建設業界の基礎知識

管工事とは?配管工事との違いや業務内容、資格などを解説

管工事と一口に言っても、その範囲は多岐にわたることをご存じでしょうか。

例えば冷暖房設備工事や給排水・給湯設備工事なども管工事に含まれます。

今回は管工事の概要と、混同されやすい配管工事、水道施設工事、管工事の主な内容を紹介します。

管工事とは


管工事とは、ガスや給排水、空調などの設備を管を設置して供給できるようにするための工事のことです。

管工事には以下のような種類があります。

  • 衛生設備工事
  • ガス配管工事
  • 管内更生工事
  • 給排水配管工事
  • 空調設備工事
  • 浄化槽工事
  • 水洗化設備工事
  • ダクト工事
  • 厨房設備工事
  • 冷凍冷蔵設備工事
  • 冷暖房設備工事

なお、管工事は配管工事と比較して、圧力の高い水やガスを取り扱うことが可能な管を設置する工事とも言われています。

この場合、圧力に耐えられるよう流量の多い管を取り扱う工事が行われます。

配管工事との違い

管工事と混同されやすい工事種類の一つに配管工事があります。

配管工事 管工事
管や部材の取り付けや撤去、修理など実際の作業を指す 水道やガスを使用するために必要な、管を取り付ける工事全体を指す

配管工事は電気やガス、水を供給するための管や部材の取り付けのほか、撤去や修理など実際の作業を指します。

配管工事では流れるものをなめらかに流すことが求められるため、水やガスの圧力損失を最小限に抑える技術が必要になります。

一方、管工事は、水道やガスを使用するために必要な管を取り付ける工事全体を指します。

水道施設工事との違い

管工事と特に混同しやすい工事種類に、水道施設工事もあります。

水道施設工事 管工事
取水・浄水・配水施設や下水処理施設の設備を設置する工事 一般の家屋や店舗に配水小管を設置する工事

違いは、水道施設工事が処理設備自体の設置工事なのに対して、管工事は配水小管を設置する工事である点です。

例えば、し尿処理関連施設の建設工事の場合です。

この場合、規模を問わず浄化槽を使った処理施設を建設する場合は管工事に分類されます。

一方、公共団体によって上水道の取り入れのほか浄配水に関する施設を設置するケース、さらには下水処理場に処理設備の増設や設置をする場合は水道施設工事となります。

参考:国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」

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管工事の内容


ここからは、管工事の内容を表を使って紹介します。

工事の種類 概要
衛生設備工事 トイレや洗面台などで水を利用する場合の衛生設備の取り付け
ガス配管工事 建築物内でガスの利用ができるようにガス管やそのために必要な設備を取り付ける工事
管内更生工事 老朽化した下水道管・農水管・工業用水管などの既設管に新設管と同レベルの性能を持つ構成材料を既設管路内に裏打ちし、管渠の修繕や改築を行う工事
給排水配管工事 建築物内の給排水に必要となる管や設備を取り付ける工事
空調設備の取付工事 建築物内の空調にまつわる管やそのために必要な設備を取り付ける工事
さらに空調設備のメンテナンスや古くなった空調設備の取り替えなどもある
浄化槽工事 汚れた水を浄化する設備を取り付ける際に必要な工事
水洗化設備工事 住宅まわりに排水管を布設し、私設汚水ますを設置する工事
ほかにもくみ取り便所を水洗トイレに改造したり水洗トイレへの給水工事も行われる
ダクト工事 風洞を取り付ける工事
空調・換気・排煙などを用いて空気の流れをつくり、快適な住環境を維持する
厨房設備工事 施設内の厨房で利用する管や設備を取り付ける工事
冷凍冷蔵設備工事 冷凍冷蔵設備を維持するための管や設備を取り付ける工事
冷暖房設備工事 冷暖房機・温湿度調節装置・換気装置など一般管工事業に含まない工事

