目次
この記事でわかること
- 建設・不動産業界キャリア14年
- 元施工管理(ゼネコン)所長・現デベロッパー技術主任
- 一級建築士・一級建築施工・宅建士ほか
施工管理に就職・転職を検討していても、「激務って評判多いし、どうしよう…」とためらってしまっている人は多いです。
その理由は、施工管理の実態が求人の給与や待遇と釣り合うのか?が、わからないからです。
しかし、この記事を読めば、施工管理が激務かどうかを自分で判断することができます。
また、激務かどうか以前に、激務でない施工管理を見つける方法もあります。
そこでこの記事では、施工管理の仕事内容から激務でない施工管理の見つけ方まで、完全解説していきます。
5分程度で解決できるので、ぜひ読んでみて下さい。
こんな方におすすめ
- 施工管理への就職を検討している
- 施工管理から転職しようと考えている
- 施工管理が激務過ぎて他も同じなのか知りたい
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激務と言われる施工管理の仕事内容
激務な施工管理はどんな仕事内容なのかを紹介します。
- 【原価管理】モノを作るコストを管理する
- 【工程管理】モノを作るスケジュールを管理する
- 【品質管理】モノの品質を管理する
- 【安全管理】モノを作るときの安全を管理する
これらを4大管理と言います。
一般的なモノづくりの企業では、これらの4大管理のそれぞれは各担当部署に業務が振り分けられます。
例えば、原価を管理する部署、品質管理する部署など。
しかし、施工管理は4大管理の全てをこなすのが仕事です。
それぞれの業務の内容は以下。
業務内容
1:原価管理
- 利益計画書作成・管理・報告
- 施工業者選定・金額ネゴ、etc
2:工程管理
- 工程表作成
- 歩掛管理、etc
3:品質管理
- 施工計画
- 各種品質検査
- 施工写真撮影、管理、etc
4:安全管理
- 現場整備、安全協議会
- 労働基準監督署への申請、etc
現場の主任や1人現場の場合の1日のスケジュールは以下のような感じです。
業務スケジュール
- 5:45 起床
- 7:00 始業
- 8:00~9:00 朝礼、現場巡回
- 9:00~ 業者手配・施工計画書作成
- 10:00~12:00 業者・施主打合せ
- 12:00~ 確認連絡他
- 13:00~ 昼礼、現場巡回
- 13:30~ 段取り、手配連絡、検査書類作成
- 14:30~ 配筋検査
- 16:30~ 現場巡回、写真整理
- 18:00~20:30 請求書処理、予算計画
- 20:30~ 現場作業終了、戸締り
- 21:00~23:00 施工図修正
- 23:00 帰宅
より詳細な仕事の内容等は施工管理とは?仕事の実態と年収|元所長の本音も参考にして下さい。
- 大手求人サイトで全国トップクラスに輝いたアドバイザーが在籍
- 年収1000万円以上になった方も
- 年収350万円以上の大幅UP事例もあり
- 業界特化で「分かっている」提案。企業知識が段違い
- 休日や夜間でも専属アドバイザーが対応
施工管理は激務かを示すデータ
施工管理が激務ということは、実は厚生労働省や国交省のデータでも示されています。
ここでは、
- 休日日数
- 年間労働日数
- 労働時間
- 年収
- 辞めた理由
の観点から解説します。
施工管理が激務なデータ①休日が少ない
建設業は休みの少ない業種です。
週休2日休める現場は極わずかで、年間休日数は65~90日程度です。
国交省のデータでは、週休2日を取れている現場は全体の”1割以下"となっています。※国交省「建設産業政策2017+10」
施工管理が激務なデータ②年間労働日数が多い
また、建設業の年間出勤日数も全産業平均より"29日”も多いです。(建設業:251日・全産業:222日。)※国交省「建設業における働き方改革」
他の産業と比較すると、建設業は非常に働く日数が多いことが分かります。
施工管理が激務なデータ③労働時間が非常に長い
建設業は残業が非常に多い業種です。
国交省『建設業における働き方改革』でも、建設業の年間労働時間は全産業より336時間も多いと公表しています。
施工管理が激務なデータ④給料がわりに合わない
建設業は激務のわりに、給料が少ないです。
下のグラフは、赤が建設業、緑が全産業の年間賃金を示しています。
建設業の年間賃金は全産業平均と同等(およそ550万円)になっていますが、労働日数、労働時間は他の産業よりも非常に多いので、時給・日給換算すると、非常に安い賃金で働いていることになります。※国交省「建設業における賃金賃金等の状況について」
施工管理が激務なデータ⑤辞めた理由
厚生労働省がまとめた調査によると、建設業離職者の仕事を辞めた理由のTOP5は以下となっています。
- 雇用が不安定である 9.8%
- 遠方の作業が多い 9.0%
- 休みが取りづらい 8.4%
- 労働に対して賃金が低い 7.9%
- 作業に危険が伴う 6.7%
激務と言われる施工管理の実態(現役施工管理アンケート)
実際に現役の施工管理は自分達の仕事をどのように感じているのでしょうか?
