目次
この記事でわかること
「建設業は終わってる?」「未来はない?」このような話をどこかで聞いて不安に思っていませんか。
この記事では、何故そのように思われているのか、実際に終わっているのか?の本当のところを解説します。
コロナ禍や働き方改革など業界としての動きも大きいので、しっかりチェックをした上で今後のキャリアの参考にしてください。
こんな方におすすめ
- 建設業界に就職するか悩んでいる人
- 建設業界にいるべきか転職するか悩んでいる方
- 建設業の未来に希望が持てない方
【完全ガイド】同僚15人の大手不動産デベロッパーへの転職方法を公開 続きを見る
「建設業は終わってる」と思われてしまう6つのポイント
「建設業は終わってる…」
そういった印象を持たれている事が多い建設業。
終わっていると思われる代表的な意見を6つ紹介していきます。
【激怒】施工管理の仕事はおかしい?言われる5つの理由と4つの対処法 続きを見る
理由①価値観のアップデートが遅い
建設業では「辛い」という印象から若者が入りにくい実態があります。
その為、経営陣や管理者などが代わることも少なく、古くからのやり方や考え方が残っている事が多いです。
近年、業務効率化のためにAIやICTといった動きがある中、新しいノウハウや価値観を取り入れにくく、なかなか導入が進んでいない実態があります。
また、経営陣や役員でも昔ながらの価値観を持っている人も多く、企業風土としても令和の時代の価値観へアップデートしにくいのが現実です。
理由②休日が少なめ
建設業の労働者1人あたりの年間休日数は115.1日と全体平均が115.3日の中で少なめになっています。
完全週休2日で休めているところはまだ少ないのが現状です。
しかし、近年の「働き方改革」をきっかけに、日建連(一般社団法人 日本建設業連合会)が「すべての現場での週休二日を実現」を目標に掲げ、少しずつですが改善傾向にあります。
実際に、4年間で4週8閉所が25.8%も増加しており、今まさに改善していっている転換期と言えます。
理由③長時間労働
建設業は残業が多い業界と言われています。
理由としては、天候などによって計画が遅れた場合、1日の業務時間を伸ばして間に合わせる場合があるからです。
しかし、昨今の「働き方改革」によって2024年4月には時間外労働の上限規制が施行されます。
参考厚生労働省「建設業 時間外労働の上限規制わかりやすい解説」
それによって、事務作業の外注化やITツールの導入などで少しでも施工管理の仕事の負担を減らそうと努力している企業が増えてきています。
理由④プライベートが少ない
プライベートな時間である休みの日でも、十分に休めない場合があります。
原因は以下の3つ。
- 関係者は稼働しているため連絡がくる
- 施主・顧客対応が入る
- 天候
建設業関係者の社用携帯は休日であっても連絡が来る場合があります。
休日であっても関係者が稼働している事に加え、休みの日に連絡を控える文化があまり浸透していないためです。
また、施主や顧客対応に関しても、休日しか打ち合わせができない顧客も多く、休日中対応が発生することもあります。
さらに、台風や強風、積雪など、急な天候の悪化によって現場確認や対応が必要になる場合もあります。
理由⑤給料が労働時間の割に少ない
建設業は年収だけで見ると少なくはありません。
しかし前述の通り、労働時間が長い現状があるため「働いている割に少ない」と思う人が多く居ます。
また、働き方改革によって労働時間が減る見込みのため「基本給が少なく残業時間でカバーをしていた人」にとっては収入が減る可能性があります。
労働時間を考えた時に、働き方改革によって給料が改善されたかどうかは人によって大きく差が出るでしょう。
理由⑥これってパワハラ?厳しい指導が多い
建設業は上下関係があり厳しい指導をしている印象があります。
実際のところ、建設業は危険な作業も多く、管理者が咄嗟に大声で指導をすることが必要な場面も存在します。
また、現場は閉鎖的なコミュニケーションになりやすく、外部からの目も入らないため、指導がエスカレートしてしまうケースもあります。
- 大手求人サイトで全国トップクラスに輝いたアドバイザーが在籍
- 年収1000万円以上になった方も
