建設業界の基礎知識

工事主任とは?主任技術者との違いや業務内容・役割を解説!

工事現場には「工事主任」と呼ばれる責任者が常在し、現場や作業員、スケジュールを管理しています。

しかし、同様の作業を行う人として主任技術者と呼ばれる人もおり、それぞれにどのような違いがあるのか知らない人も多いのではないでしょうか。

今回は工事主任の業務内容と主任技術者との違いを中心に解説します。

工事主任とは


工事主任とは、工事現場で監督業務を行う立場の人のことです。

現場監督、または現場主任と呼ばれることも多く、現場の管理全般を担っています。

工事主任になるために必須な資格はなく、現場による実務経験の長い作業員から選任されるのが一般的です。

具体的には以下のような管理業務を行います。

  • 工程管理
  • 品質管理
  • 安全管理
  • 原価管理
  • 環境管理

工程管理

工期までに施工物を完成させるよう、決められた手順を心がけながら工事が進行しているか、検査・管理することを工程管理と呼びます。

現場では多くの職人が携わることから、作業ごとの日程調整や現場全体のスケジュールを管理することもあります。

品質管理

工事に使用される資材が適切な基準をクリアしているかを確認・管理することを品質管理と呼びます。

ほかにも、完成した施工物の性能検査やデータ管理も行います。

現場主任が管理する書類や画像データは膨大な量です。

しかし、トラブルが起きたときや確認が必要なときに提出が求められることもあるため、すぐに提出できるよう、工事主任はデータを写真やファイル等にまとめなければならないといった業務も行います。

安全管理

現場内のパトロールを行い、危険箇所を把握することを安全管理と呼びます。

危険箇所と判断した部分を作業員全体に共有し、注意喚起を行うほか、危険箇所の排除・隔離なども行います。

工事主任は現場に在中することが多い特徴から、作業員と危険箇所や問題点を共有しながら安全な作業環境作りを主導的に行う姿勢が求められます。

原価管理

施工計画書等に基づき算出された実行予算、そして建設現場での実際の工事において生じた原価を管理し、利益を計上できるよう管理することを原価管理と呼びます。

実行予算よりも原価が増えてしまうと、利益を計上できなくなってしまいます。

そのようなトラブルを未然に防ぐため、工事主任は施工計画の見直し・下請け工事業者の変更等を実施し、実行予算と原価の調整を経ながら利益を計上できるよう管理します。

環境管理

工事によって発生する騒音や振動、さらには粉塵などのトラブルを未然に防ぐため、工事によって出る産業廃棄物の徹底管理・マニフェストの管理を行うことを環境管理と呼びます。

さらに、工事が周辺環境に及ぼす影響を踏まえ、工事前の環境対策汚染防止策なども実施することがあります。

  • 大手求人サイトで全国トップクラスに輝いたアドバイザーが在籍
  • 年収1000万円以上になった方も
  • 年収350万円以上の大幅UP事例もあり
  • 業界特化で「分かっている」提案。企業知識が段違い
  • 休日や夜間でも専属アドバイザーが対応

工事主任におすすめの資格


工事主任において必須となる資格はありません。

しかし、現場による実務経験が多い作業員から選任されるケースが多いこと、そしてさまざまな管理業務を担う立場であることから、取得することで業務に役立つ資格も存在します。

ここでは、工事主任として活躍する上で有効な資格を紹介します。

施工管理技士

施工管理技士は、建設業種別に技術がある者と認定された人に与えられる国家資格です。

土木施工管理技士や建築施工管理技士など全7業種に大別され、それぞれ1級と2級に分かれています。

難易度や合格率も7業種で異なりますが、国家資格のためにハードルは高いと言われています。

しかし、国家資格というハードルの高い資格だからこそ、取得によってスキルアップはもちろん、キャリアアップ、さらには業務幅が広がるなどさまざまなメリットもあります。

建築士

建築士は、建築物の設計や工事管理など、建築に係わる国家資格です。

1級・2級・木造の3種が存在し、それぞれで携わることができる工事規模や種類が異なります。

なお、建築士の資格を取得することで、工事主任として活躍することはもちろん、独立して建築士事務所を立ち上げることも可能です。

将来的に独立を目指す人にとってはおすすめの資格と言えるでしょう。

工事主任と主任技術者の違い


工事主任と混同されやすい管理者として、主任技術者があります。

工事主任は、工事現場全体を管理し、工事現場やその周辺の環境に悪影響を及ぼさないよう管理するのが主な業務です。

一方、主任技術者は、工事の施工計画の作成や工程の管理、現場作業者をとりまとめて指導・監督業務や関係各所との打ち合わせ・調整を行います。

つまり、現場に直接係わる管理・監督業務を担うのが工事主任、これらの業務に加え、工事計画の作成や現場作業者への指導・監督、関係各所との打ち合わせといったデスクワークを担うのが主任技術者です。