”日建協”という日本最大級の建設業の組合が、組合員約37,000人を対象に行っているアンケート(2019年時短アンケートダイジェスト)、(2020年時短アンケートダイジェスト)を元に解説します。
日建協とは?
日建協(日本建設産業職員労働組合協議会)は、1954年12月12日午前10時30分、建設産業の魅力化と、建設産業に携わる労働者の社会的・経済的地位の向上をめざし結成されました。
現在、34の加盟組合 約37,000人の組合員で構成された、建設産業のホワイトカラー層最大の産業別組織として、単独の企業別組合では取り組めない、建設産業に働く私たちの労働条件の向上にむけた活動を行っています。
激務の実態①超長時間労働
施工管理の実態アンケートでも全体の20%~30%くらいは月80時間以上の残業をしています。
そのうち100時間/月以上の残業は10%ほど。
国交省のデータ通り、実態も超長時間労働の状況が伺えます。
激務の実態②建設業に魅力を感じないのは労働時間が長いから
「建設産業で魅力に感じない部分は何か?」の質問に対し、「労働時間が長い」が1位の回答となっています。
また、前近代的な体質が残っていることも建設業に魅力を感じない理由の一つとなっています。
労働時間の長くない施工管理の転職先を探しているなら、現場監督を辞めてよかった?後悔した?辞めたいときのおすすめ転職先と退職方法で時間を優先した施工管理の転職先を紹介しているので、参考にしてみてください。
激務の実態③働き方改革の副作用で時短ハラスメントも!
働き方改革で業務時間を規制し始めたことで、企業も長時間労働をさせられなくなってきました。
しかし、だからといって業務が減るわけでもなく、人が増えるわけでもないので、会社から圧力があったり、サービス残業になっているという回答が目立ちます。
会社や上司から仕事の状況を考慮しない時短の指示がある
勤務時間の申告に自主規制の圧力がある
仕事が終わらずサービス残業をしている
関連【完全版】施工管理がブラックと言われる理由|学校では教えてくれない実態と今後
激務の実態④現役の施工管理は健康に不安を抱えて仕事をしている
現役の施工管理は精神的にも身体的にも健康に不安を抱えていると回答しています。
その率、54%以上(45時間以上の残業の場合)です。
激務の実態⑤20代の60%は転職を考えている
施工管理で働く20代のおよそ60%はすでに転職を検討しています。
今の会社でいつまで働きたいか?という問いに対し、「定年まで」と答えた20代は40.6%でした。
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激務な施工管理で働くデメリット
激務な施工管理で働く場合、「時間」と「健康」はどうしても代償になります。
仕事が多く、家庭の時間は他の職種と比較して極端に少ないでしょう。
また、睡眠時間が削られるほど労働時間も長く、健康を維持するのが難しい場合もあります。
例えば、スーパーゼネコンに勤めるRさんは、「給料は良いが、仕事詰めで自宅に帰れない現場もある。家庭の時間が取れないので思い切って転職するか悩んでいる」と言います。
しかし、激務な施工管理でも、働く魅力はあります。