- 年収350万円以上の大幅UP事例もあり
- 業界特化で「分かっている」提案。企業知識が段違い
- 休日や夜間でも専属アドバイザーが対応
建設業に未来はない?終わってる?本当は誰にも分からない
よく「建設業は変化の兆しがあり、未来がある」「建設業は変わらないから、未来がない」と言うような記事や意見を見ますが、本当のところは誰にもわかりません。どちらも可能性はあります。
ここでは、建設業の将来が明るい説、建設業の将来は暗い説、両方の意見について紹介します。
施工管理はやめとけ?きつい理由6つと魅力4つ!向いていない人の特徴も解説 続きを見る
建設業に未来がある説
①働き方に改善の兆し
前述した通り、現在の建設業の働き方は旧態依然として、長時間労働であることがほとんどです。
しかし、以下2つの政府の取組みにより今後は建設業の働き方も改善されていく兆しがあります。
- 残業の上限は45時間・年360時間になる
- 極端に工期の短い突貫工事がなくなる
建設業も2024年4月には改正労働基準法により、原則、残業の上限は45時間・年360時間となります。
また、適正な工期設定等のガイドラインが制定され、無理な工期での受発注を抑制し始めています。
この動きが加速すれば、5年後にはワークライフバランスの整った建設業も実現できる可能性があります。
②建設施工管理はAIが代替となりにくい
現在、政府でも労働生産性を向上させる取り組みが進められ、多くの仕事がAIに代替されようとしています。(令和元年版情報通信白書より)
しかし、建設施工管理の仕事はAIに代替されにくいと言われています。
その理由は、施工管理の仕事が、高度な知識と他者との協業が求められる職業だからです。
そのため、AIが浸透することにより、仕事が取られてしまうという心配は少ない業界です。
総務省、ICR・JCERのアンケート調査では、今後3〜5年でAIの導入が進んだ場合でも建設業の業務は減りにくいとされています。(総務省・ICR・JCER(2019)「AI・IoTの取組みに関する調査」)
③建設技術者は需要が高い
ニーズの高さは有効求人倍率で表されます。
2020年度の建設技術者の有効求人倍率は6.26倍。建設技術者1人に対して6社以上の求人がある状態です。
ここまで需要が高い理由は、実は、施工管理の経験が活きる仕事は建設業界だけではないからです。
例えば、一見関係のなさそうな食品・小売業界でも、商品配送のための物流倉庫を自社で建設したり、借りる必要があり、技術的業務が発生します。
多くの業界にまたがって需要がある建設技術者は、将来的にも転職のチャンスは多いと言えます。
④業界規模が大きく、オリンピック後も成長を続けている業界
建設業界は市場規模が非常に大きく、全136業界中20位です。(2020-2021年の主要対象企業63社の合計売上高、16兆9,788億円)
また、業界の成長率も実は前年比2.9%増と成長を続けています。(国土交通省:令和3年度建設投資見通し)
オリンピック特需が終わり、建設業の動向を悲観的に見る人も多いですが、10年スパンで考えると未だ好況で伸び続けている業界です。
⑤手持ち工事高増加で業界は活況
手持ち工事高とは、
建設業者が国や地方公共団体から受注した工事金額のうち、その時点で工事が終わっていない金額。手持工事高とは - コトバンク
を言います。
手持ち工事高は次期以降の売上となるので、今後の建設業界の見通しを測る指標となります。
つまり、手持ち工事高が増えれば増えるほど、建設業界は好況を維持していく可能性が高いと言うことです。
近年、建設業界ではこの手持ち工事高が毎年平均4.9%で増加してきており、今後もこの手持ち工事高は増加すると見られています。
⑥建設投資も増加している
現在も政府・民間の建設投資意欲は高いです。
2021年度建設投資見通しは、直近の7年間で最大規模の総額62兆6,500億円(前年比2.9%増)です。(国土交通省:令和3年度建設投資見通し)
政府の建設投資が増加している背景には、大阪万博や統合型リゾート(IR)、リニア新幹線、老朽化インフラ更新、防災・減災、国土強靭化、があり、これらの工事は短期では完了できないことから、政府の建設投資は中長期的に伸び続けると予想されています。
