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がいし引き工事とは?施工場所ややり方、注意点を徹底解説

電気工事のなかにはいくつかの種類があり、その一つに「がいし(碍子)引き工事」があります。

昭和30年頃まで行われていた工事で、現在はケーブル工事(配線工事)に切り替わっています。
近年でも未だに注目されているのは、電気工事士の試験に出題されることがあるため。

今回は、電気工事士の試験に出題される工事、がいし(碍子)引き工事の概要を紹介します。

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がいし(碍子)引き工事の概要


まずはがいし(碍子)引き工事の概要を見ていきましょう。
ここでは、工事名の主語でもある「がいし(碍子)」と工事概要、そして現在について解説します。

がいし(碍子)とは

がいし(碍子)とは、電線とその支持物との間を絶縁する際に用いられる器具のことです。

セラミックスと呼ばれる電気を通さない磁器でできており、熱に強くて非常に固く、また錆びる心配もないため、電線を建物から浮かせて設置するために使用されていました。

磁器がいし(碍子)と呼ばれるこの道具は、通常の焼き物と同じようにいくつかの原料を混ぜて練り上げて作られます。
一つひとつの性能を均一にする必要性から、厳しい管理を行いながら製造されているという特徴もあります。

がいし(碍子)引き工事とは

がいし(碍子)引き工事とは、屋内配線の方法のことです。
「がいし(碍子)引き配線」とも呼ばれていましたが、昭和30年頃を堺に、最近では見かけることの少ない工事です。

ほとんど見かけない工事ではありますが、今もなお、調べたり気になったりする人がいます。
その理由の一つは、電気工事士試験で出題されるため。

一般財団法人建設業振興基金内で電気工事士施工管理技術検定の過去問題を確認すると、令和1年から令和5年の過去5年間で1~10回未満程度で出題されています。

現代では見かけない工事のため、試験シーズンに入ると、どのような工事なのかを受験者が調べていると考えられます。

また、工事の見た目が昭和初期を彷彿とさせることから、古民家カフェやレストランなどからも注目されています。

がいし(碍子)を使うと昭和のレトロなインテリアが演出できることから、今も一定数の間で注目されやすい工事と言えるでしょう。

現在は「ケーブル工事(配線工事)」として行われる工事

がいし(碍子)を使った工事も当時は革命的でしたが、配線した状態、つまり見た目が気になるなどの理由から、電線にも改良が加えられました。

見た目や電線の引きやすさ、束ねやすさなどを考慮し、現在は絶縁体タイプのビニルで被覆した電線を使用しています。

電線の改良によりがいし(碍子)が不要になった背景から、現代では「ケーブル工事(配線工事)」と工事名も変更されています。

がいし(碍子)引き工事で使う電線

がいし(碍子)引き工事が主流だった頃の電線は、今のようにビニルで覆われているものではなく、麻や面などで作られた布
この布を電線に巻き、ロウを染みこませて使用するのが主流でした。

しかし、布のために絶縁性が悪く、そのまま住宅の梁の下に引くと配線が漏電し、火災の原因になることも。

そこで取り入れられたのがビニルで被覆された電線です。
現在のケーブル工事では、OW(屋外用ビニル絶縁電線)・DV(引込用ビニル絶縁電線)・DE(引込用ポリエチレン絶縁電線)を除いた絶縁電線を使って行われています。

がいし(碍子)引き工事における「支持点間」とは

がいし(碍子)引き工事において重要なのが「支持点間」です。
電線を離隔する目的がある工事のため、この工事では細かな支持方法を設けていました。
詳細は次章で解説します。

がいし(碍子)引き工事のやり方


ここからは、がいし(碍子)引き工事のやり方を紹介します。
1~4まであるので、順に見ていきましょう。

1.支持点間距離

まず、がいし(碍子)引き工事の支持点間距離は、電線を造営材の上面または側面に沿わせる場合、2m以下にします。

2.電線と造営材の離隔距離

電線と造営材料の離隔距離は下記のように設定します。

電線と造営材の距離:使用転圧300V以下の場合2.5cm以上、使用電圧300V以上超過の場合4.5cm以上

さらにがいし(碍子)それぞれの支持点間も、300V以下の場合は2m以下、300V以上だと6m以下に設置すると決められているほか、電線とほかの線・管の間隔については、10cm以上離隔する必要があると定められています。

また、乾燥した場所であれば、使用電圧が300V以上超過しても2.5cm以上に設定可能です。

3.電線相互の離隔距離

電線相互の離隔距離は下記のとおりです。

電線相互間の距離

使用電圧300V以下の場合6cm以上、使用電圧300V以上超過の場合6cm以上

4.接触防護措置

使用電圧が300V以下であれば、電線に簡易接触防護措置を、使用電圧が300V以上超過する場合は接触防護措置を施します。

なお、上述したように、電線はOW(屋外用ビニル絶縁電線)・DV(引込用ビニル絶縁電線)・DE(引込用ポリエチレン絶縁電線)を除いた絶縁電線を使用します。

がいし(碍子)引き工事のメリット


がいし(碍子)引き工事は、現在はケーブル工事に切り替わっていることから、あまり用いられない施工法です。

しかし、電気工事士の職人技が光る施工法であり、きれいに仕上がったときは多くの人を魅了します。

また、職人が行う工事では、がいし(碍子)一つひとつの設置バランスも均等で、細部まで職人のこだわりが感じられます。

使用するがいし(碍子)のデザインによっては、昭和時代には味わえなかった新しい空間に演出できるので、今もなお一定数の人に注目・依頼されることも。

レトロな雰囲気を楽しみたい方に喜んでもらえることはもちろん、電気工事士職人としてやりがいを感じられるのは大きなメリットと言えるでしょう。

がいし(碍子)引き工事の注意点


がいし(碍子)引き工事では、専用の配線を用いることが一般的です。
使用電圧300V以下の場合は、人との接触がないよう設置する必要があります。

がいし(碍子)引き工事を行う場合、または電気工事士試験にチャレンジする場合は、先で説明した屋外用の絶縁電線を除いた、絶縁性・難燃性・耐水性にすぐれた電線を使用することを押さえておきましょう。

今は行われる機会の少ない仕事|電気工事士の試験では出題されることも

がいし(碍子)引き工事は、現代ではほとんど行われないレトロな工事です。

しかし電気工事士の試験でも出題される工事であり、お客様によっては実際に行うケースも珍しくない工事でもあります。

がいし(碍子)引き工事で注意しなければならないことは、絶縁性・難燃性・耐水性にすぐれた電線を使用することと、支持点間の距離について把握することです。

電気工事士の資格取得を目指す方は、これらをきちんと押さえておくことをおすすめします。

現代のケーブル工事と比べて手の込んだ工事ではありますが、人から喜ばれる仕事をしたい方は、この機会に深掘りしてみてはいかがでしょうか。

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