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施工管理の魅力とメリット
激務と言われる施工管理ですが、働く魅力やメリットもあります。
施工管理従事者の口コミや筆者の経験も踏まえて紹介します。
①建設したものが後世に残る
建設したものが後世に残るという部分に魅力を感じている施工管理が多いようです。
2020年時短アンケートダイジェスト(JCU日建協)によると、50%以上の施工管理が仕事の魅力として「建設したものが後世に残る」と回答しています。
実際、自分が担当した現場が20年・30年と残り、子供や家族に「自分が建てた」と言えるのは魅力があるでしょう。
②創造する楽しさや喜びがある
こちらも多くの施工管理が感じている魅力で、現役施工管理の40%以上が創造することに魅力があると回答しています。2020年時短アンケートダイジェスト(JCU日建協)
何もない土地に建設していくプロセスや、建設後の達成感を味わえるのは施工管理ならでは魅力でしょう。
③施工管理経験はキャリアアップに直結するメリットがある
筆者の経験に基づくことですが、実は施工管理はキャリアアップ(手に職つけて年収アップ)に直結する職種です。
その理由は、以下の3つです。
- 未経験からでもキャリア形成しやすい
- 裁量を持った立場を経験できる
- 経験者は高年収で転職ができる
仕事自体は激務と感じるかも知れませんが、その経験は転職市場で高く売れます。
転職活動すると分かりますが、年収50~100万円UPは比較的容易にできます。
そのため、「キャリアのための投資」という観点では、適している人もいるでしょう。
逆転のキャリア形成ができるところは施工管理の大きなメリットです。
※詳しくは、施工管理のメリットで解説しています。
では、そもそもなぜ施工管理が激務になってしまうのか?激務の原因を解決できれば、施工管理のメリットだけを得ることもできます。
施工管理が激務な理由
アンケートなどからも分かるとおり、激務な施工管理は多いです。
その原因は2つ。
施工管理が激務な理由
- 常に人手不足
- 安く・早く・高品質が求められる
施工管理は常に人手不足で、1人が抱える業務量が他の職種と比較して多いのが特徴です。
また、建設産業構造は発注者の立場が強く、「安く・早く・高品質」を求められます。
予算も工期も無い中で、高品質なものを建てるとなると、働く人の労働力で補うことが必要になってきます。
その結果、施工管理は激務な仕事になってしまっているんです。
しかし逆に言えば、「人手不足ではない」「安く・早く・高品質を求められない」施工管理であれば、激務にはなりません。
では、激務ではない施工管理はどう探せば良いでしょうか?
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建設業は人手不足で当たり前?3つの根本原因と3つの解決方法
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参考建設業は人手不足で当たり前!6つの理由と根本的な原因|建設業から離れるべきか?
激務でない施工管理はこう選ぶ!