このように管工事と一口に言っても複数の工事が多く行われていることが理解できるでしょう。

管工事・配管工事のメリット・デメリット


管工事や配管工事は言葉は似ているものの、用途・目的の異なる工事です。

例えば管工事の場合、衛生設備工事やガス配管工事、管内更生工事などさまざまな工事を含めた工事である特徴から、圧力の高い水やガスを取り扱えるようにするための管を設置するのが中心です。

そのため、圧力に強いことはもちろん効率的に水やガスを供給できるといったメリットがある一方、設計が複雑など管工事ならではのデメリットがあります。

管工事のメリット 管工事のデメリット
  • 圧力に強い
  • 冷暖房効果がある
  • 圧力損失が少なく効率的に水・ガスなどを供給できる
  • 取り付け費用が高額
  • 設計が複雑

一方、管工事と混同されやすい配管工事には設計に柔軟性があり、自由に設置できることや配管が破損しても交換が容易といったメリットがあります。

しかし温度制限があることから高温の水やガスを通すことができないなど、配管工事ならではのデメリットもあります。

配管工事のメリット 配管工事のデメリット
  • 設置費用が安く比較的安価に供給できる
  • 設計における柔軟性が高く、比較的自由に設置できる
  • 配管が破損しても交換が容易に行える
  • 温度制限があるため高温の水やガスを通すことはできない
  • タンク式便器には対応しない

このように、管工事・配管工事はまったく別の工事のためそれぞれにメリットやデメリットがあり、どちらの工事が適しているのかは建物の構造や目的で異なります。

大規模な建物や高圧力の水・ガスを使用する場合は管工事を、低層の建物や冷暖房による水やガスを使用する場合は配管工事が適しています。

それぞれに掛かるコストも異なるため、建物の構造や目的、状況と照らし合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。

管工事に求められる資格


ここでは管工事に求められる資格を2つ紹介します。

また、管工事の建設業許可を得る場合における資格の必要性についてもあわせて解説するので、今後の参考にしてください。

配管技能士

配管技能士は国家資格のひとつで、空調や給排水、冷暖房にまつわる設備設置に必要な技術を認定する資格です。

配管技能士の資格を有することで管工事に必要な技術や知識があると証明できるので、キャリアアップのきっかけに役立ちます。

資格は1〜3級まであり、1〜2級では筆記試験と技能試験の双方を、3級では技能試験のみを受けることで取得できます。

管工事施工管理技士

管工事施工管理技士も国家資格のひとつで、管工事にまつわる業務のほか、工事現場において施工管理の技術責任者として現場全体の監督業務が可能であることを証明する資格です。

1〜2級まであり、受験にあたっては大学指定の学科を卒業後、数年の実務経験が必要になります。

資格取得によって、工事を請け負うための許可を取る際に必要な専任技術者としてや、現場の監理技術者として工事に従事できるなど活躍の場を広げることができます。

管工事の建設業許可を得る場合、資格は必要?

管工事の建設業許可を得る際、資格は必要になるのでしょうか。

結論から述べると、建築設備士や一級計装士、一級管工事施工管理技士の資格を保有していれば、管工事の許可を取得可能です。

ただし、建築設備士や1級計装士は資格取得または合格後1年上の実務経験が必要になります。

いずれかの資格がない場合は、実務経験10年以上で管工事の建設業許可を取得できます。

なお10年以上の実務経験を証明する際は、10年間の常勤が確認できる書類または10年間の実務経験を証明できる資料が必要になります。

10年間の常勤を証明する際に必要な書類 10年間の実務経験が確認できる資料
  • 厚生年金被保険者記録照会回答票
  • 住民税特別徴収税額通知書
  • 確定申告書
  • 工事契約書
  • 注文書+請書
  • 請求書+入金通帳

管工事の建設業許可の取得が必要な場合はこれらの書類が必要になるので、資格がない人は注意しましょう。

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