主任技術者以外の技術者

建築や土木などさまざまな現場・業務には、主任技術者以外にも技術者が活躍しています。

ここでは、主任技術者以外の技術者を紹介します。

後述する工事主任に向いている人の特徴や主任技術者の業務内容と併せてそれぞれの概要を押さえ、キャリアアップの参考にしてください。

専任技術者

専任技術者は、建設業に関して専門的な知識や経験を持つ人のことです。

専任技術者がいなければ建設業許可の取得ができないため、事業所や営業所ごとに配置しなければならないと義務づけられています。

専任技術者を目指すには、主任技術者と同様に国家資格の取得、特定学科の修了および実務経験または10年以上の実務経験が必要です。

原則、事業所内で事務作業を担当するため、工事現場に出ることはありません。

監理技術者

4,000万円以上の工事を請け負う場合に配置が義務づけられているのが監理技術者です。

1級国家資格の取得、または元請という立場で4,500万円以上の工事に2年以上の指導監督的な実務経験がある人、さらには主任技術者としての要件もクリアする必要があります。

工事主任が向いている人の特徴


ここからは、工事主任が向いている人の特徴を紹介します。

実務経験の豊富な作業員から順に選任されることを踏まえ、他にもどのような特徴があると良いのかを把握しておきましょう。

積極的でコミュニケーション能力が高い

工事主任は、現場の職人や作業員を統括し、作業を進めることが主な仕事です。

職人や作業員のなかには、癖が強い人や頑固な人も少なくありません。

特徴的な作業員がいたとしても、一人ひとりから信用を獲得するため、積極的に関係を深めようと努力する姿勢や高いコミュニケーション能力がある人は、工事主任に向いていると言えるでしょう。

マメに確認・連絡ができる

施工主と取り決めた工期で施工物の完成を目指すには、正しい管理計画が必要不可欠です。

また、現場を管理する立場上、高い危機管理能力を持ってスケジュールを管理する能力がなければ工期に間に合わせることはできません。

受け持つ現場において考え得るトラブルを予測し、対策を講じることも必要です。

もしトラブルが発生した場合でも、きちんと施工主に伝えられる度量がある人、さらにはマメに報告・連絡・相談ができる人は工事主任に向いています。

ほかにも、細部にわたって気を配れる性格の人、綿密な計画スケジュールに沿って行動できる人も工事主任に向いている人の特徴です。

責任感があり発言に一貫性がある

責任感が強い人は、物事を最後までやり遂げようといった努力を惜しみません。

共同作業が欠かせない現場だからこそ統制力さえあればなんとかなるだろうと考える人もいますが、そのような人に作業員は付いてきません。

そのようなことから、責任感だけでなく、発言に一貫性がある人は工事主任に向いていると考えられます。

また、施工スケジュールに沿って高品質な施工物を完成させるためには、あらゆる問題に直面しても、真正面から取り組む真摯な態度が評価されます。

そのため、強い責任感がある人、さらには何事も真面目に取り組める人にも向いています。

ただし、責任感が強すぎると、全ての責任を自分で負ってしまうことも。

工事主任だからという理由で全ての責任を負う必要はないので、細心の注意を払った上で取り組むことが大切です。

冷静に考えられる・適切な指示が行える

工事現場ではさまざまなトラブルが発生します。

どれだけトラブルを未然に防ごうと努力をしても、作業員が多い場合や、工事現場周辺の環境によっては、毎日細かなトラブルが発生することも少なくありません。

そのため、いつどのようなトラブルが起きた場合でも、常に冷静でいられる人、さらには適切な対処ができる能力がある人も工事主任に向いています。

臨機応変に対応できる

臨機応変に対応できる能力がある人だと、トラブルや天候による工期の遅れや関係企業との連携がうまく進まないときでも、適切な判断を下し、行動することができます。

そのことから、順応性を評価された経験がある人、広い視野で物事を考え臨機応変に対応できる人も、工事主任に向いています。

メンタルが強くストレス耐性がある

癖のある職人や頑固な作業員が多い工事現場。

それぞれが自分のポリシーに沿って働く場所だからこそ、工事主任という立場は傷がつくような言葉を投げられることもあります。

そのようなことがあっても、それぞれが竣工を目指して努力していることを第一に考え、傷付くような言葉を受けても立ち直ることができる人も、工事主任に向いています。

向上心がある

現場では常に新しい工法が導入され、実践する姿勢が大切です。

そのため、工事主任という立場であっても、自分が知らない工法であれば、設計士から指示を受け、いつでも学ぶような向上心があると活躍の場が広がります。

さらに、現場の施工環境や人間関係を良くするためにどうすればいいのかを考えられる人も工事主任に向いています。

声量に自信がある

大きな声の工事主任は信頼されやすい傾向にあると言われています。

普段から大きな声で挨拶できる人、さらには大きな声でハキハキと話せる人は、工事主任に向いている可能性があります。

\ 誰かに聞いてほしい悩みはありませんか/

無料でアドバイザーがお聞きします

工事主任と主任技術者との違いを理解しよう

工事主任は、建設現場において、技術的な内容の監督・指導を行うのが主な業務です。

そのため、初対面の作業員や現場作業に不慣れな人に対しても適切な指示ができるといった高いコミュニケーション能力がある人など、本記事で紹介した特徴が多い人ほど、向いていると考えられます。

なお工事現場には、工事主任以外にも主任技術者や監理技術者など、さまざまな技術者が深く関わっています。

本記事で紹介したそれぞれの違いについても理解を深め、将来的なキャリアアップの参考にしてはいかがでしょうか。

有料職業紹介(許可番号:13-ユ-316606)の厚生労働大臣許可を受けている株式会社ゼネラルリンクキャリアが運営しています。

ゼネラルリンクに相談を

-建設業界の基礎知識

© 2024 施工王 Powered by AFFINGER5