実は、激務な施工管理は、入る企業の選び方で回避できます。
ここでは、激務となる原因である「人手不足」「安い・早い・高品質」を回避できる企業の選び方を紹介します。
激務でない施工管理の選び方①発注者で企業や現場を選ぶ
実は施工管理の残業時間は発注者によって違います。※一般社団法人日本建設連合会(以下、日建連)の調査より。
例えばマンションデベロッパーが発注者となる現場では、平均の残業時間が73.7時間/月ですが、独立行政法人が発注者となる場合には、平均の残業時間が60.8時間/月です。
この理由は、マンションデベロッパーが極端に「安い・早い・高品質」を求めるからです。
付き合いの多い発注者が行政の企業を選べば激務を回避できる可能性が高まります。
発注者の特徴についてはこちらを参考にしてみてください。↓↓
参考【2021年版】デベロッパーの転職難易度は?転職偏差値ランキング|デベの種類や各社の特徴
激務でない施工管理の選び方②土地持込で特命発注を取れる企業を探す
土地持込の特命発注というのは、「うちが持ってるこの土地で不動産開発しませんか?建設工事しますよ。」という、ゼネコンの所有している土地で工事が発注される仕組みのことです。
この場合は、土地を持っているゼネコンの立場が強く、「早い・安い」を過度に求められません。
つまり、工期も予算も余裕を持った受注ができるため、ホワイトな施工管理が出来る現場になります。
激務でない施工管理の選び方③改修工事の企業や現場を探す
まず、改修工事はホワイトな環境であることが多いです。
理由は、入居者がいる状態で工事を行うため、作業時間に制限があるためです。
そのため、改修工事は工期に余裕を持たせて発注されます。
「早く・高品質」が過度に要求されないため、「人手不足」にもなりにくいのが改修工事の特徴です。
改修工事の中でも特にホワイトな工事は以下で詳しく解説しています↓↓。
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激務でない施工管理の選び方④派遣で始めてみる
激務でない施工管理を選ぶには、派遣の施工管理もおすすめです。
配属先の希望を出すことができ、現場が激務で合わない場合は、配属先の変更を申し入れることも可能です。
つまり、「人手不足」「早い・安い・高品質」ではない現場を選択することで、激務の施工管理を回避できます。
ゼネコン正社員で施工管理に就くより、格段に”選択の自由”が効きます。
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では、選び方を知った上で、次章で筆者がどのように激務でない施工管理を見つけてきたか。を紹介します。
激務でない施工管理の具体的な見つけ方
では実際に、激務ではない施工管理はどのように見つければいいのか。
方法は3つです。
激務でない施工管理の見つけ方
- 希望企業の現場社員に直接聞く
- 転職口コミサイトで確認する
- 転職エージェントから情報提供してもらう
正直、求人広告に掲載されている情報は、全く当てにならないです。
理由は、企業が掲載したい内容しか求人には出さないからです。
求人広告は悪い内容は隠しているので注意してください。
激務でない施工管理の見つけ方①現場社員に直接聞く
最も確実なのは、希望企業の社員に直接聞くことです。
ハードルは高めですが、情報は確実ですし、不可能ではありません。
友人のツテなどでも、つなげてもらえばちゃんとつながります。
また、現場を探して直接電話すれば、たいてい対応してくれます。(丁寧に事情を説明する必要はありますが。)
自分の人生の選択なので、出来る限りのことはやることをおすすめします。
激務でない施工管理の見つけ方②転職口コミサイトで確認する
これはピンポイントで入りたい企業の入りたいポジションの書き込みがある場合に有効です。
企業求人よりずっと信用できます。
筆者は、[st_af name="tenshokukaigi"]を利用していました。
転職を考える人のほとんどは利用しているので、情報収集には最低限必要なサイトかと思います。
転職は情報戦で負けると取り返しがつかないので、気付いたときに登録しておいた方が後悔しないです。
激務でない施工管理の見つけ方③転職エージェントから情報提供してもらう
転職エージェントからの情報を信用しすぎても良くないですが、基本は信用して問題ないです。
転職口コミサイトにない企業の内情や、激務でない施工管理ができる企業の情報もエージェントは持っています。
それこそ、土地持込で特命発注を取れる企業ってどこですか?と聞けば、複数社は名前が出てきます。
\ たった5秒でわかる! /
参考:転職エージェント(人材紹介会社)利用社数(リクナビNEXT)
施工管理は本当に激務か|まとめ
この記事の内容を要約します。
この記事の要約
- 施工管理は激務で
- 現役施工管理のアンケートでも激務がうかがえる
- 激務でない企業も中にはある
- 激務でない企業は以下の3つの方法で探す
- 現場の社員に直接聞く
- 転職口コミサイトで確認する
- 転職エージェントに情報提供してもらう
施工管理なら激務でない企業を見つける方が大変です。
念には念を入れて情報収集しましょう。
転職は情報戦。
遅れると取り返せないので注意です。
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