卒業前は半分の年数で計上されるため、取得時間の短縮が難しいと考えられます。

上記に該当する人は、電験三種の試験合格を目指すのが有効です。

試験を選んだ場合のメリット・デメリット

試験に合格する方法を選ぶ場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット デメリット
  • 知識を身につけながら試験に臨める
  • 実務経験が不要
  • 難易度が極めて高い
  • 電気関係の知識がない、または電気関係の知識がない場合、突破は難しい

電気工事関係の仕事や勉強をしていた経験がある人であっても、きちんと試験勉強をしなければ合格は難しいと言われています。

自分でスケジュールを立てながら勉強に取り組める人や、スクール・通信教育を活用した試験対策が可能な人にとってはおすすめの方法と考えられます。

認定取得がおすすめの人

認定取得がおすすめの人は下記の通りです。

  • 認定校に在籍中の人
  • 認定校を卒業後、実務経験を積めそうな人
  • 通学に必要な資金・時間を確保できる人

認定校を卒業後は学歴に応じた年数の実務経験が必要になるものの、既に在学中の人や実務経験が積める企業への就職・転職が明確に決まっている人などにはおすすめの方法です。

認定取得を選んだ場合のメリット・デメリット

認定取得を選んだ場合のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
  • 難しい試験を受けなくても資格が取得できる
  • 試験勉強が不要
  • 学歴に応じた実務経験が必要
  • 実務経験を積める企業を探さなければならない

認定取得の場合、資格取得の条件となる実務経験が絡むことから、最短で取得したい人にとってはデメリットと言えるでしょう。

しかし、1,000時間以上の勉強時間や難易度を考慮すると、難しい勉強をしない代わり、実務経験で知識と技術を身につけられることは、採用において即戦力につながりやすく、メリットとも考えられます。

時間に余裕がある人や実務経験を積める企業が見つかっている人、そもそも勉強が苦手といった人にとってはおすすめの方法です。

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電験三種は実務経験なしでも合格はできる!

電験三種は実務経験なしでも合格することは可能です。

ただし、実務経験を経由しない方法は難易度の高い試験に合格する必要があり、そのためには1,000時間以上の試験勉強が必要です。

勉強が苦手な人や勉強時間を確保できない人、体で覚えることが得意、といった人は、実務経験を経由する認定取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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