⑦全体の平均年収よりも建設業の年収は高い
前述している通り、市場ニーズの高さに伴い、年収としては平均よりもやや高い傾向にあります。
全体の年収平均が458万円なのに対し、建設業の平均年数は488万円と30万円高くなっています。
また、業界として未経験からの雇用もされやすく、経験を積み転職することでキャリアアップも目指せる点ではキャリア形成に強い業界ともいえます。
業界の景気が良く、価値観や働き方が改善されていけば、キャリアとしては明るい業界(職種)になっていく可能性は十分にあります。
建設業は未来がない説
①人手不足で業務が更に増加する
建設業界は慢性的な人手不足で、今後も人手不足は悪化していく見込みです。
国交省の「建設産業の現状と課題」によると、29歳以下の建設業就業者はわずか11%です。
働き手が減れば、その分一人が負担する業務量は増えます。
今よりも業務量が増えればよりプライベートの時間はなくなっていくと想定されます。
建設業の人手不足の原因は、建設産業の構造にあるので、根本的な解決がされないと人手不足は解消されません。
②技術革新が進みにくい業界
建設業界の人材高齢化、人手不足の課題解決を目的として、国交省も”i-Construction~建設業の生産性の向上~"を掲げて建設業の労働状況の改善に取り組んでいます。
しかし、建築は全てが一点モノのため工業製品と異なり、生産を機械やロボットに代わってもらうのは技術的に高いハードルがあります。
雇用をロボットやAIに取られにくいというメリットがある反面、業務の効率化が進まないという点でデメリットにもなっています。
施工管理の働き方を不動産デベロッパーと比較
では、建設業が他の業界と比較してどれほど働き方に違いがあるか、不動産デベロッパーの働き方との違いを紹介します。
施工管理の1日のスケジュール
- 5:45 起床
- 7:00 始業・メール処理
- 8:00~9:00 朝礼、現場巡回
- 9:00~ 手配・計画書他
- 10:00~12:00 業者・施主等打合せ
- 12:00~ 確認連絡他
- 13:00~ 昼礼、現場巡回
- 13:30~ 段取り、手配連絡
- 14:30~ 検査
- 16:30~ 現場巡回
- 18:00~22:30 請求書処理、予算計画
- 22:30 現場作業終了、戸締り
- 22:30~23:00 休憩・仮眠
- 23:00~2:00 施工図修正
- 2:00 就寝
デベロッパーの1日のスケジュール
- 6:45 起床
- 9:00〜 始業・メール処理
- 9:30〜 設計打ち合わせ
- 11:30〜 議事録まとめ
- 12:00~ 昼食
- 13:00~ 担当現場資料確認
- 15:00~ 現場総合定例
- 17:00~ 図面・施工計画書チェック
- 19:00~ 終業
これほどまでに1日のスケジュールは異なります。
また、休日の日数も比較しましょう。
- 施工管理:休日4〜8日/月
- デベロッパー:休日8〜10日/月
-
施工管理からの転職におすすめの異業種3つとNG職種5つ
続きを見る
現状に限界を感じているのであれば逃げてもいい
建設業の動向は未来がある見方と未来がない見方の両方があり、すぐに辞めるべきとは言いにくい部分もあります。
しかし、すでに精神的にキツく、改善を待つ余裕がなければ別の道を考えることも1つの手です。
建設業で働くメリットは、会社で働きつつ、経験を積んで転職で年収アップを狙ったり、実績を作って理想とするキャリアを積み上げることにあります。
現状に限界を感じている場合、自分のキャリアを考えた時に今はどうするべきかを考えて直す機会にしても良いでしょう。
しかし、未経験の業界に1からチャレンジをする場合は、予想していない大変な部分多く、リスクも大きいです。
自分のキャリアからどんな選択肢があるのかエージェントに相談をしてみるのも良いでしょう。
【筆者体験談】施工管理を辞めて良かった事8つと後悔した事3つ 続きを見る
\ 誰かに聞いてほしい悩みはありませんか/
ただし、誰でもすぐに転職するのが正しいわけではない
すでに限界と感じている方は早めに退職するのがよいでしょう。
しかし、誰でもすぐに退職するのが正しいわけではないです。
すぐ退職・転職するのが合理的でない場合もあります。
では、どんな場合はすぐに転職すべきではないのか、解説していきます。
将来キャリアアップしたいと考えている場合は一度考えてみる
将来キャリアアップして今より良い条件で仕事したい。と考えているなら、一度退職は考えてみてもいいです。
それは、すぐに転職するより経験と実績を積んでから転職した方が良い場合もあるからです。
例えば、今すぐ転職して年収ダウンする仕事より、1年後に年収50万UPする仕事に転職した方が長い目で見てキャリアには有利でしょう。
まだ頑張る気力があるなら、「建設業は終わってる」⇒「すぐ転職した方がいい」といういい加減な評判に惑わされないようにしましょう。
もし辞めるなら「あと1年で辞める」と決めて1年間で転職のための実績を作り、転職活動をした方が面接で話せるネタも増え、受かる企業も増えるはずです。
-
施工管理はやめとけ?きつい理由6つと魅力4つ!向いていない人の特徴も解説
続きを見る
実は、建設業の経験は転職で高く売れる
それから、実は建設業の経験は高年収での転職のチャンスも多いです。
なぜなら、建設業経験者は他業界からの需要が高いからです。
例えば、不動産デベロッパー。大手だけでなく新興デベロッパーでも20代の技術職で転職時年収600万円超えは多くあります。
30代の転職となれば、800万円以上の求人も豊富です。
他にも、不動産Tech業界ではハウスメーカーの施工管理から1000万円を超える年収になっている方もいます。
ただし、ここまでの年収の求人で転職するには、それなりの経験と実績が必要になります。
-
施工管理から転職したい人必見!おすすめの業種・職種15選と転職で役立つ資格を徹底解説
続きを見る
すぐキャリアアップ転職できる合理的なタイミングは?
キャリアアップ転職に必要な経験年数と実績は転職先の業務により異なりますが、おおよその目安は以下です。
- 建設コンサルタント:6年以上、主任以上
- 大手不動産デベロッパー:6年以上、主任以上
- 新興不動産デベロッパー:4年以上、係員で可
- 不動産Tech:2年以上、係員で可
建設コンサルタント
建設コンサルタントの場合、設計-施工-行政協議といった大規模な建設PJの舵取り役を担います。
総合的な視点が必要になるので、自分の実務はある程度こなせるレベルの経験と実績は必要になります。
大手不動産デベロッパー
不動産デベロッパーの場合は、技術職の仕事はゼネコンや設計事務所に対して、自社基準に合わない部分を指摘する仕事になります。
自分より経験豊富な取引先に対して、技術的な視点での交渉と説明を行うので、ある程度実務を知っている必要があります。
新興不動産デベロッパー
新興の不動産デベロッパーでも、仕事は大手と変わりありません。
しかし、新興デベの場合はスピード感が早いことと、ある程度担当者の判断に任せられる部分が多いため、若手でも仕事はしやすいです。
不動産Tech
また、不動産Techの場合は実務が建設業と全く異なるため、現場の実績は求められません。
建設や不動産のTech化に活かせる知識を持っていれば大丈夫でしょう。
すぐに転職できる条件が揃っている場合の次のステップ
もし上記の経験年数と実績をクリアしているなら、転職するしないは別にして、一度、転職エージェントから転職求人を紹介してもらうと良いでしょう。
今の生活とは全く違う仕事がすぐ近くにある可能性があります。
まとめ|今の建設業の働き方や企業体質は改善必要だが未来がないとは限らない
この記事の内容を要約します。
まとめ
- 建設業は未だに価値観が古い
- 建設業は働き方や企業体質に改善が必要
- 建設業の未来がないかどうかは実は誰もわからない
- 限界ならキャリアを見直すタイミング
- 気持ちに余裕があるなら合理的なタイミングで辞めよう
- 条件クリアしているなら次は求人を見てみよう
大変なことも多い建設業ですが、キャリアにとってはプラスになることもあります。
キャリアを考える余裕があるなら、必要な分だけ経験を積んでみるのも選択の一つです。
有料職業紹介(許可番号:13-ユ-316606)の厚生労働大臣許可を受けている株式会社ゼネラルリンクキャリアが運営しています。